【独占手記】10年目の阪神坂本誠志郎 名捕手ぞろいの球宴で明かす捕手として大切にする信条とは

全パ対全セ ファンに手を振る全セ坂本(撮影・藤尾明華)

<マイナビオールスターゲーム2025:全パ5-1全セ>◇第1戦◇23日◇京セラドーム大阪

プロ10年目でオールスターに初出場した全セの阪神坂本誠志郎捕手(31)が、日刊スポーツに独占手記を寄せた。全セの指揮を執り、監督選抜で選んでくれた巨人阿部慎之助監督(46)は同じ捕手として尊敬する存在だ。「10年目の夢舞台」と題した2回連載の1回目は、ライバル球団の捕手への思いや、自身が大切にする信条を語った。【聞き手=波部俊之介、柏原誠】

   ◇   ◇   ◇

プロ10年目で、初めてのオールスターになりました。正直「僕なんかが」という思いもありましたが、これだけの選手の中で選んでいただいてすごくうれしいです。他の選手といろいろ、しゃべったりしながらできて。楽しかったですね。

阿部監督からの監督選抜で選出していただきました。ジャイアンツでずっと捕手をやられていて、僕にすれば本当に雲の上の存在。阿部監督を見ていて感じていたことは、やっぱりリーダーシップ。一塁を守るようになられてからも、投手に声かけに行くタイミングだったりが印象的でした。あとは技術もそうですが、何かこう、内面から出てくるものを野球に使ったり。そういうものが大事なんじゃないかなとも思いました。捕手は攻めることも守ることも大事。気持ちの面で、いろんなことを表現されている方だと感じます。

僕も普段からいろいろな投手とコミュニケーションを取りますが、大切にしているのは「会話」することです。こちらからだけ話すとかは嫌いです。やっぱり僕が思うこともあればピッチャーが思うこともある。それは年齢関係ない。

けれど、自分の立場的には若い投手に「こうやっていかないと抑えられない」ということも教えてあげないといけない。もしくは「自分がやりたいことと違っていても抑える」ということも必要だったりします。「いいピッチングをすることだけにフォーカスしないといけない」立場の人と、「いいピッチングをすればいいだけじゃない」立場の人がいる。人によってやっぱり話すことも変わるし、どういう考えを持ってやっていたかを聞くことも大事。だからこそ一方通行な会話は好きではないですね。

例えば、デュプランティエは「坂本のおかげ」とよく言ってくれますけど、それ以上に、試合前にたくさんの情報量を自分で仕入れています。いろんな話をして「じゃあいこう」と決めて試合に臨んでいるので。キャッチャーとしても楽ですね。やっぱりピッチャーは考えて投げることが大事なので。個人的には、日本での成功を考えると基本的に外国人選手は彼らの思うようにやらせてあげたいと考えています。それに対してのアプローチと、行き詰まったり気になることがあったらヒントをあげて。何とかいい形のものを出して欲しい。基本的には彼らの要望に沿って、ということが優先になりますね。

今回のオールスターではセ・リーグから甲斐選手と坂倉選手が出場されていますが、普段から他球団の捕手はやっぱり気になってしまいます。興味もあるし、自分自身へのヒントにもなる。「これが欲しい」とか「こういうスキルをもっと身に付けたい」、「もっとこういう風になりたい」と思っていることに近づくものとか、可能性があることは気になりますね。

甲斐選手は元々パ・リーグにいらっしゃったので、なかなかシーズンを通しては見ることがありませんでした。1つ1つのブロッキングであったり、技術1つ1つのレベルがかなり高い。体の大きさは違いますけど、サイズ感としては少し自分も似ていると思うので。どういう体の使い方をしているのかとか、そういう部分はすごく気になっていました。

坂倉選手は打者としても、捕手っぽい打ち方をしていると感じる時があって。読みというか、考えながら。受けていて「うわー、さすがに乗ってくれないか」とか「うわ、ここきた」とか、少しキャッチャーならではというところがあるんじゃないですかね。

他球団の捕手と交流できる機会はあまりないので、その楽しみが大きかったです。いろんなことを聞いたり情報を得たり。やっぱり聞ける人が多いほど、自分の幅も広がると思います。あまり言えるようなことはあまりないですけど、きょうもいろいろと話せました。第2戦も、また違う人と野球のことや技術的なこと、そうじゃないこともいろいろと話せたらと思います。(阪神タイガース捕手)

○…この日の坂本 7回2死から代打で初出場した。球宴初打席は日本ハム北山との対戦。フルカウントまで持ち込んだが、右飛に倒れた。直後の守備からマスクをかぶり、広島島内、阪神石井とバッテリーを結成。試合前には巨人甲斐と内野ノックを受けるなど、他球団の選手とも交流した。「明日、もう1日あるので。明日も楽しみたいなと思います」と充実の表情だった。

【関連記事】阪神ニュース一覧

関連記事: