海で泳ぐクマを海上で駆除 “より大きく凶暴”ヒグマが本州上陸の可能性は?

青森県・陸奥湾の海上に、黒い何かが浮いているのがわかります。カメラがとらえたのは、クマでした。

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撮影者

「いきなり早く突進してきたらどうすんの。近い近い」

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港に戻る途中に、漁師が発見したという“泳ぐクマ”が撮影されたのは、漁協から北へおよそ200メートル離れた海でした。

クマを発見した漁師

「まさか海でクマって。驚きましたよ」

要請を受けた猟友会が漁船に乗り込み、海上で駆除。オスの成獣で体長およそ1.5メートル、体重はおよそ140キロだったということです。

専門家は…。

■ツキノワグマか「海で泳ぐのはほとんどない」

──今回、海でクマが見つかったが?

クマの生態に詳しい 岩手大学農学部 山内貴義准教授

「泳ぎ自体は非常にクマ得意」「ツキノワグマで間違いないと思います」

「川で泳いだりしたのを見たことあるが、海にでて泳いでるの見るのはほとんどない。それは驚きました」

「何かに驚いて海の方に逃げ出してしまったとか可能性はある」

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泳ぐのが得意だというクマ。北海道に生息する、より大きくて凶暴とされるヒグマが海を渡って本州に上陸する可能性はあるのでしょうか。

クマの生態に詳しい 岩手大学農学部 山内貴義准教授

「ヒグマが渡るかというと、目的がなければ多分渡る必要はない」

「津軽海峡かなり流れが速くて、実際に渡ることはないと」

日テレNEWS NNN

■個体削減へ…国の「短期的・中期的」クマ対策

山だけでなく海でも目撃されたクマ。こうした中、政府が打ち出したのは「クマ被害対策パッケージ」です。

石原環境相

「増えすぎたクマの個体数を削減していくことを打ち出している。その上で人とクマのすみ分けを実現していきます」

目標としているのは、増えすぎたクマの個体数の削減。

そのために、すでに始まっている警察によるライフル銃の運用だけでなく、短期的対応や中期的対応が盛り込まれました。

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今後行っていく短期的な取り組みには、冬眠中や冬眠明けのクマの捕獲や、クマ駆除技能をもつ警察官の人材確保。

このクマの捕獲について、北海道のクマハンターは…。

北海道猟友会 札幌支部・奥田邦博支部長

「これは可能です。以前はやってましたから。私たちの先輩はやってました」

「冬眠前から調べに行って、あそこの山に何頭冬眠してる。あそこの斜面には200キロ級のクマが寝てるというのを、冬眠前に探りに行く」「もう今月から準備しないと間に合わない」

中期的な取り組みには「統一された手法による個体数の管理」や「専門人材・捕獲技術者の育成」などが盛り込まれました。

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■「5年なり10年なりの経験要する」最前線のハンターは…

ただ、クマの現場の最前線にいるハンターは“現場のリアル”を口にします。

北海道猟友会 札幌支部・奥田邦博支部長

「クマのトレーニングって1年、2年でできるもんじゃない」

「5年なり10年なりの経験を要するものが今うちの隊員、第一線で活躍してくれている」

さらに、電気柵やクマ撃退スプレーなどの購入費など、交付金による支援もあるということです。

自治体は、これを歓迎。

岩手県内の自治体

「全般的にクマ対策の予算は足りていないので、交付金はありがたい」

秋田県内の自治体

「昨年度はクマスプレーだけで約100万円の予算が使われていた。国が負担してくれるのは大変ありがたい」

政府が本腰を入れ始めたクマ対策。効果はいつ頃、あらわれるのでしょうか?

11月15日(土)午前0時(金曜深夜)放送『news zero』より

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