「えっ、スカウト30人!?」じつは12球団が熱心だった投手とは?「鷺宮製作所・竹丸和幸はドラ1濃厚だが」運命のドラフト会議“情報戦”最終段階(Number Web)

 その大きなポイントの一つが、担当スカウトだけではなくGMやスカウト部長など、複数人で視察に訪れているかという点だ。前編でも触れたようにそのエリアの担当スカウトは対象となる選手を絞り込むための視察も多い。しかし高い順位で指名することを検討するような選手についてはなるべく多くの“眼”で見て評価するという仕組みをとっているケースが多く、役職のついたスカウトや編成トップが訪れることも珍しくない。  高校野球の甲子園大会、大学野球なら全日本大学野球選手権、社会人野球であれば都市対抗野球などは注目選手が多く出場するため、スカウトが総出で視察するというのが慣例だ。また東京六大学野球と東都大学野球のリーグ戦も他の試合と比べて上位候補の数が圧倒的に多いため、複数のスカウトで視察するのが日常となっている。裏を返せばそのような大きな試合ではないにもかかわらず、多くのスカウトで視察している選手は高く評価されているといえるのだ。  今年の候補選手の中でそれを最も強く感じたのが鷺宮製作所の左腕・竹丸和幸(23歳)だ。崇徳高時代はまったくの無名の存在で、城西大でも首都大学2部でプレーしていた時期が長かったこともあり、本格的にドラフト候補として注目を集めだしたのは社会人に進んでからである。  入社2年目の今年が指名解禁ということもあって、シーズン最初の公式戦となった3月9日のJABA東京スポニチ大会には約20人のスカウトが集結していた。その前で竹丸は社会人屈指の強豪であるENEOSを相手に5回を投げて被安打2、無失点と好投。この投球で評価を上げたことは間違いないだろう。  スカウト陣の熱が最高潮に達していたのが6月17日に行われた都市対抗野球東京都二次予選の対Honda戦である。この日、会場となった大田スタジアムのスタンドで確認できたスカウトは合計42人を数えた。NPB全12球団が複数人体制で視察していたのだ。1年を通してもこれだけ多くのスカウトが一堂に会するケースはそうそうあるものではない。  この日も竹丸は5回2/3を投げて1失点としっかり試合を作り、アピールに成功している。最終的にどの球団が最優先で獲得に動くかは分からないが、その後の試合でも結果を残し続けていることを考えると、「ドラフト1位」に名を連ねる可能性は極めて高そうだ。  竹丸のように上位候補と報じられていない選手でも、現場の視察状況から高い熱を感じた選手がいる。同じ社会人左腕、エイジェックの谷内(やち)隆悟だ。 谷内も鳥羽高時代は無名で、同志社大でもリーグ戦でわずか2試合の登板に終わっている。素材の良さが評価されて入社したエイジェックでも昨年までの2年間は故障もあって公式戦では結果を残すことができていない。ようやくドラフト戦線に浮上してきたのは3年目の今シーズンからである。  3月に行われた東京六大学と社会人の交流戦、対慶応大戦で2回をパーフェクト、4奪三振という見事な投球を見せると、その後のオープン戦でも好投を続け、徐々にスカウト陣の間からその名前を聞くようになったのだ。

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