午前の日経平均は反落、一時3万6000円割れ トランプ関税の景気影響を警戒

 3月11日、午前の東京株式市場は、トランプ米大統領の高関税政策による景気への悪影響に対する警戒感を背景に、米国株が大幅安となったことを嫌気する売りが優勢だった。写真は都内にある東京証券取引所で2015年8月撮影(2025 ロイター/Yuya Shino)

[東京 11日 ロイター] - 前場の東京株式市場は、トランプ米大統領の高関税政策による景気への悪影響に対する警戒感を背景に、米国株が大幅安となったことを嫌気する売りが優勢だった。日経平均の下げ幅は一時1000円超に拡大し、心理的節目3万6000円を半年ぶりに下回る場面があった。その後は下げ幅を縮めている。

日経平均は443円安で寄り付いた後も、先物でまとまった売りが断続的に観測される中、徐々に下げ幅を拡大して一時1041円安の3万5987円13銭に下落した。米株安が嫌気され「トランプ氏は株安を放置しないとの楽観的な見方が修正されている」(国内運用会社のストラテジスト)との声が聞かれた。

トランプ米大統領が9日のTVインタビューで、関税政策によって米国が景気後退に陥るかどうかを問われ、直接的な言及を避けたことで米景気への警戒感が高まったことが、米株安の背景とされる。

米国株式市場では主要3指数が下落し、中でもハイテク株比率の高いナスダック総合が4%安と大きく下げた。半導体株指数(SOX)も4%超安で、国内の関連株の逆風になった。寄与度の高いソフトバンクグループ(9984.T), opens new tabと東京エレクトロン(8035.T), opens new tab、アドバンテスト(6857.T), opens new tabの3銘柄の下落で、指数を170円程度、押し下げた。為替が円高に振れたことは、自動車などの輸出関連株を中心に重しになった。

武藤容治経済産業相が訪米中のワシントンでの記者会見で、米国による関税措置は日本が対象になるべきではないと申し入れたことを明らかにしつつ、適用除外にするとの言質はなかったと説明したことも嫌気された。

一方、市場では「ファンダメンタルズに基づく株安でなく、米政策の不透明感への懸念とボラティリティの拡大に対するリスク回避的な動きに過ぎない」(りそなアセットマネジメントの戸田浩司ファンドマネージャー)との見方が聞かれた。売りが一巡し、ボラティリティが抑制されれば買いが入ってくるだろうと、りそなAMの戸田氏はみている。

TOPIXは2%安の2646.83ポイントで午前の取引を終了した。東証プライム市場の売買代金は2兆7951億2500万円だった。東証33業種では、値下がりは非鉄金属や銀行、証券、保険、電気機器など32業種で、海運の1業種が値上がりした。

東証プライム市場の騰落数は、値上がりが220銘柄(13%)、値下がりは1383銘柄(84%)、変わらずは34銘柄(2%)だった。

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