【ブラックホールからエネルギーを取り出す新理論】ブラックホールを電池のように”充電”する?(スペースチャンネル)
「宇宙最強の重力源」からエネルギーを取り出す――それはまるでSF映画のような話。しかし、最新の研究でそれが理論的に可能であることを示す二つの理論についてご紹介していきます。
■アインシュタインが予言した「回転するブラックホールのエネルギー」
ブラックホールは、空間・時間・重力を結びつけるアインシュタインの一般相対性理論によって予言された存在です。そしてその中でも「回転するブラックホール」は、膨大なエネルギーを秘めていると考えられてきました。
このエネルギーを取り出す方法をめぐり、世界中の科学者たちは50年以上にわたって研究を続けてきました。
■磁力を“断ち切る”ことでエネルギーを取り出す!
ブラックホールからエネルギーを抽出するイメージ 出典:スペースチャンネル(AI)アメリカ・コロンビア大学とチリの大学の研究チームは、ブラックホールの近くで磁力線を「切って再接続する」ことで、回転するブラックホールからエネルギーを取り出せると発表しました。
ブラックホールの周囲には高温のプラズマが存在し、磁場を運んでいます。この磁場がある条件で“再接続”すると、プラズマ粒子の一部が負のエネルギーを持つようになり、それがブラックホールに吸い込まれることで、逆にブラックホールからエネルギーが取り出せるという仕組みです。
「まるで“マイナスカロリーのお菓子”を食べて体重が減るようなものです」と研究者のルカ・コミッソ氏は例えました。この理論が実現すれば、将来の文明にとって星の光に頼らない“究極の発電所”になるかもしれません。
■ブラックホールを“充電する”?
電荷を溜めたブラックホールのイメージ 出典:スペースチャンネル(AI)中国の研究チームは、「ブラックホールを電池のように使う」アイデアを発表しました。
この方法では、ブラックホールに大量の電気を持った粒子を注入し、“フル充電”状態にすると、その電場からエネルギーを取り出せるという理論です。さらに、回転するブラックホールなら、その回転による“空間のねじれ”を利用して、より効率的にエネルギーを抽出できるといいます。
研究によれば、この“ブラックホール電池”の効率は核爆弾の約250倍。将来、恒星の寿命が尽きるような極限状況でも、人類はブラックホールの周囲で生き延びられるかもしれません。もちろん、物理法則上は可能であったとしても、こうしたアイデアの実現には「超絶的な技術」が必要です。
■「SF」から「科学」へ――ブラックホール研究の進化
現在のところ、ブラックホールから直接エネルギーを取り出す技術は存在しません。しかし、この研究は私たちが宇宙の基本法則をどう活かせるかを教えてくれる貴重なステップです。
ブラックホールは「すべてを飲み込む謎の存在」ではなく、未来のエネルギー源として、科学者たちの新たな挑戦の対象となっています。みなさんはどのような方法ならブラックホールからエネルギーを取り出せると思いますか?是非コメントお待ちしています。
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