「長谷部さんがいなくなって…」長年ボランチ支える遠藤航、佐野海舟の台頭歓迎も「僕も譲るつもりはない」

長谷部誠コーチと共に練習するMF遠藤航(リバプール)

 キリンチャレンジカップ・ガーナ戦(◯2-0)から一夜明けた15日、日本代表が千葉市内での合宿を再開。練習後、ガーナ戦をベンチで見守ったMF遠藤航(リバプール)が報道陣に対応し、「ガーナ戦は内容的には自分たちが良かったと思う。当たり前とは言わないけど、目指しているところを考えると、こういう相手に対してしっかり勝ちきらなきゃいけないという感覚がみんな強いと思う」と手応えをにじませつつ試合を振り返った。

 ガーナ戦ではダブルボランチの一角として出場したMF佐野海舟の出来映えが日本代表のチームメイトからも相手監督からも高い評価を受けた。特に目を引いたのはデュエルの強さ。前半16分には高い位置でガーナFWアントワーヌ・セメニョ(ボーンマス)からボールを奪ってショートカウンターを発動し、MF南野拓実(モナコ)の先制点をアシストした。

 これには遠藤も思うところがあった様子で「ボランチのレベルが上がることは素晴らしいこと。競争がある中でやらなきゃいけない」と言い、まずは激しくなっているポジション争いを歓迎。そして「ロシアW杯の後、長谷部(誠)さんがいなくなって『次が誰がやるんだ』『ボランチがいない』みたいなことが言われてきている中で、自分は(ロシアW杯から)そのままA代表にいて引っ張ってきた。今はチーム全体を見てもボランチの層がすごく厚くなっていると思う」と指摘した。  とりわけ、デュエルについては遠藤がブンデスリーガのシュツットガルト時代にデュエル勝率リーグナンバーワンの実績を誇ったことで、リバプールまで登り詰めたことが森保ジャパンの隆盛の礎となっているという自負がある。 「自分が引っ張ってやってきて、また若い世代が出てきているというところに関しては、自分がやってきたことが代表に貢献しているのかなという考え方もできる。今のサッカーのトレンドもあるし、どういうスタイルでボランチが勝ち残っていけるのかを考えながら今のスタイルになっていて、それが今この日本代表選手のスタイルになっているという感じだと思う」(遠藤)  もちろん「ただ、僕もスタメンを譲るつもりはない。まだまだ負けん気は出していかなきゃいけない」と強調する。所属先のリバプールでは出場機会の激減に苦しんでおり、開幕から既に3か月が経過しているが、今季はプレミアリーグの出場がわずか4試合でプレータイムは39分。コンディションが案じられる状況だ。 「そこは絶対にみんなが心配してくれているところ」。ハイパフォーマンスを出せるのかと危惧する向きがあることは遠藤自身も重々承知だ。しかし、強靱なメンタルの持ち主は不安視する外野の声を受け止めつつ、「そこに関してはあんまり気にしてないんですよ」と言う。 「個人的には、自分は試合に出ていたら『疲れてますか?』みたいな話になって、出ていなかったら『コンディションがどうなのか』みたいにずっと言われているけど、そこは考え方一つで全て変わると思っている。自分は今の状態でも正直、高いパフォーマンスを発揮できるというか、それだけの自信を持って挑める覚悟がある。周りはもちろん、ファンも含めていろいろ言うと思うけど、大事なのはワールドカップで結果を残すか残さないか」  強い意志で変わらず前を見つめながら「ボリビア戦は、自分が高いパフォーマンスでW杯を戦えるということを証明する試合にできればいい」と言った。 (取材・文 矢内由美子) ●2026ワールドカップ(W杯)北中米大会特集▶日本代表の最新情報はポッドキャストでも配信中

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