【世界最大の氷山が崩壊】東京の2倍の面積を誇った世界最古の氷山「A23a」40年の旅路に終止符へ(スペースチャンネル)
南極で生まれた世界最大の氷山「A23a」が、ついにその壮大な旅を終えようとしています。1986年に南極のフィルヒナー=ロンネ氷棚から分離して以来、約40年にわたり科学者たちの目を引き続けてきたこの氷山は、現在南大西洋の比較的暖かい海域で急速に崩壊しつつあります。
■東京の2倍の面積からロンドン並みに縮小
国際宇宙ステーションから撮影された巨大氷山「A22A」出典:NASAA23aはかつて東京の2倍の面積である4000平方kmを超える大きさを誇っていました。しかし今では、面積はおよそ1,700平方km、ロンドン市街地と同程度にまで縮小。現在は急速に分裂し、大きな塊を次々と放出しています。
通常、氷山は数年から十数年で消滅しますが、A23aは異例の長寿を誇りました。その理由は「座礁」です。
- 1980年代に分離直後、南極・ウェッデル海の浅瀬に引っかかり、数十年間動けなかった
- 2020年にようやく解放され、2023年末には大西洋へ流出
- 2024年には「テイラーコラム」と呼ばれる海流の渦に巻き込まれ、数カ月間くるくると回転
まるで自然に翻弄されながら漂い続けた「旅する氷山」でした。
■ 終焉のとき
Tabular iceberg 出典:Andrew Shiva今年初めにはサウスジョージア島に衝突する可能性が取り沙汰され、ペンギンやアザラシの繁殖地が脅かされると懸念されましたが、島の手前約80kmで座礁。その後再び動き出し、現在は氷点下を大きく上回る水温の中で急速に崩壊しています。
地球温暖化の影響が推測されるとは思いますが、氷山の寿命としては自然なプロセスであり、気候変動の直接的な影響ではないと見られています。数百万年もの間、氷山はこのように生まれ、そして消えていくと考えられています。
2 ⁄ 4詳細氷山の一角のイメージ 水面下は海上の氷山の写真を反転させて合成している 出典: Uwe Kils and Wiska Bodo消滅目前のA23aですが、その存在は今後の科学に重要なデータを残します。研究者たちはA23aが通過した海域で環境サンプルを採取。淡水と海水の混合が生態系や海洋の炭素循環にどのような影響を与えるかを調べています。巨大氷山の挙動を理解することは、将来的な海面上昇の予測にもつながると期待されています。
果たして、私たちは人間の活動が地球環境に与える影響を本当に十分に理解しているのだでしょうか。それとも、私たちの知識はいまだ「氷山の一角」にすぎず、その下には、解明されていない複雑で繊細なメカニズムが隠されているのではないでしょうか?皆さんからのコメントお待ちしています。
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