宇宙はとっくに戦場だった。米軍が「軌道兵器」の存在を公表
『007』シリーズには、古くから宇宙にとんでもない兵器を置いて世界征服を企む悪役が出てきますよね。人工衛星からレーザーを撃ったり、宇宙ステーションをつくったり。
宇宙に兵器を置くなんて、映画らしいスケールの大きさだと思ってワクワクしました。
それから50年以上。映画で描かれていた話も、現実のものになったみたいです。
米軍が、地球の軌道上に「宇宙コントロール兵器」を配備していることを初めて認めたんです。
レーザー砲? 敵の人工衛星を撃ち落とす何か?
わかりません。何ができるのかも、どんな姿なのかも秘密にされているんです。
TechCrunchが伝えています。
宇宙兵器=衛星を撃ち落とすもの?
米空軍と米宇宙軍を管轄するトロイ・マインク米空軍長官は演説で、「敵対勢力から部隊を防衛できる、軌道上の宇宙コントロール兵器がある」と発言しました。
ただ、兵器の種類も能力も数も一切明らかにはしていません。
「宇宙兵器」と聞くと、敵の人工衛星を破壊するものを想像しませんか。
でも、話はそう単純でもなさそうです。
The Timesによると、米国はこれまで宇宙空間で人工衛星を破壊することには否定的でした。
衛星を破壊すれば大量のスペースデブリが発生し、ほかの人工衛星や宇宙飛行士まで危険にさらす可能性があるからです。映画『ゼロ・グラビティ』でも、その恐ろしさが生々しく描かれていましたよね。
となると、米軍は何を宇宙に置いたのでしょう。
やっぱりわかりません。
なぜ「ある」ことだけ明かしたの?
ここで、もうひとつ気になることがあります。
これだけ詳細を伏せるなら、存在そのものも黙っていればいい気がします。
ところが今回、米軍はわざわざ「宇宙に兵器があります」と公表しました。
しかも、マインク長官がうっかり口を滑らせたわけではありません。「非常によく考えた」うえで選んだ言葉だったとのこと。
どうやら、ここに意味がありそうです。
米空軍はTechCrunchに、「宇宙兵器の存在を公表することは抑止力の強化になる」と説明しています。
つまり、何を持っているかは教えない。でも、持っていることを知らせること自体が「抑止」になるというわけです。
宇宙はすでに「戦う場所」になっている
そして、その相手として米国が警戒しているのが中国とロシアです。
米国は2007年から、両国による宇宙空間での兵器実験について警告してきました。
中国は、ほかの人工衛星に損害を与えられる能力を持つ宇宙機を運用していることが以前から知られています。
さらに米宇宙軍によると、ロシアは「核兵器を搭載するよう設計された」人工衛星を開発しているとのこと。
米空軍は「宇宙が戦闘領域であることには、もはや疑問の余地がない」としています。
映画で宇宙兵器を見てワクワクしていたころは、まさか現実のニュースとして書くことになるとは思いませんでした。
『007』の世界に近づいた、と喜んでいい話ではなさそうですけどね。
Source: TechCrunch