米アルミ・鉄鋼価格が急騰、トランプ氏が関税倍増-コスト圧力強まる

米国の製造業者が支払うアルミニウムと鉄鋼の価格に連動する先物相場が急騰。トランプ米大統領が鉄鋼とアルミニウムの輸入関税を2倍に引き上げると表明したことが背景にある。

  ニューヨーク商品取引所(COMEX)で2日、米中西部向けアルミニウムの価格に連動する先物契約が54%上昇し、少なくとも2013年以来の高値となった。米製造業企業が直面する大幅なコスト増を早くも示唆している。鉄鋼とアルミニウムの関税は4日から50%に引き上げられる。

  米中西部のアルミニウム価格は、ロンドン市場の指標価格に対して1ポンド当たり58セント、トン当たりで約1280ドル(約18万3000円)のプレミアムとなる。これは米国の買い手がアルミを確保するために、国外の競合他社よりも約50%高い価格を支払う可能性があることを示している。アルミはビール缶やエンジンブロック、窓枠などあらゆるものに使われる。

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  トランプ大統領は、関税引き上げで国内製鉄所の利益率を保護し、新たな生産能力への投資を促すことを期待している。実際、同氏が5月30日に関税引き上げを発表した直後、米国の鉄鋼およびアルミメーカーの株価は時間外取引で急伸した。

  しかし一方で、建設業界からは警戒の声が上がっている。トランプ氏は既に鉄鋼とアルミの関税を10%から25%へ引き上げており、今回の追加措置により建築資材のコストがさらに上昇すると懸念されている。

  COMEXの鉄鋼先物価格は2日早朝の取引で、一時8%超上昇。両先物契約は比較的流動性が低いものの、今回の値動きは関税の商業的負担が米国のアルミニウム市場に特に重くのしかかることを示唆している。

  モルガン・スタンレーによれば、米国で使用されるアルミニウムの80%余りが輸入に依存している一方、鉄鋼の海外調達比率は20%未満にとどまっている。

  シティグループのアナリストは「価格は上昇する見通しだ。米国にはアルミニウムも鉄鋼も十分な国内生産能力がない」と電子メールでのリポートで指摘。特にアルミについては、「関税はこれまでのところ、主に消費者への課税として機能しているだけだ」と続けた。

動画:トランプ米大統領、鉄鋼とアルミニウムの関税を2倍に引き上げると発表

原題:US Aluminum and Steel Prices Surge as Trump Doubles Tariffs (1)(抜粋)

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