サウジアラビアの超巨大未来都市建設計画は崩壊しつつあるとの指摘
サウジアラビアが巨額の資金を投じて構築しているスマートシティ建設計画「NEOM」が、行き詰まって崩壊寸前にあると伝えられています。
End of The Line: how Saudi Arabia’s Neom dream unravelled
https://www.ft.com/saudi-neom-lineSaudi Arabia's Dystopian Futuristic City Project Is Crashing and Burning
https://gizmodo.com/saudi-arabias-dystopian-futuristic-city-project-is-crashing-and-burning-2000683752 NEOMは砂漠の中心に近未来的な巨大都市を作成しようとする計画で、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子により推し進められています。これまでに、高さ500m・幅200m・全長170kmというライン状の鏡張り建造物「THE LINE」が構築されていることが明らかになっています。全長170km・高さ500mの鏡張り巨大空間に900万人を詰め込む未来都市計画「THE LINE」をサウジアラビア皇太子が発表 - GIGAZINE
THE LINEの中心に据えられる予定なのが、「シャンデリア」と呼ばれる逆さ吊り建築物の構想です。「シャンデリア」は文字通り天井から吊り下げられるように構築される30階建てのガラスと鋼鉄の建築物で、都市への玄関口となる海の上に作られる予定でした。
ところが、設計が進むにつれ、シャンデリアの実現可能性が疑わしくなってきているそうです。現場に携わっているという建築家は、メディアに対し「地球は回転していて、高いタワーは揺れるものだ。30階建ての建物を数百メートルの高さから吊るすと、次第に振り子のように揺れ始め、壊れて落下してしまうと責任者に提言したが、建築は続いている」と話したといいます。 サルマン皇太子は、「NEOMの重力に逆らう精神こそが、サウジアラビアとその周辺地域の生活を一変させる」と期待しており、特にTHE LINEを「戦略的優先事項」に据えて力を入れているとのこと。
ただ、建設に際してさまざまな問題点も報告されており、現場で労働者が2万人以上死亡していることも伝えられています。
サウジアラビアに巨大な鏡張り空間を作る計画などで2万人以上が死亡していたことが明らかに - GIGAZINE
経済紙のFinancial Timesが取材した労働者は「THE LINEの大部分は技術的にはまだ建設可能だが、その費用を負担する者がいない」「建設工事は減速しており、2029年のアジア冬季競技大会の開催予定地である砂漠のスキーリゾート『トロイェナ』は、まだ順調に進んでいる数少ない現場の1つだ」「このプロジェクトが成功しないことは誰もが知っており、サルマン皇太子を穏やかに失望させるだけだ」などと答え、途方もなく高額な事業がそのうち破綻しかねないことを懸念していると伝えられました。 また、上級幹部は皇太子の期待と実現不可能な現実に板ばさみになり、スケジュールやコストについて事実上ウソをつかなければならない立場に置かれていると話しました。記事作成時点では、当初の計画を大幅に縮小して建築が進められているそうです。
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