日本の30年国債、値下がりで買いの好機-バンガードとブルーベイ

日本の超長期国債の値下がり局面を、一部の外国勢は買い時と捉えている。世界貿易の混乱が収束すれば、相場が反発すると見込んでいるためだ。

  30年債利回りは今週、3%に接近し約25年ぶり高水準となった。関税を巡る不透明感で投資資金がより短期の国債に流れており、超長期債利回りは一段と上昇するとの見方もある。

  しかし、バンガードやRBCブルーベイ・アセット・マネジメントなどのファンドは超長期債を買い増す好機だと見なしている。

  これらのファンドは米国との関税を巡る緊張が緩和に向かい、日本銀行が利上げを再開できる公算があると考えている。そうなれば、期間が短めの日本国債から資金が流れ、超長期債が持ち直す可能性がある。

  バンガードの国際金利責任者アレス・クートニー氏は「ここで3%が妥当とは考えにくい」と指摘。「30年債利回りが再び3%に近づけば、引き続き日本国債を買い増す予定だ」と述べた。

  こうした見方は市場で一定の支持を得ているようだ。13日に実施された30年債入札では、高くなっていた利回りが買い手を呼び、堅調な需要が示された。入札後、利回りは一時低下したものの、15日には再び2.98%に上昇した。

  4月前半の低水準からは約75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の上昇であり、米30年債に見られた65bpより大きい。一般的に超長期債市場を主導する日本の大手保険会社や年金基金の買いが減退していることや、日銀が全般的に国債買い入れを縮小し続けていることが背景にある。

  トランプ政権が日本に対し防衛費の増額を求めるとの観測も、超長期債利回りを上昇させる要因だ。

  短期金融市場で年内の利上げ予想は後退しているが、クートニー氏は貿易摩擦の緩和が金融政策引き締めの一因になるとみている。

  スワップ市場は7月までの0.25ポイント利上げ確率を15%未満と示唆するものの、日銀が夏に動くと同氏は予想。「われわれはイールドカーブがフラット化すると想定している」と話し、ここ数週間で30年債を買い増す一方、7-10年債を「アンダーウエート」としていると明らかにした。

  ブルーベイのマーク・ダウディング最高投資責任者(CIO)も、30年債のロング(買い持ち)を増やした。米国債との比較で、日本の10年債と30年債の利回りスプレッドのゆがみに着目している。

  日本の10年債と30年債の利回り格差は現在約145bpで、米国の3倍近い。ダウディング氏は、日本における適正水準は恐らく75bp程度で、現行水準は「本当にミスプライシング」だと述べている。

  市場が注目するのは、日本の機関投資家が再び超長期債に買いを入れるかどうかだ。

  みずほ銀行のシニアストラテジスト、中島將行氏は30年債利回りが3%を超えて上昇する可能性も否定できないとの見方を示し、現在の混乱が投資家の回避行動を招く恐れがあるとみる。30年債を今買うのは落ちるナイフをつかむようなものだという。

  これに対しダウディング氏は、貿易戦争の不安が和らげば、日本の大口投資家は4月の年度初めに割り当てられた新たな資金を運用する必要に迫られ、戻って来るとみている。「ボラティリティーが落ち着けば、スプレッドはゆっくりと戻ると思う」と語った。

原題:Vanguard, RBC BlueBay Scoop Up Battered 30-Year Japanese Bonds(抜粋)

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