「妊婦の希望をかなえる」無痛分娩に都が助成、医療現場に広がる波紋 [東京都]:朝日新聞

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太田原奈都乃 本多由佳

 出産はどのくらいの痛みを伴うのか、想像もできなかった。

 「だから、怖かった。痛みに強くないので、耐えられる気がしなかった」

 東京都八王子市の会社員、西田翔子さん(36)はそんな理由から、3年前に第1子を出産するとき、無痛分娩(ぶんべん)に24時間対応することで知られている地元の産院を選んだ。

 第1子は逆子だったため、帝王切開で出産。昨年10月に出産した第2子も帝王切開の予定だったが、産院に到着した時点で子宮口が開いていたこともあり、危険になったら帝王切開することを条件に無痛分娩に切り替えた。

 陣痛をやわらげるため、少しずつ麻酔を入れ始める。本格的に麻酔が入ってから出産まで、4時間ほど。痛みがまったくないわけではなかったが、「何とか耐えられる痛み」だった。

無痛分娩で次女を産んだ西田翔子さん(右)。出産時は体力の消耗も抑えられたという=昨年10月、西田さん提供

 分娩台の上でスマートフォンを手にするぐらいの余裕はあり、実家に預けた3歳の長女の様子を確認し、お産の進み具合を報告することもできた。体力の消耗も少なく、我が子との対面も「和やかに過ごせた」という。

 出産にかかった費用は約69万円。国の出産一時金(50万円)を引き、自己負担は19万円ほどだった。

 西田さんはいま、こう振り返る。

 「みんなが費用を気にせずに無痛分娩を選択できたら、幸せだなと思う」

6割が無痛分娩を希望、ただし費用が……

 出産は一般的に、子宮の収縮や子宮口の広がりによって激しい痛みを伴い、それが多くの妊婦にとって不安要素のひとつとなっていた。

 そんな痛みをやわらげることができるのが、無痛分娩だ。脊髄(せきずい)の近くに局所麻酔をする「硬膜外鎮痛法」が一般的で、呼吸を落ち着かせ、血圧の上昇を抑えることもでき、産後の体力を温存できたと感じる人が多いとされる。

 こうした効果への期待から、希望する妊婦は増加傾向にある。

 2023年度以降に出産した…

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この記事を書いた人

太田原奈都乃
ネットワーク報道本部・首都圏ニュースセンター
専門・関心分野
災害、政治、教育
本多由佳
首都圏ニュースセンター
専門・関心分野
関心分野 地方行政、政治、教育

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