火星に「ビーチ」があった? 波が打ち寄せる海の痕跡を発見

Image: A Martian landscape, photographed by NASA's Curiosity rover. © NASA/JPL-Caltech/ESA Standard Licence

これまで火星の地下に液体の水や氷があるとは言われていましたが、どうやらビーチまであったらしいんです。

中国の探査車「祝融(Zhurong)」が収集したデータから、地球の海岸とそっくりな地質構造が火星の地下に確認され、火星が今よりずっと湿潤で、生命が育まれる可能性のある環境だったことを強く示唆していると話題になっています。

火星の地下に眠る「ビーチ」の痕跡

今回の研究を主導したのは、ペンシルベニア州立大学の地質学者ベンジャミン・カルデナス氏らの国際チーム。

彼らが目をつけたのは、火星の「ユートピア平原」と呼ばれるエリアです。これまでに知られている最も大きなクレーターの中にあるそのエリアから、中国の探査車「祝融」が2021年に収集した地中探査レーダーのデータを分析したところ、地球の海岸に見られる「前浜堆積物(foreshore deposits)」とよく似た地層が発見されました。

前浜堆積物とは、波が砂や泥を運び、岸辺にゆるやかな傾斜を作りながら堆積していくことで形成される地質構造のこと。研究チームは、火星のデータと地球の海岸線のレーダー画像を比較して、堆積物の角度やパターンが驚くほど一致していることを確認しました。

つまり、かつてこの地には波が打ち寄せ、海と陸の境界線が存在していた可能性が高いことを示唆しているんです。

火星って砂漠のイメージがあるけれど

火星というと、静かな砂漠のような惑星のイメージがありませんか?

でも、今回の研究によって、火星では川が流れて、堆積物が運ばれ、土地が形成され、やがて侵食される、といった地球と同じようなプロセスが起こっていた可能性が出てきたわけです。

というか、風や火山活動などで形成された可能性まで検討されたみたい。それらの要因では説明がつかないということで、波による堆積の方が理にかなっていると結論づけられたようですが、結構ダイナミックな活動があったんじゃないかって想像されたんです。

ただ、驚くのはこれだけではありません。

この海は短期間で消えたものではなく、数千万年もの間、火星の風景の一部として存在していた可能性があるんですって。

火星ってどんな惑星で、一体何があって今の状態になっちゃったんだろう。というか、地球は大丈夫なんだろうか…。

止まらない興味。火星の海辺に生命はいたの?

ビーチがあったとなると気になってくるのが生命の存在です。

なにせ、地球では、海と陸が交わる場所で生命が誕生したと考えられていますからね。もし火星にも海岸線があったのなら、それは生命が誕生するのに適した環境だった可能性を示していると考えられるのでは?

当然のことながら、今後の探査ミッションでは、この「火星のビーチ」に生命の痕跡を探しに行くことが期待されています。はるか昔、この岸辺には生命が存在していたのかな。タコ星人の可能性は低いけれど、微生物の痕跡は見つかるのかも。

これからの火星探査、どう盛り上がっていくんだろう。

関連記事: