レコーダーが捉えたSnow Man目黒蓮の思い
◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」
記者はそれぞれの取材方法を持つ。私なりのインタビューのやり方は―。
・事前に質問を考えない(生の空気感を大切にする)
・質問を重ねない(相手が発する言葉を待つため)
・ノートを開かない(目線を合わせて会話を楽しむ)
他にもあるが、新年からマイルールを破ってしまった。
元日付1面でSnow Manの目黒蓮をインタビューした。2年前の元日に掲載した木村拓哉とは対照的で、質問の一つ一つに頭を垂らして、自信なさげな所作すら見せる。無言や熟考する時間も長かった。そんな目黒に対して「所属事務所に問題が起きた時は?」「滝沢秀明氏のことは?」「紅白歌合戦は?」。雰囲気を無視して、矢継ぎ早に問いかけた。聞きたい気持ちが先行してしまったのだ。案の定、会話にならない。目黒は「ずっと、なんか…」と苦笑いしていた。
こういう時は良い原稿にならないと、相場は決まっている。だが、音声レコーダーを再生すると、無言だと思っていた瞬間に思いを正確に伝えようと、小声でいろいろな言葉を発していた。「滝沢くんは、いなくなってしまったので」と発した瞬間は、音声が少し遠くなった。宙をみつめながら、いろいろな思いを重ねていたのだ。「一つ一つに応えたい」。取材中に彼が示した姿勢を、レコーダー越しにも改めて感じられ、原稿を整えることができた。
先日、公式YouTubeで目黒が話していた。「仕事に行くまで、どんな人でも嫌だなって思う時がある。そういう人に寄り添える曲を作りたい」。彼らしいなと、思わず笑った。芸能界では年明けから信じられないような報道が続いている。目黒、Snow Manは、いつまでも「信じられる存在」でいてほしい。(芸能担当・田中 雄己)
◆田中 雄己(たなか・ゆうき) 2008年入社。サッカー担当を経て21年から芸能担当。青学大出身で、今年からサザンオールスターズも担当。