ソニー「α7 V」、早速触ってきた。定番機はAIとともに進化を遂げる

Photo: ヤマダユウス型

勘違いするカメラだコレ、自分が上手くなった気がするもん。

ソニーから新しいミラーレス一眼「α7 V(ILCE-7M5)」が登場しました。市場推定価格は42万円前後、2025年12月19日発売予定。前モデル「α7 IV」から4年ぶりの後継機ということで、待望オブ待望のヤツですね!

数あるαファミリーのなかでも、この7無印系列は定番とされているモデル。新世代フルサイズのスタンダードとして過不足のない性能を備えてきました。でも、さすがに4年経つとスタンダードも変わりゆくもの。

Photo: ヤマダユウス型

そんな2025年現時点での最新を体現すべく登場したのが、この「α7 V」。タグラインも「Redefine basic(基本を再定義)」と、自分のポジションを完全に理解ってます。

発表会にて触ってきたので、「α7 V」のインプレッションを紹介。なお、記事中の写真はすべて「α7 V」で撮影したjpg撮って出しです(トリミングはしてます)。レンズは「FE 24-70mm F2.8 GM II」。作例としてもご参考ください。

ウェルカム、バリチル

Photo: ヤマダユウス型。写真左は「α7 IV」、右は「α7 V」。

まずはササッとデザインから見ていきましょうか。見ての通り筐体のデザインは前モデルからほぼ変化無し。主な変化点はグリップモニター周りになります。

Photo: ヤマダユウス型

「α7 IV」の頃よりグリップの曲線が滑らかになり、中指にかかる部分のへこみがより手にフィットするかたちになりました。ブラインドテストしてみるとギリギリわかるかなという違い。

Photo: ヤマダユウス型

ボディの厚みはほんのわずかにアップ。重量は約695gで、「α7 IV」の約658gからそう変わってはいません。

Photo: ヤマダユウス型

厚みとウェイト増加の要因は、バリアングルチルトモニター(通称バリチル)を採用したから。また親指がかかる部分の出っ張りやシボの凹凸感もちょいアップしていて、ホールド感が向上しています。

Photo: ヤマダユウス型

うーむ、やっぱりバリチル便利です。「バリアングルは光軸がズレるからスチル派にはうんたら」という意見もわかりますが…。

Photo: ヤマダユウス型

縦位置ローアングルのような画面が見づらい状況では、もはや光軸とか関係なし。撮影自由度が大きく向上するので、動画にしか恩恵がないなんてことはありません。良いですよ、バリチルは。

デザインをおさえたところで、主だったスペックも簡単にご紹介。詳細は公式サイトをば。

画素数…有効画素数は静止画で約3300万画素、動画で約2760万画素

センサー…部分積層型CMOSイメージセンサー

画像処理エンジン…BIONZ XR2プロセッサー

連写…ブラックアウトフリーで電子シャッター時最高30コマ/秒、メカシャッター時最高10コマ/秒

手ぶれ補正…中央7.5段、周辺6.5段

主なトピック…最大1秒前までのプリキャプチャー、メカシャッター時に16stopsの諧調表現、ノンクロップ4K60P、高い冷却性能、WiFi 6対応、省電力化

AIが、より優れたAFとホワイトバランスを提供

新開発のBIONZ XR2プロセッサーは、「α1 II」などに搭載されているBIONZ XRプロセッサーにAIユニットを統合したもの。ちなみに「α IV」にはBIONZ XRのみが搭載されているので、エンジン的には2世代前という言い方もできますね。

では、AIがあるとどこが便利なのか。

わかりやすいのがAF性能で、「α7 V」は秒間60回のAF/AE検出が可能。人物認識については姿勢の推定が可能になり、認識対象も頭部・動体、さらに人以外では車・飛行機・昆虫などなど、認識できる幅が広がっています。

Photo: ヤマダユウス型

たとえばこちらの撮影ではダンサーの顔・瞳にAFが食いついたまま連写し、連写中や連写をやめてもまだピントが合い続けています(シャッターは半押し)。これが可能なのはBIONZ XR2だからこそとのこと。

Photo: ヤマダユウス型

あと、単純に秒間30コマ撮影がすんごい。マシンガンのような連写で、切り取りたい瞬間の前後をバチコリおさえてくれます。AFが賢くなった分、撮影者はタイミングやフレーミングの意識に注力できますね。

Photo: ヤマダユウス型

こちらはミルククラウンの瞬間を30コマで撮影したもの(手持ちMFで撮影)。10コマでこの瞬間を切り取るのは厳しかったでしょうね。

また、AFだけでなくAWB(オートホワイトバランス)もAIで改善。従来は写っている映像に対してシーン推定でアプローチしていましたが、1万を超えるデータベースを学習させることで、より正確な光源推定が可能になっています。

Photo: ヤマダユウス型

こちらのシチュエーションは曇天の自然光+ビデオライトのミックス環境ですが、jpg撮って出しでも非常に自然な色合いです。コントラストも絶妙ですねぇ。

…が、正直ソニーらしい色味を感じるシーンもなくはなく。ちょっといじわるですが、実例をお見せしましょう。

Photo: ヤマダユウス型

木目を背景としたこちらの写真を覚えておいてください。ソニーのAWBは青〜緑に寄りやすいという声がちらほらありますが…。

Photo: ヤマダユウス型

ピントを照明から木目に移すと、ややグリーン寄りに。こうした状況では太陽光を使えば問題ありませんが、例えば森林のような極端な有彩色環境や暗所などでは、AWBでも安定しやすくなったと覚えておいてくださいませ(人物には特に強い気がしました)。

次世代の基準を押し上げる、待望の一台

Photo: ヤマダユウス型

最後は作例とともに振り返っていきましょう。基本の再定義というステートメントに偽りはなく、操作性も画質もめちゃくちゃ完成度高いです

Photo: ヤマダユウス型

コントラストがキツいこちらの写真も、ヒストグラムを見ると上下どちらも残っていました。発表会では公式サイトにある湖の写真のプリントを見せてもらったのですが、暗部のグラデーションの内部もしっかり残ってたんですよね。しかもjpg撮って出しっていうんだから!

Photo: ヤマダユウス型

そして、これだけの高いパフォーマンスを「基本性能」にしようとしてるのが、「α7 V」スゴイところ。まぁこれだけベース性能が高いとレンズも良いものが欲しくなる→総額だと定番レベルを超えちゃう、みたいなジレンマはあるやもですが…。

と、そんなジレンマの解消枠として「α7 V」のキットレンズとなるニューレンズ「FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS II」が登場します。市場推定価格は4万3000円前後、発売日は2026年2月13日。なお「α7 V」とのズームレンズキットとしては2026年春以降の発売です。

デジカメ業界のステージがまたひとつ進む、そんなきっかけになりそうな一台ですね。ぶっちゃけ想定よりも安いなと思ったんですけど、これってスペックに対する印象であって「定番機」だと思えば妥当なところというね。この性能で妥当って、なんて贅沢な感想よ…。

Source: ソニー

関連記事: