アメリカの極秘宇宙船「X-37B」434日ぶりに地球へ帰還 目的は謎のまま…宇宙での長期偵察が目的か
アメリカの極秘宇宙船「X-37B」が、434日間の長期ミッションを終えて、ついに地球へ帰還しました。2025年3月7日、X-37Bはカリフォルニア州バンデンバーグ宇宙軍基地に無事着陸。これまでで最長の滞在日数となったミッション「OTV-7」についてご紹介していきます。
■スペースシャトルの1/4サイズの小型シャトル「X-37B」
X-37B 出典:U.S. Air Force「X-37B」は、アメリカ空軍が開発した再利用可能な無人の宇宙機。もともとは1990年代にNASAとロッキード・マーティンが開発していたスペースシャトルの後継「X-33」の流れをくむ機体で、1999年から本格的に開発がスタートしました。
その後、2004年に開発はNASAからアメリカ空軍に移管。以降、軍事プロジェクトとなり、その詳細は一切非公開に。つまり「何をしているのか誰にも分からない」謎の宇宙船として注目を集めてきました。
1999年時点の構想図。NASAのロゴが描かれている 出典:NASA/Marshall Space Flight CenterX-37Bの大きさは全長約8.8メートル、翼幅約4.3メートルと、スペースシャトルの約1/4サイズ。貨物室はトラック1台分ほどのスペースがあり、様々な機器の実験や物資輸送が可能とされています。
初飛行は2010年。その後、数回のミッションを成功させ、飛行期間は徐々に長期化。3回目のミッションでは軌道上に2年間も滞在した記録もあります。
そして2023年12月、SpaceXの「Falcon Heavy」ロケットに搭載されて打ち上げられたX-37Bは、「OTV-7」と呼ばれる7回目の任務をスタート。長楕円軌道に投入され、そこからなんと434日間、地球を周回しながら実験を行っていました。
■今回の「OTV-7」ミッション、何をしていた?
初飛行からの帰還直後のOTV-1 出典:United States Air Force公式には、今回のミッションでは以下のような試験が行われたとされています:
- 宇宙空間での「エアロブレーキング(大気抵抗を利用した軌道変更)」の実証
- 宇宙領域把握技術(スペース・ドメイン・アウェアネス)のテスト
- サービスモジュールの投棄と軌道制御の試行
この「エアロブレーキング」は、燃料をほとんど使わずに軌道を調整できる省エネ技術で、X-37Bでは初めての試みでした。しかし、X-37Bのミッションの多くは軍事目的で、詳細は未発表です。機体の外観すら、打ち上げ前や帰還時のものしか公式には公開されてきませんでした。
X-37B OTV-2の三面図 出典:Giuseppe De Chiara 1968ところが今回は異例の出来事が――。2025年2月、アメリカ宇宙軍がSNSで、X-37Bが軌道上から撮影したとされる画像を投稿。地球とともに、開放された貨物室の一部とみられる機体内部も写っていたのです。このようにミッション中の機体の様子が公開されたのは極めて珍しく、注目が集まりました。
X-37Bはこれまでの任務で、長期間の無人運用、自動着陸、そして新技術の実証などに成功してきました。将来的には、宇宙での長期監視・偵察、極秘実験、あるいは新兵器のテストなどにも使われる可能性があると噂されています。とはいえ、その実態は依然としてベールに包まれたまま。みなさんは、X-37Bの本当の目的は何だと思いますか?ぜひコメントお待ちしています。
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