新幹線のフリーWi-Fiはなぜ“激遅”でも残るのか? 地下鉄・コンビニは撤退も、5G全盛でも消えない理由とは

 しかし、この視点からも考察できる。筆者はauの通信量無制限プランを利用しているため、Wi-Fiなしでも快適にスマホを使えている。しかし、月々の料金を抑えるために「月○○GB」などの有制限プランを選ぶ人は少なくない。そのようなユーザーにとって、新幹線車内の『Shinkansen Free Wi-Fi』や『JR-EAST FREE Wi-Fi』は「なくては困る存在」ではないか。  また、日本の国土の約4分の3は山地で、5G回線がカバーしていない地域も多い。新幹線がそうした地域を通過するとき、無制限プランでもスマホは5G回線を掴めない。そうなると頼れるのは車内Wi-Fiだけである。  そもそもフリーWi-Fiサービスは公共サービスとしての側面が強い。新幹線車内のWi-Fiが5Gに速度で劣るのは確かだが、それだけを理由に 「新幹線車内Wi-Fiの必要性は薄れている」 と断じるのは早計だろう。

 さらに別の視点も考えられる。新幹線でノートPCを開き、軽い仕事をするシチュエーションだ。ノートPCはセルラーモデルを除き、スマホのように直接ネット接続できない。有線LANかWi-Fiを利用する形となる。スマホのテザリングを使う手もあるが、スマホのバッテリー消費が増える煩わしさがともなう。  データ量の観点で見れば、新幹線車内での作業は大きくない。 ・Googleドキュメントやスプレッドシートの編集 ・ファイル添付をともなわないメール送受信 ・簡単な調べ物程度 であれば、現在の技術水準で十分可能である。たとえ「激遅フリーWi-Fi」であっても、軽作業なら問題ない。ただしビデオ会議となると話は別だ。  こうした事情から、フリーWi-Fiサービスは数を減らすことはあっても、完全に消えることはないと考えられる。新幹線車内のWi-Fiも、5G回線が利用できない場合の代替手段として依然として重要な価値を持つ。新幹線のWi-Fiサービスは、当面は現役であり続ける可能性が高いだろう。

澤田真一(ライター)

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