あなたの休日に"オウ体験"はあるか…多くの日本人が「休んでいるのに"休んだ感"を持てない」致命的な理由 祝祭日の数は世界トップレベルなのに
山に行き、森を歩き、自然の中で過ごす時間を意識して取る。
河原千賀『グーグル社員はなぜ日曜日に山で過ごすのか』(PHPビジネス新書)
自然に触れることで得られる癒しの効果は、科学的に証明されている。しかし、その癒しの効果以外にも、彼らは何かを自然の中に求めているようだ。
心身を休めるだけではない。激変する世界に対応するために、いかにキャリアパスを見据えて、パフォーマンスを向上していけばいいのか、じっくりと戦略を練る。忙しく、騒がしい日常から離れて、静かに自分を見つめ、激変する時代の波をうまく乗りこなす「自己鍛錬」に励むように。
確実に言えることとして、彼らは、「毎月の定休日」を大事に過ごす日本人とも、ロング・バケーションを満喫するヨーロッパ人とも何かが違う「新時代の休み方」を実践している。
休み方を変えて「時代に反応する人」から「時代を創る人」になる
こうしたトレンドを、私は身をもって納得できる。
アメリカのカリフォルニア州立大学で心理学、大学院で教育心理学を学んだ私は、フルコミッション制の不動産エージェントとして約12年働いたのち、ロス・パドレス国立森林公園内の山々に囲まれたプライベートコミュニティに移住した。
私のようにキャリアチェンジして山で暮らす人や、週末にロサンゼルスの喧騒から逃れるために、山を訪れるビジネスパーソンにも数多く出会った。そして、名だたる世界企業のテックワーカーやビジネスエリートたちが実践する休息法・休養法について話を聞いてきた。
・ボランティア活動やスポーツを通してオウ(驚き体験)をする
このように休日を「インテンション(意図)」と「アテンション(注意)」を持って、主体的に過ごすことができれば、「休めた感」の充実につながるはずだ。
「世の中の情報が多過ぎて、何を信じて、何から取り組めばいいのかがわからない」
そんな焦りを感じるあなたが、休み方を変えるだけで、「リアクション(時代に反応する人)」から「プロアクション(時代を創る人)」に変わることができる。
AIが人間の仕事をするようになり、多くの職種で労働がアウトソーシングされれば、労働時間は短くなっていく。それに対して、やみくもに不安になるのではなく、新たに生まれた時間を使って「自己実現」を目指せる可能性が広がったと受け取るべきであろう。
働き方が根本的に変わろうとする過渡期に生きている私たちは、より良く生きるために「思考のシフト」を迫られているのだ。
- 大阪生まれ。1988年よりアメリカ在住。大谷大学短期大学部幼児教育学科、カリフォルニア州立大学心理学部卒業、同大学院教育心理学部修士課程修了。アメリカ人と結婚し、3児の母となる。ロサンゼルスの幼稚園教師として勤務後、フルコミッション制の不動産エージェントに転職。離婚後、2018年より、ロス・パドレス国立森林公園内の、山々に囲まれたプライべートコミュニティに在住。星空の美しい自然の中で、人間として最高な人生とは何かを研究し、人間力を回復するための数々の活動を行なっている。著書に『グーグル社員はなぜ日曜日に山で過ごすのか』(PHPビジネス新書)