トランプ氏が目指すiPhoneの国内製造、多数の難題に直面
[ニューヨーク/ワシントン 23日 ロイター] - トランプ米大統領が目指しているアップルのスマートフォン「iPhone」の米国内での製造には、多数の法的、経済的な難題が待ち構えている。複数の専門家が23日に語った。
ラトニック米商務長官は今年2月、CBSテレビに対し、iPhoneの製造が米国に移転されれば、多くの労働者が現在手作業で行っている極めて小さなネジの取り付け作業が自動化されることになると述べた。
だがラトニック氏はその後、CNBCテレビに対し、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)から、自動化にはまだ実用化していない技術が必要になると伝えられたと話した。
貿易専門の弁護士や有識者の話では、トランプ政権がアップルに圧力をかける上で最も手っ取り早い手法は、幅広い輸入品に関税を課す際に根拠となった法的メカニズムを活用することだ。
米国の国際緊急経済権限法(IEEPA)は大統領に、米国にとって異例かつ途方もない脅威が生じた際に緊急事態を宣言した上で経済的行動を起こすことを認めている。
法律事務所エイキン・ガンプ(ワシントン)のパートナー、サリー・スチュワート・ライン氏は「特定の企業に対する関税を認める明確な法的権限はないが、トランプ政権はそれを緊急事態における権限に押し込もうとするかもしれない」と述べた。
専門家の話では、トランプ政権はIEEPAについて、大統領の緊急事態への対応を審査する権限を裁判所が有するとは明記されていないため、柔軟かつ強力な経済的ツールになると解釈している。
デューク大学の国際法律学教授、ティム・メイヤー氏は「政権の見解では、緊急事態宣言という儀式を行い、脅威が『異例かつ途方もない』と宣言する限り、裁判所にできることは何もない」と話した。
ただウェドブッシュのアナリスト、ダン・アイブス氏は調査ノートに、iPhoneの生産を米国に移転するには10年もの期間を要し、1台当たりのコストは3500ドルとなる可能性もあると記した。
同氏は「当社はiPhoneを米国で製造するという発想は、実現不可能な『おとぎ話』だと考えている」と述べた。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab
Jody Godoy reports on tech policy and antitrust enforcement, including how regulators are responding to the rise of AI. Reach her at [email protected]