屈強なバイキングの戦士たちが歯周病に悩まされていたって、マジ?

Image: Carolina Bertilsson

ちょっと親近感が湧いてしまったかも。

8世紀から11世紀にかけて、スカンジナビア半島を拠点に活動し、襲撃や略奪を繰り返してきたバイキング。映画『ノースマン』ではバイキングの荒々しい暮らしが描かれていますが、実は彼らの実態は少し違ったのかもしれません。

というのも、彼らは耳の感染症や歯周病に悩まされていた可能性が高いみたい。CTスキャンによる高度な画像解析の結果、多くのヴァイキングが頭部の慢性的な病に苦しんでいたことがわかったんです。

バイキングの口の中は地獄

2005年、考古学者たちはスウェーデンのヴァルンヘムで300体以上のバイキングの遺骨を発掘しました。これらは10〜12世紀のもので、スウェーデン最古のキリスト教集落のひとつとされています。

研究チームが、発掘された遺骨のうち20〜60歳で亡くなった15体の頭蓋骨をCTスキャンで解析したところ、12体に歯の根にできる細菌感染である根尖病変が、10体に重度の歯周病が見られたそうです。また、顎の骨の欠損や歯根分岐部の感染も発見されました。

さらに、耳の感染症が悪化して骨が硬化していたり、治りきらない顎の骨折の痕跡も確認されたりしたのだとか。

読んでいるだけで歯がズキズキしてきそう…。

虫歯にはなりにくかった

ただ、発見はこれだけじゃないんです。

当時は歯磨き粉がまだ発明されていなかったのに、調査対象のバイキングのうち生前に歯を失っていたのは6人だけだったそう。これは、当時は今ほど甘いものを食べていなかったからだと考えられています。虫歯にはなりにくかったのかも。

ちなみに、過去の研究では一部のバイキングが歯を尖らせたり染料で着色したりしていたことも明らかになっています。これは戦士としての威嚇効果を狙ったものだと考えられています(尖らせるのって痛そうだな…)。

考古学×テクノロジーでバイキングの真実を解き明かせ

この研究を主導したスウェーデンのヨーテボリ大学の歯科医カロリーナ・ベルティルソン氏は、CTスキャン技術の利点を語っています。

従来の考古学的手法では、分析のために骨を削る必要がありました。しかし、CTスキャンなら遺骨を完全な状態で保存しつつ、多くの情報を得ることができるのです

現代の医療技術により、バイキングの戦いの歴史だけでなく、彼らの日常生活のリアルな一面も知ることができるようになったってことですよね。派手な戦士のイメージとは裏腹に、歯の痛みや感染症に苦しみながら日々を生き抜いていただなんて。

調査結果を読む限り、半端ない痛みだと想像するのですが、バイキングほどになると精神論とか根性論とかで我慢できるものなのでしょうか。いろいろと知りたいことが増えてきたなぁ。

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