NATO、調達方針を転換か…ウクライナから学び「ドローンの大量備蓄は無意味」「防衛企業との戦略的協力が必須」と高官らが明言(海外)(BUSINESS INSIDER JAPAN)
ウクライナはドローンがいかに重要であるか、そして戦況がいかに目まぐるしく変化するかを北大西洋条約機構(NATO)に突きつけている。ドローンはあっという間に時代遅れになるリスクがあり、将来の作戦計画を複雑なものにしている。NATO高官は、ドローンは従来の兵器のように備蓄しておくことはできないと述べた。 NATOは次の「ドローン戦争」に向けた準備を急いでいる。しかし、今すぐ何百万機ものドローンを製造したところで、いざ戦闘が始まる頃には「時代遅れになった兵器の山」を抱え込む羽目になりかねない、と当局者らは警鐘を鳴らしている。 【全画像をみる】NATO、調達方針を転換か…ウクライナから学び「ドローンの大量備蓄は無意味」「防衛企業との戦略的協力が必須」と高官らが明言 ロシアの侵攻に対するウクライナの戦い方は、西側諸国の軍隊に対し、ドローンと対ドローン技術の備えが不可欠であることを突きつけた。同時に、そうしたテクノロジーが現代の戦場において、いかに急速に陳腐化し無用の長物になり得るかという現実をも浮き彫りにしている。 加盟国はドローンの調達と関連する訓練に投資を進めているものの、巨大な兵器庫を構築してただ出番を待つような備え方を戒める声も出ている。 NATOの防衛産業・イノベーション・軍備担当事務次長補を務めるターヤ・ヤーコラ(Tarja Jaakola)氏は、ドローンおよび対ドローンソリューションの調達について、「過去に私たちが行ってきたようなハードウェアの調達、つまり購入し、備蓄し、待機させるという方法とはわけが違う」と語る。 この分野では「調達のアプローチそのものを変革する必要がある」と彼女は述べた。 それはつまり、いざ必要となったときに、企業が即座に最新鋭の装備を生産できるよう、軍と産業界との連携の在り方を根本から見直すことを意味しているという。 ヤーコラ氏によれば、NATOは「テクノロジーの進化のスピード」を正しく認識し、産業界との間で新たな「ビジネスモデルと契約モデル」へと移行する必要がある。具体的には、訓練やテスト用に少数のドローンを購入しつつ、有事の際に即座に量産できる「生産能力」と「イノベーションの基盤」を維持できるよう、企業に保証していくアプローチだ。 防衛産業界との関係はもはや、単なる「取引」であってはならず、「私たちが構築すべき戦略的パートナーシップ」へと昇華させる必要があると彼女は強調し、旧態依然とした防衛調達の手法はもはや持続可能ではないとした。 ドイツ軍のトップ、カルステン・ブロイアー(Carsten Breuer)参謀総長も、今この瞬間に大量のドローンを製造したからといって、将来の即応性が保証されるわけではないと述べている。ドイツは、ロシアが早ければ2029年にもNATOとの戦争に踏み切れる体制を整えると分析しており、ブロイアー参謀総長はドローンに関して、「2029年には数百万機がすでに時代遅れのガラクタになっている可能性があるのに、備蓄するなどという話ができるだろうか」と疑問を呈した。 西側諸国にとって「重要なのは迅速な調達だけではない。調達プロセスそのものを革新することなのだ」と彼は指摘する。単に大量のドローンを保有していればいいという問題ではない。「ここドイツやほかの同盟国に確固たる産業基盤を築き、その基盤と恒常的に連携し続けること。そして、我々の軍自身がドローンの実証テストを行い、時には破壊することをいとわない姿勢が必要だ。そのためには、従来の手順やルールの変更も求められる」と強調した。 「我々は平和な状況下にはないが、かといって正式な戦争状態にあるわけでもない」ため、西側は備えを万全にしておく必要がある、とブロイアー参謀総長は警鐘を鳴らしている。 米コーネル大学のブルックス・テクノロジー政策研究所(Cornell Brooks Tech Policy Institute)のドローン専門家、ジェームズ・パットン・ロジャーズ(James Patton Rogers)氏はBusiness Insiderに対し、西側の軍にとって最大の懸念は「ドローンがいかに急速に陳腐化するか」という点にあると語った。 ウクライナはロシアとの熾烈な開発競争に常に身を投じており、自国のドローンや戦場技術の優位性を死守しようとしている。 ウクライナ国家安全保障・国防会議の副書記ダヴィド・アロイアン(Davyd Aloian)氏は「何よりもスピードが肝心だ」と指摘した。ほんの数カ月で「ソリューションは陳腐化してしまう」ため、ウクライナの防衛産業は、パートナー国が慣れ親しんでいるペースよりはるかに迅速に動かざるを得ないと語った。 その切迫感はウクライナ軍と防衛産業の働き方を根本から変えた。現在では、企業が個々の部隊に直接装備を供給してテストを実施し、兵士たちは戦場で独自の改良を加え、メーカーはそのリアルなフィードバックを即座に次の改良モデルに反映させている。
Sinéad Baker