大阪・堺で古墳を一望する気球フライト、上空から見る紅葉は今だけ

2025.11.15 08:00

「おおさか堺バルーン」に乗ることができる「大仙公園」(堺市)

(写真14枚)

世界遺産の「百舌鳥・古市古墳群」を気球で巡る新たなアクティビティ「おおさか堺バルーン」が10月4日よりスタート。1日最大476名が利用するなど好評な様子だが、はたしてどういったものなのか。実際に体験してみた。

2019年、世界遺産に指定された堺市の百舌鳥・古市古墳群。その全容を上空から眺められるのが、地域創生やキャンプ場事業などを手掛ける「アドバンス」(本社:兵庫県豊岡市)が運営する係留式ヘリウム気球「おおさか堺バルーン」だ。

気球といえば、トルコのカッパドキアやドバイの砂漠のように広大な土地で楽しむ印象が強い。それだけに「あの堺に気球が・・・?」となかなかイメージできなかったのだが、最寄駅であるJR阪和線「百舌鳥駅」に降り立つと、早速空に真っ白な球体が浮かんでいるのを発見。住宅が並ぶのどかな場所の真上に気球が浮かぶという、一風変わった光景が広がっていた。

みるみるうちに上昇していく気球。近くで見るとなかなかの迫力だ

気球が上がるのは、堺市民の憩いの場「大仙公園」だ。取材日は平日だったのだが、乗り場には予約者たちの列がずらり。担当者によれば運行が始まって以来好評とのことで、予約枠は1週間先まで埋まっているそうだ。

「おおさか堺バルーン」の料金など。堺市民は割引があり、お得

乗り場に向かうと、ちょうど風が強くなったタイミングということでしばし休止状態に。やはり風に左右されるアクティビティということで、休止や中止することも珍しくないようだ。が、これも安全確保のためにはやむを得ないこと。  

約30分後に再開し、いよいよ気球に乗り込む。ゆっくり地上から離れたかと思うと、あとはぐんぐんと高スピードで上昇していく。先程まで見上げるほどの高さだった公園内の「平和塔」(約60m)も抜き去り、あっという間に上空100mの世界に到達した。

堺市内や大阪の街も一望できる。筆者は見つけられなかったが、あの「大屋根リング」も運が良ければ見つかるかも?

高所恐怖症の筆者は身がすくむような高さだったが、落ち着いてみると「大仙公園」の紅葉や堺の街並みなどが眼前に広がる。なんと『大阪・関西万博』の会場、夢洲も見ることができ、今ならまだ「大屋根リング」も確認できるそうだ(2025年11月時点)。また同乗のガイドさんが古墳の位置や豆知識をユーモアたっぷりに解説してくれるのもありがたい。

地上にいると見ることのできない古墳の全容を眺められる

運行中は自由に場所を移動できるので、今回の主役である古墳群も360度ぐるりと見渡すことができた。日本最大とされる巨大古墳「仁徳天皇陵」に「ミサンザイ古墳」、「履中天皇陵古墳」、「いたすけ古墳」と今まで教科書でしか見ることができなかった古墳が視界に広がり、思わずため息が漏れる。

内側からも真下の景色を眺めることができる

同乗していた女性グループは堺市民や近隣の市から参加したそうで、約10分のフライト中、終始楽しそうな声を上げていた。日本では珍しい気球体験ということで海外観光客が多いと思いきや、堺市民は2割引を受けられることもあってか、地元民の利用者も非常に多いとか。

気球内にはネットが張られているので安心

また年齢制限は特になく、幼児や車椅子ユーザーも搭乗できるため、気軽に空の旅や古墳を一望できるアクティビティとして今後浸透していきそうだ。

「おおさか堺バルーン」に乗る人々

「おおさか堺バルーン」の料金は大人4200円、子ども(3歳〜12歳)3000円。WEB割引や堺市民対象の割引あり。利用日の10日前から予約可能、現地での当日受付も(予約者優先)。運行時間は10時〜17時40分。アクセスは、JR阪和線「百舌鳥駅」から約5分、「大仙公園」内。

11月15日、乗り場に観光案内所もオープンした

取材・文/つちだ四郎 写真/Lmaga.jp編集部

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