中古価格「12万円」超え…流出問題も ニンテンドーの知られざる「業務用ソフト」

DSや3DSで豊かなゲームライフを過ごした人も多いことでしょう。しかし実は、業務系ソフトを動かすハードとして活躍していたこともあります。一般人が触る機会がないものから、貸与・販売されたものもあり、遠いようで意外と近い、DS・3DSの業務系ソフトの世界をご覧ください。

『佐渡市向け 防災・地域情報提供システム』は、中古市場でいまも高値が付いている。 画像は「駿河屋」の商品ページより

 流通量が少なく希少性が高かったり、需要に対して供給が追い付いていない場合、ゲームソフトの中古価格が高額化し、いわゆるプレミアソフトとして扱われる場合が多々あります。

 プレミアソフトのなかには、業務用に作られ、一般には流通されなかったものもわずかながら含まれています。任天堂のゲーム機史上で最も多く販売された『ニンテンドーDS』(以下、DS)や『ニンテンドー3DS』(以下、3DS)の中古ソフトにも、そうした業務系ソフトがプレミア価格で流通した例がありました。

●DSソフト『佐渡市向け防災・地域情報提供システム』

 中古市場で高額化した業務系DSソフトといえば、『佐渡市向け防災・地域情報提供システム』を思い出す人が少なからずいることでしょう。

 これは、佐渡市における防災・地域情報提供を目的としたDSソフトで、一般販売はされずに無償で貸与されたものです。また災害情報の発信だけでなく、観光客向けに名所・旧跡などの案内を行うナビゲーションソフトとしての一面もありました。

 あくまで貸与で取り扱う非売品なので、中古市場に流れた経緯は不明です。そのため流通量が極端に限られており、以前は12万円を超える中古価格がSNSに報告され、話題となったこともありました。

 その過熱ぶりはいま現在落ち着いたのかといえば、高額化の勢いはまだ収まっていません。「駿河屋」のオンラインショップでは、記事執筆時点で「11万4000円」という以前とあまり変わらぬ高額で販売中です。

●DSソフト『クルトレ eCDP』

 業務系のDSソフトでこちらも一部界隈で有名なのが、『クルトレ eCDP』です。これは、ファーストフードチェーン「マクドナルド」で研修用に使用されていたソフトといわれており、非売品なのはもちろんのこと、社外持出禁止品だったという噂も出ています。

『佐渡市向け防災・地域情報提供システム』は貸与していたため、そこからなんらかの形で流出した可能性もありますが、『クルトレ eCDP』は厳重管理品だったものと思われており、中古市場に流通するのは非常に大きな問題といえるでしょう。

 実際、かつて「ハードオフ」が『クルトレ eCDP』とマクドナルド研修用DSIを入荷したところ疑問の声が寄せられ、最終的に日本マクドナルドに商品を返す方向で対応しているといったネットニュースが報じられたことがありました。

 業務系ソフトの多くは本来市場に出回るものではなく、高く売れるからといって不正な手段で放出するのは厳禁です。しかし、だからこそ高額化してしまうという皮肉な構図も否定できません。

●3DSソフト『ニンテンドー3DSガイド ルーヴル美術館』

 最後に紹介するのは、業務系ソフトながら一般販売された珍しい例を紹介します。フランスにある「ルーヴル美術館」の来場者向けに開発された3DSソフト『ニンテンドー3DSガイド ルーヴル美術館』も、特別な業務系ソフトとして一部に知られています。

 任天堂の宮本茂氏が「音声ガイドを任天堂にやらせてもらえないか」と提案したことから始まり、ルーヴル美術館で実際に使われる音声ガイドを組み込んだ3DSのレンタルが始まりました。そして、貸し出し用だった音声ガイドの内容を製品化したものが、この『ニンテンドー3DSガイド ルーヴル美術館』となります。

『ニンテンドー3DSガイド ルーヴル美術館』は、ソフト内で描画された各展示物を鑑賞できるほか、美術館の施設内を疑似体験することが可能です。また、音声ガイドの機能も全て収録されており、ソフトと3DSを現地に持参すれば「館内モード」で音声ガイドの案内を受けられます。

 当製品版は当初、ダウンロード専売ソフトとしてリリースされ、後に限定的ながらパッケージ版も販売されました。そのため前述の2作とは異なり、正規の購入ルートから中古市場に流れています。

 同じく「駿河屋」で確認してみたところ、『ニンテンドー3DSソフト ニンテンドー3DSガイド ルーヴル美術館 [日本会場限定 パッケージ版]』は残念ながら売り切れ。しかし、6万円で買取が行われている模様です。この買取額から推測すると、中古ながら販売価格は相当の高値がつくと思われます。

(臥待)

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