ウクライナ、ロシアで大規模なドローン攻撃 爆撃機など40機破壊
ウクライナは1日、ロシアとの間で続いている戦争で最大規模となる長距離攻撃を実施し、完了したと明らかにした。ドローン(無人機)をひそかにロシア国内に運び入れ、同国軍の基地4カ所で爆撃機など計40機を攻撃したという。 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は1日夜、同国保安庁(SBU)がドローン117機を使った「クモの巣」作戦を実施し、「(ロシアの)戦略巡航ミサイル運搬機の34%」を攻撃したとソーシャルメディアに投稿した。 ゼレンスキー氏は、作戦の「まったく見事な結果」についてSBUのヴァシル・マリュク長官に祝意を伝えたとし、ドローン117機の各機に操縦士がついていたと説明した。 そして、「面白いことに、そしてこれはもう公にしていいことだが、私たちのロシア領土での作戦『事務所』が、ロシアの州の一つにあるロシア連邦保安庁(FSB)のすぐ隣にあった」とした。また、作戦の関係者全員が、攻撃前にロシアから安全に退避したとした。 これよりも先、SBU関係者らはBBCに、ロシアの空軍基地4カ所(シベリア・イルクーツク州ベーラヤ、ロシア最北西部ムルマンスク州オレニヤ、リャザン州中部ジャギレヴォ、イヴァノヴォ州中部イヴァノヴォ)を攻撃したと話した。うち2カ所は、ウクライナから何千キロも離れている。 SBU関係者らによると、攻撃対象のロシア軍機には、核兵器を搭載可能な戦略爆撃機「TU-95」と「TU-22M3」、早期警戒管制機「A-50」が含まれていた。 SBUは、ロシアの損害は約70億ドル(約1兆円)に上るとみられると述べ、近く詳細を明らかにするとした。こうした主張は独自に検証されていない。 SBU関係者らはBBCに、この攻撃の準備に1年半かけたと話した。ドローンをひそかにロシア国内へと移動させ、あとから運び入れた移動可能な木製コンテナに隠したという。その後、コンテナをトラックに載せ、攻撃目標の空軍基地の近くまで運んでから遠隔操作で屋根を開け、「適切なタイミングで」ドローンを発射したという。 ロシアは、国内5州の空軍基地でウクライナによる攻撃があったとし、「テロ行為」だと非難した。 ロシア国防省は1日、ソーシャルメディアへの投稿で、イヴァノヴォ、リャザン、アムールの各州の空軍基地に対する「すべての攻撃は撃退された」とした。アムール州の基地については、ウクライナのSBU関係者は言及していない。 ロシア国防省は、ムルマンスク州とイルクーツク州では、近くの地域からドローンが発射された後、「数機の航空機が炎上した」とした。火災はすべて鎮火し、死傷者はなかったと説明。「テロ攻撃に加わった何人かが拘束された」と付け加えた。 イルクーツク州のイーゴリ・コブゼフ知事は、シベリア・スレドニイにある軍のベーラヤ基地を攻撃したドローンはトラックから発射されたとした。 ロシアのメディアは、他の攻撃も同様に、トラックから発射されたドローンによって実施されたと報じた。 ■ウクライナにもロシアによる大規模攻撃 一方、ウクライナ国内でも1日にかけて、ドローンとミサイルによる大規模な夜間攻撃があったと、同国当局が発表した。ドローン472機と弾道ミサイルと巡航ミサイル計7発が使われたという。 これは、ロシアのドローンによる単独攻撃としては過去最大級とみられる。ウクライナは、385機を「無力化」したとしている。 ウクライナ陸軍は、訓練センターでロシアによるミサイル攻撃があり、12人が死亡、60人以上が負傷したと発表した。同軍のミハイロ・ドラパティ司令官は、「この悲劇に対する自分自身の責任感から」辞任すると表明した。 ロシアとウクライナの交渉団は2日、トルコ・イスタンブールで2回目の和平交渉に臨む。戦争をどう終わらせるかについては双方の隔たりが依然大きく、交渉への期待感は低い。 (英語記事 Ukraine drones strike bombers during major attack in Russia)
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