IMF世界成長見通し、今年は3.2%に上げ-先行き「厳しい」と警告
- 7月の3.0%から上方修正、関税前の駆け込み需要やAI投資など支援
- 依然としてリスクは下振れ方向に傾いている-チーフエコノミスト
国際通貨基金(IMF)は14日公表した最新の世界経済見通し(WEO)で、今年の世界経済の成長率見通しを7月時点の3.0%から3.2%に引き上げた。
世界経済は想定よりも底堅く推移しているとしながらも、米国による広範な関税措置や保護主義の影響でひずみの兆しが見られると警告した。2026年については、成長率が3.1%にやや鈍化すると見込んでいる。
IMFは今年の成長率引き上げについて、主に一時的な要因によるものだと説明。高関税を見越した企業や家計による駆け込み需要やドル安による世界貿易の下支えが背景にあるという。
一方で、先行きについては短期的にも長期的にも「厳しい」との見方を示した。
IMFのチーフエコノミスト、ピエール・オリビエ・グランシャ氏は「懸念していたほど悪くはないが、1年前の想定よりも弱く、必要とされる水準にも届いていない」と、記者会見で指摘。「依然としてリスクは下振れ方向に傾いている」と述べた。
国・地域別では、米国の成長率が今年2%と、24年から大きく鈍化する見通し。26年は2.1%でほぼ横ばいになると予測している。日本は25年が1.1%、26年が0.6%と、それぞれ0.4ポイント、0.1ポイント引き上げられた。ユーロ圏の成長率は今年1.2%、来年1.1%と見込まれている。中国の成長率は25年に4.8%、2026年に4.2%へと減速する見通しだ。
グランシャ氏は、今年前半の関税ショックの影響を和らげた要因として、人工知能(AI)投資の活況など複数の要因があると指摘した。
原題:IMF Warns of Dim Outlook for World Economy Hit by Rolling Shocks(抜粋)
— 取材協力 Jana Randow and Zoe Schneeweiss