米CBS看板報道番組プロデューサーが辞任へ、トランプ氏の訴訟影響か

米CBSテレビの看板報道番組「60ミニッツ」のエグゼクティブプロデューサーを長年務めてきたビル・オーウェンス氏(写真左)が、編集の独立性が保てなくなるとの理由で辞任する。2013年1月、カリフォルニア州で撮影(2025年 ロイター/Bret Hartman)

[22日 ロイター] - 米CBSテレビの看板報道番組「60ミニッツ」のエグゼクティブプロデューサーを長年務めてきたビル・オーウェンス氏が、編集の独立性が保てなくなるとの理由で辞任する。ロイターが22日、社内メモの内容を確認して分かった。

 背景にあるのは、トランプ大統領が昨年10月、CBS親会社パラマウント・グローバル(PARA.O), opens new tabに対して起こした訴訟だ。トランプ氏は、当時の民主党大統領候補だったカマラ・ハリス氏への60ミニッツの独占インタビューについて、視聴者に誤解を与えるような意図的な編集があったと主張している。この訴訟は今月、調停手続きに入った。

選挙期間中にもトランプ氏は繰り返しCBSを批判し、当選すれば放送免許を取り消すなどと威嚇。先週には、60ミニッツが自身に関して2つの不正確な話を伝えたと改めて攻撃し、連邦通信委員会(FCC)に処分を迫った。

FCCには検閲や憲法で定められた報道の自由を侵害することは認められていないが、放送局は恣意的なニュースのわい曲が禁止されている。FCCは、ハリス氏へのインタビューがこのルールに違反したかどうか既に調査に入った。

こうした中でオーウェンス氏は60ミニッツのスタッフに宛てたメモに「過去数カ月で、今後は私が常に行ってきたように番組を運営できなくなることがはっきりした。それは60ミニッツにとって、視聴者にとって適切だという考えをベースにして独立的に意思決定することだ」と記した。

またこれまで「あらゆる角度からできることを全てやって」番組を守ってきたが、ついに身を引く決意をしたという。

CBSのウェンディ・マクマホン社長兼最高経営責任者(CEO)は、スタッフ宛ての電子メールで「ビル(オーウェンス氏)とともに仕事をしたことは私の職業歴における極めて大きな特権だった」と振り返り、オーウェンス氏の誠実さや知的好奇心、真実を求めようとする強い意思を賞賛した。

非営利団体のジャーナリスト保護委員会で米国プログラム・コーディネーターを務めるキャスリーン・ジェイコブソン氏は、メディア幹部が編集の独立性を懸念して辞任するのは報道関係者が等しく警戒しなければならない事態だと訴えた。

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