「NASAの科学を守れ」-米惑星協会などがホワイトハウスの予算案に反対を表明(UchuBiz)
宇宙探査を促進する非営利組織の米惑星協会(The Planetary Society)が米航空宇宙局(NASA)の科学予算を元に戻すように主張した。米国時間10月6日に連邦議会議事堂前で記者会見を開催した。米メディアSpace.comが報じている。 ホワイトハウスが5月に発表した2026会計年度予算案では、NASAの総予算を24%、そのうちの科学プログラムの47%を削減することを求めている。宇宙探査にとって「絶滅レベルの危機」をもたらす恐れがあるとThe Planetary Societyは訴えている。 「NASAの科学を救え」と題した記者会見には300人以上の支持者に加え、20の科学機関や教育機関などの関係者も出席した。The Planetary Societyの最高経営責任者(CEO)であるBill Nye(ビル・ナイ)氏は「政権による削減案は、数十のミッションの早期終了を強いるものだ。機能している探査機の電源が一方的に切られ、事実上すべての将来の科学ミッションの開発作業が一方的に停止させられる」と主張した。 「宇宙探査に関しては、民間の選択肢は存在しない」とNye氏は語る。「NASAの科学は非常に価値があり、費やされる1ドルごとに、少なくとも3ドルが経済に還元される。昨年、NASAの科学投資は200億ドル(約3兆円)以上の経済成長を生み出し、全50州で8万人以上の雇用を支えた」 記者会見は、予算失効でNASAを含む連邦政府機関が閉鎖された最初の週に開かれた。政府機関閉鎖で1万5000人以上のNASA職員が一時帰休となり、科学活動の大半が凍結された。政府機関閉鎖が終了すれば、NASAの歳出について議会が再検討する可能性は高いが、その兆候はまだない。The Planetary Societyとその支持者たちは今後数週間、議員たちにメッセージを訴え続けるとしている。 ホワイトハウスが示した予算案に対しては、存命する7人の元NASA科学ミッション局長が反対を表明、NASA職員や関係団体などによる抗議デモも実施されている。
塚本直樹