米国製兵器の供給遅延、エストニアは韓国製ロケット砲の追加調達を決定

米国は対イラン戦で武器備蓄を消耗したため、英国、ポーランド、リトアニア、エストニアを含む欧州の同盟国に「契約済みの武器納入が遅れる可能性が高い」と通知して問題になっていたが、エストニアは韓国製ロケットシステム=Chunmooの追加調達契約を11日に締結した。

参考:한화에어로스페이스, 에스토니아 천무 추가 공급

西側諸国は戦場への火力投射を航空戦力に依存してきたが、ウクライナとロシアの戦争は「高度な防空システムによる接近拒否は成立する」と証明し、これが地上ベースの火力投射能力の再評価に繋がって自走砲や多連装ロケットシステムの新規・追加導入が相次いでおり、バルト三国のエストニア×6両、ラトビア×6両、リトアニア×8両もHIMARSを調達し、エストニアはHIMARSの追加調達を検討していたものの納期が非常に長く、エストニア国防投資センターのマグヌス・サール氏は「もし引き渡しに時間がかかるなら別のものに置き換える必要がある」と言及。

出典:Riigi Kaitseinvesteeringute Keskus

エストニア国防省は2025年10月「ペフクル国防相と安国防部長官がソウルで防衛協力協定に署名した」「この協定に基づきエストニアはHIMARS部隊を補完するため韓国製のChunmooを購入する予定だ」「この計画はエストニア産業界に対する数千万ドルの直接投資を意味する」と発表、ペフクル国防相は「HIMARSの追加導入についても米国と合意し正確な納入日について回答を待っている」「同時に長距離攻撃能力をさらに強化するため韓国製のChunmooを選択した」「米国製と韓国製のロケットランチャーをベースにした長距離攻撃能力の構築はポーランドでも採用されている」と述べた。

エストニア国営放送は2025年12月「HanwhaとChunmoo調達契約を締結した」「契約額は2.9億ユーロ(6両)で2年以内に到着する」と報じ、エストニア国防投資センターは2026年4月「Lockheed MartinとHIMARS追加調達契約(3両)を締結した」「このHIMARSは2027年中に到着する」と発表し、これでエストニア軍の長距離攻撃能力はHIMARS×9両、Chunmoo×6両となり、HIMARS換算なら21両分の長距離攻撃能力を手に入れる格好だが、HIMARSもChunmooも多連装ロケットシステムのプラットフォームに過ぎないため使用するロケット弾がなければ意味がない。

出典:U.S. Marine Corps photo by Lance Cpl. William Chockey

Reutersは4月16日「米国当局はイランとの戦争が武器備蓄を消費し続けているため、一部の欧州当局に対して契約した武器納入が遅れる可能性が高いと伝えた」「今回の決定によりバルト海地域やスカンジナビア諸国を含む複数の欧州諸国が影響を受ける」「Reutersの取材にエストニアとリトアニアは『イラン戦争の影響で米国製装備品の納入に遅れが生じる可能性がある』と通知されたと回答した」「今回の影響を受ける国の中にはロシアと国境を接している国もあり、攻撃と防御の両方に使用できる弾薬を含む様々な種類の弾薬が納入遅延の影響を受ける」と報じた。

Financial Timesも5月2日「米国は英国、ポーランド、リトアニア、エストニアを含む欧州の同盟国に米国製兵器の納入が大幅に遅れる可能性があると通告した」と報じ、HIMARS向け弾薬、LTAMDSを含むパトリオットシステム、PAC-3 MSE、AIM-120D-3、AIM-120D-8、AIM-9X Block II、JASSM-ER、AARGM-ERなどが影響を受けると予想され、Hanwha Aerospaceは11日「エストニア国防投資センターとChunmoo追加供給契約(3両)を締結した」「昨年12月に締結した2.9億ユーロ契約(Chunmoo×6両、CGR-080、CTM-MR、CTM-290)に続く後続契約だ」と発表。

出典:Ministerstwo Obrony Narodowej

明確な言及はないものの、昨年12月に締結したChunmoo調達契約には追加購入オプション(Chunmooを追加購入する際、面倒な交渉なしで一定数を同じ条件で追加購入できる権利)が設定されていた可能性が高く、米国製兵器の供給遅延を受けてChunmooの追加購入オプションを行使したのかもしれない。

ちなみに、ChunmooはHIMARSと異なりロケット弾ポッドを2基搭載できるため、Chunmoo×9両の投射火力はHIMARS換算で18両分となる。

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※アイキャッチ画像の出典:Riigi Kaitseinvesteeringute Keskus

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