AIエージェント相場の現状と展望-米国、日本とも注目銘柄多数。最先端半導体企業と主力工場を持つ日本の再評価へ-

毎週月曜日午後掲載

本レポートに掲載した銘柄:エヌビディア(NVDA、NASDAQ)、インテル(INTC、NASDAQ)、AMD(AMD、NASDAQ)、マイクロン・テクノロジー(MU、NASDAQ)、キオクシアホールディングス(285A、東証プライム)、コヒレント(COHR、NYSE)、ルメンタム・ホールディングス(LITE、NASDAQ)、マーベル・テクノロジー(MRVL、NASDAQ)、JX金属(5016、東証プライム)、住友電気工業(5802、東証プライム)

1.AIエージェントブームが米国経済を動かす。

 今回は、今のAIエージェント相場の中身を探り、今後を展望したいと思います。

 2026年1-3月期、2-4月期の半導体関連各社、インテル、AMD、キオクシアホールディングス、コヒレント、ルメンタム・ホールディングス、マーベル・テクノロジー、エヌビディア、ブロードコムなどの決算説明会において、AIブームの中身が生成AIブームからAIエージェントブームへ移行するにつれて、AIを動かすAIデータセンターの中に大きな変化が起きていることが報告されました。私は4月以降の決算レポートや、メモリ株に関するレポートの中で、この巨大な変化を解説してきましたが、今回はこれをまとめてみたいと思います。

 さらに株式市場におけるAIエージェント相場の行方も考えてみたいと思います。

 まず、生成AIへの設備投資→AIエージェント関連設備投資が米国経済に大きなインパクトを与えていることを見たいと思います。グラフ1、表1はハイパースケーラー4社(大規模データセンター事業者、大手クラウドサービス会社のアマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、アルファベット、大手SNS会社のメタ・プラットフォームズ)の設備投資の推移です。2025年に続き2026年、2027年も巨額の設備投資が続くと予想されます。

 この結果、各社の営業キャッシュフローに対する設備投資の比率が上昇しており、4社合計で見ると、フリーキャッシュフローは縮小する方向にあります。ただし、この設備投資が実って大手クラウドサービス会社の業績が上向き、メタの広告収入が増加すれば、フリーキャッシュフローはまた増え始めると思われますが、この場合、2029年も設備投資の伸びが続く可能性があります。

 一方で、この巨額投資は米国経済に大きなプラスの影響を与えています。表2は米国の2026年1-3月期の米国実質国内総生産(GDP)伸び率(年率換算)(第2次改定値)に対する各分野の寄与度をみたものです。実質1.60%増のうち民間設備投資の寄与が1.19%で、このうち情報機器等の「装置・機器」(ハードウェア)が0.88%、ソフトウェアなどの知的財産製品が0.63%となります。これだけ影響力が大きい設備投資となると、思い当たるのは生成AI向け設備投資です。

 しかも、2026年1-3月期の民間設備投資には大きな特徴があります。ハードウェア投資の寄与度がソフトウェア投資よりも大きくなっているのです。

 実は、ハードウェア投資は、大きな規模での伸びが始まったときには、経済に対する寄与度がソフトウェア投資よりも大きくなる傾向があります。AIサーバーの中のAI半導体は台湾で生産されていますが、CPU、DRAM、光半導体、各種電子部品などは米国国内で生産されているものがあります。AIサーバーやその周辺の通信機器は主に米国国外の工場で組み立てますが、データセンターで使う発電機、重電機器のように機器によっては米国内で生産しているものもあります。それらの機器は米国国内のデータセンターに運ばなければなりません。また、データセンターを建設するには多くの現場作業員が必要になります。今米国で問題になっているのはデータセンターを新規建設するときの電源不足の問題ですが、発電所の建設や変圧器などの重電機器の設置、メンテナンスには専門の資格をもった技術者が必要になります。

 このようにハードウェア投資は、工場での半導体、電子部品、各種機器の生産、組立、輸送、設置、メンテナンスの全てに、ソフトウェア投資に比べて多くの技術者、労働者が必要になるのです。大勢の人が動けば経済は成長します。

 今後の注目点は、この設備投資主導の米国経済の成長が長続きするのかどうかです。この問題には長期金利と政策金利の問題が絡みますが、もし金融政策が適切でこの景気が長続きする場合、多くの米国企業の業績が今よりもさらに上向くことになると思われます。

 通常、企業業績が上向いたときに多くの企業が考えるのが情報システムの更新、増強です。今まさにAIエージェントを企業や役所の情報システムに組み込むAIエージェントブームが始まったところですが、経済成長が続くことでこのブームが長続きする可能性があるのです。

 このブームのリスクは、AIエージェントを情報システムに組み込んだ時に本当に使えるのかということです。今のところ、AIエージェントを止める企業が大量に出てきたという話は出ていませんが、この点には今後も注目する必要があります。

 ちなみに、AIエージェントブームによってAIデータセンターの中身が大きく変わっていますが、この変化がおぼろげながらわかってきたのは、2025年10-12月期の例えばAMDのIR DAYからであり、明確になってきたのは、2026年1-3月期、2-4月期のインテル、AMD、キオクシアホールディングス、エヌビディア、マーベル・テクノロジーなどの決算説明会とIR DAYからです。この結果、2026年4月初旬から米国のSOX指数が急騰していますが、これはファンダメンタルの変化があまりにも強烈だったためであり、投機やバブルではないというのが私の見解です。

グラフ1 米国のハイパースケーラー4社設備投資合計

単位:100万ドル、出所:各社資料より楽天証券作成、ハイパースケーラー4社は、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、アルファベット、メタ・プラットフォームズ

表1 米国のハイパースケーラー設備投資額(暦年)

単位:100万ドル 出所:各社資料より楽天証券作成

注:マイクロソフトは各年1-3月期~10-12月期の合計。会社予想はレンジ平均値。

グラフ2 米国のハイパースケーラー4社の営業キャッシュフロー合計と設備投資合計

単位:100万ドル、出所:各社資料より楽天証券作成、注:ハイパースケーラー4社は、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、アルファベット、メタ・プラットフォームズ

グラフ3 米国のハイパースケーラー4社の設備投資合計/営業キャッシュフロー合計

単位:%、出所:各社資料より楽天証券作成、注:ハイパースケーラー4社は、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、アルファベット、メタ・プラットフォームズ

表2 米国のGDP統計(寄与度)(季節調整済み、年率、2026年1-3月期第2次改定値)

出所:Bureau of Economic Analysisより楽天証券作成

グラフ4 米国雇用統計:非農業部門雇用者数前月比

単位:1,000人、季節調整済み、出所:U.S. Bureau of Labor Statisticsより楽天証券作成

グラフ5 SOX指数

日足終値、単位:ポイント、出所:ブルームバーグより楽天証券作成

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