ゲーマーのメンタルヘルスや性格に関する4つの心理プロファイルが判明
ゲーマーがゲームをプレイする方法は人それぞれで、友だちと一緒にわいわいパーティーゲームを楽しむ人もいれば、自分の限界に挑戦するやりこみプレイが好きな人もいます。そんなゲーマーのメンタルヘルスや性格にまつわる4つの類型が、調査により判明しました。
Profiling gamers: The role of mental health, attachment and social factors in gaming behaviors - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0306460325001510New study reveals four psychological profiles of gamers linked to mental health and attachment styles
https://www.psypost.org/new-study-reveals-four-psychological-profiles-of-gamers-linked-to-mental-health-and-attachment-styles/ポルトガルの研究機関「ISPA – Instituto Universitário」で心理学を研究しているカティア・マルティンス・カストロ氏らのチームは、112カ国の16~69歳のゲーマー5255人を対象としたオンラインアンケートを実施し、ゲームに関する習慣やゲームをする動機、社会的なつながり、薬物の使用状況、他人との関係性のパターンである愛着スタイルを調査しました。
そして、研究チームは「ゲームをすることがメンタルヘルスや幸福度に与える影響」「人間関係や社会的交流」「ゲームに費やした時間や使っているソーシャルメディアの種類などのゲーミング関連特性」の3つの切り口で分析を行い、ゲーマーたちの心理学的特性を以下の4つのタイプに分類しました。◆1:回避型プロファイル
このグループのゲーマーは一般的に年齢が高めで、精神的ストレスのレベルは低いと報告する傾向がありました。また、愛着スタイルは安定的で、オフラインでの社会的交流を好みました。このタイプの人がゲームに求めるのは、社会的なつながりよりも、個人的な探究心や自立心、そして娯楽を楽しむことが中心でした。また、このプロファイルは薬物の使用頻度が低く、ゲーム関連のコミュニケーションにソーシャルメディアを使うこともほとんどありませんでした。◆2:参加型プロファイル 参加型プロファイルは4つの中で最大のグループで、感情調節がうまく、愛着スタイルも安定していました。また、精神的ストレスのレベルが低く、薬物使用も少ないなど、回避型プロファイルといくつか共通点がありました。その一方で、このグループはよりゲームコミュニティとのつながりに積極的で、DiscordやTwitch、Instagramなどのプラットフォームを使って他の人とよく交流していました。また、このグループはスマートフォンでゲームをするのが一般的なのも特徴です。オンラインゲームをプレイすることはあまりありませんが、オフラインではしっかりとした人間関係を構築していました。
◆3:関係重視型プロファイル
このグループは感情調節がやや苦手で、他の人と深い関係を築くのを避ける傾向がありました。その反面、社会的なつながりやアイデンティティを強化するためにゲームをする傾向がありましたが、オフラインでの社会的交流はわずかでした。また、生活の中で困難を抱え、薬物を使ったりリスクの高い行動に出たりする可能性が高めでしたが、目に見えるような精神的ストレスを訴えることはあまりありませんでした。プレイするゲームは没入感があるものや、仲間と楽しめるものを好み、SteamやTwitchなどのプラットフォームをよく使っていました。◆4:情動調整困難型(不規則型)プロファイル このグループは、感情面での苦痛のレベルが最も高く、さまざまな場面で感情をうまくコントロールするのが難しい若年ゲーマーで構成されていました。このグループの人は、人と深い関係を築くことに不安を抱え、見捨てられることを恐れる一方で、人と距離を置きたいという気持ちも持っており、人間関係全般で大きな困難を抱えがちです。また、タバコやエナジードリンクを使用する傾向が高く、自傷行為や他人への暴力を含む行動調節障害の兆候を示していました。ゲームは1人かネットの友だちとだけで遊ぶことが多いものの、DiscordやX(旧Twitter)、Instagramなど複数のSNSを渡り歩きながらゲーム仲間と交流することがよくありました。ゲームをする理由はアイデンティティ、現実逃避、スキルを磨くこと、社会的つながり、そして金銭的インセンティブと特によく関連していました。 研究チームは、不規則型プロファイルのゲーマーは「ゲーム障害」、いわゆるゲーム依存症に陥るリスクが最も高いと報告しています。
ゲームを普段の生活に支障が出るほどやり過ぎてしまう「ゲーム障害」は病気であると分類される - GIGAZINE
各プロファイルの特徴を大まかにまとめると以下のようになりました。
特に、「回避型プロファイルのゲーマーはシングルプレイゲームを好む反面、愛着パターンは安定している」という点は研究チームにとって意外だったとのこと。また、不規則型プロファイルが人間関係の困難、特に安定性を欠いた愛着パターンや薬物の使用傾向と関連していることも、研究チームを驚かせました。
研究全体では、ゲーマーの性格特性が年齢、感情の制御、メンタルヘルス、オンラインとオフラインでの交流パターンによって形作られていることがわかりました。例えば、不規則型プロファイルのゲーマーは心理的なもろさと、オンラインゲームやソーシャルプラットフォームへの熱心な参加の組み合わせが顕著で、これには「適応に失敗しがちな対処戦略が反映されている可能性がある」と研究チームは考えています。対照的に、回避型プロファイルや参加型プロファイルの人は比較的健全な形で娯楽としてのゲームと付き合っており、ストレスのレベルは低めでオフラインのつながりが強固でした。
論文の共著者であるデビッド・ディアス・ ネト氏は「重要なポイントのひとつは、問題のないゲーム行動が、健全な感情的つながりや社会的な関係を持っているグループと関連している可能性があるということです。一方、問題のあるゲーム行動は見捨てられることへの恐怖である不安定な愛着パターンや、親密な関係を嫌う回避型の愛着パターンなど、しばしば人間関係の困難を伴っていました」と話しました。
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