イーロン・マスクが仕掛ける「スペースX不況」が絶望的すぎる…283兆円上場でライバルを潰す“えげつない戦略”と2つの未来(ダイヤモンド・オンライン)
イーロン・マスク率いる「スペースX」が過去最大の上場を果たしました。公開価格135ドルから株価は上昇し、16日に200ドルを超えた。時価総額は一時約2兆9700億ドル(約475兆円)を超え、マイクロソフトやアマゾンを上回って世界4位になる場面も。同社に世界の投資資金が集中する裏には、ライバルを蹴落とし「AI覇権」を握るマスクの天才的な戦略が隠されていました。この未曾有の巨大IPOが引き金となる〈AIバブル崩壊〉のシナリオと、日本を襲う「2つの未来」に迫ります。(百年コンサルティングチーフエコノミスト 鈴木貴博) ● 283兆円の超巨大上場時価総額は適正か割高か 昨年、2025年12月期のスペースXの決算を見ると売上高は約3兆円、最終損失は▲約7800億円と赤字です。 イーロン・マスクが天才的なのは、このように評価がわれている中でもIPOで12兆円の資金を確実に手に入れられるという点です。この巨額の資金の大半はAIへの投資に向けられる見込みです。 ここが一番重要な点ですが、大規模機械学習モデルのAIの開発競争はそれまでの「エンジニアがAIを育てる」ステージが終わり、昨年秋あたりから「データセンターがAIを育てる」フェーズに変わりました。 この先、AIで勝つためにグーグル、アマゾン、マイクロソフト、メタの4社だけで100兆円の投資が行われますが、それは「投資規模がAI競争の覇者を決める」ルールを意識してのことです。そこに12兆円を手にすることでスペースXが競争戦線に割り込むことができました。 ここでイーロン・マスクが天才的な戦略家だというポイントが見えてきます。この後、秋にかけて同じAIの巨大企業であるOpenAIとアンソロピックが続いて上場を狙っているのです。 実は上場した後に、スペースXはアメリカの株式市場のインデックスに組み込まれることになります。インデックス連動型の投資信託などが一斉にスペースX株を購入することになります。その規模は200兆円前後の規模になるはずです。それが3社続くとなると、最終的に500兆円規模の資金が株式の買い付けで吸収される可能性があります。問題はそれに市場が耐えられるかどうかです。 より大きな愚か者が市場にはもはやいないことがわかった段階で、株式相場は下落に転じます。バブル崩壊の始まりです。 それが市場の想像よりもずっと早いタイミング、たとえば今年の夏に起きればOpenAIもアンソロピックも上場計画を延期せざるをえなくなります。仮に市場が3社の上場に耐えられず、アンソロピックだけが資金調達できないことになれば、ChatGPTとClaudeの性能順位の逆転すら十分に起こりうるということです。 ではその結果、私たち日本人の未来にどう影響するのでしょうか?シナリオは2つあります。 ひとつめのシナリオは上場がすべて成功した先の未来です。人間の能力をはるかに凌駕する超知能がきわめて近い未来に誕生することになります。私たち日本人はそれを使うことが経済の前提となり、生産性は日常的に大幅に上昇する一方でアメリカに支払うデジタル赤字も巨額なものになっていくでしょう。 ふたつめのシナリオは、3社のIPO計画が途中で頓挫する未来です。そのときにはAI株バブルがはじけることになります。実体経済への影響が大きいのは、アメリカのハイテク企業がそれまで計画していた巨額のAIデータセンター投資が鈍化することです。日経平均の上昇を支えてきたいわゆるAI半導体銘柄と呼ばれる企業群の業績見通しが悪化することが引き金となって、日本経済を不景気が一気に包むようになります。 【詳しくは…!】「スペースX不況」283兆円上場が招く〈AIバブル崩壊〉の現実味。イーロン・マスクが選んだ“IPOのタイミング”が天才すぎる…
鈴木貴博