轟音を響かせF1マシンが東京・お台場の公道を疾走 角田裕毅はドーナツターンを披露

東京・お台場の公道をランデブー走行する2台のレッドブルのF1マシン=2日(相川直輝撮影)

自動車のF1シリーズに参戦するレッドブルが2日、三重県の鈴鹿サーキットで4月6日に決勝が行われる第3戦・日本グランプリ(GP)を前に、東京・お台場の公道でデモ走行を行った。レッドブルの日本人ドライバー角田裕毅をはじめ4人の現役ドライバーが3台のF1マシンを走行させ、会場に集まった約1万2000人の観客が迫力ある走りに熱狂した。

ガレージからコースへと出たマシンは、耳を裂くような轟音を響かせ、タイヤをスピンさせながら加速。雨上がりの中、お台場の公道を封鎖した1周約1600メートルの特設コースを走行した。イベントの終盤には2台のランデブー走行も実施。角田裕毅は、コース上で車体を旋回させるドーナツターンを披露して会場を沸かせた。

お台場を走るF1マシン。上を通るのはゆりかもめお台場の公道をランデブー走行する2台のレッドブルのF1マシン(萩原悠久人撮影)お台場の公道をランデブー走行する2台のレッドブルのF1マシンドーナツターンをするレッドブルの角田裕毅お台場の公道をランデブー走行する2台のレッドブルのF1マシン

今回走行したマシンは、過去に活躍した3台。レッドブルカラーでリアウイングに「HONDA」と書かれたマシンは2021年仕様のRB16B。21年シーズン最終戦アブダビGPで、ドライバーのマックス・フェルスタッペンが最終周回でメルセデスをかわし、選手部門タイトルを獲得したマシンだ。V型6気筒エンジンで、最高時速は300キロを超える。動力源のエンジンと回生システムを合わせたパワーユニットは、日本のホンダ製を搭載している。

マックス・フェルスタッペンがドライブするRB16B。自身が2021年に選手部門タイトルを獲得したマシンだ(萩原悠久人撮影)マックス・フェルスタッペンがドライブするRB16Bリアウィングにはパワーユニットを供給する「HONDA」の文字が刻まれている

他の2台は、2011年に選手部門タイトルと製造部門タイトルを獲得したRB7。自然吸気・2400ccのV型8気筒エンジンが奏でる甲高いサウンドが魅力だ。現行のハイブリットシステムを搭載したマシンでは味わうことのできない爆音がお台場に響き渡った。

甲高いエンジン音を響かせてお台場を走るRB7甲高いエンジン音を響かせてお台場を走るRB7

ひときわ大きな歓声がわいたのは、角田裕毅の走行だった。今季で5年目のF1フル参戦を迎えた角田は、3月27日に姉妹チームのレーシングブルズからトップチームのレッドブルへの昇格が発表された。相模原市出身、24歳の若武者は、デモ走行について「沢山の方が来てくれてうれしい。時差ボケもあるので、攻めて自分を起こしたかった」と語った。

F1マシンをドライブする角田裕毅デモ走行を終えた角田裕毅

角田のチームメートで、2021年から4年連続で選手部門タイトルを獲得しているレッドブルのマックス・フェルスタッペン(オランダ)は「日本はいつも歓迎してくれる場所で大好き。こうしてまた戻ってこられてうれしい」と感謝を語った。今季はここまで2戦を終え、首位と8ポイント差の2位につけており、鈴鹿での首位奪還を目指す。

マシンをドライブする王者、マックス・フェルスタッペンデモ走行後のトークショーで観客の声援にこたえるレッドブルのマックス・フェルスタッペン(左)と角田裕毅

レッドブルの姉妹チーム、レーシングブルズからは日本でのレース経験もあるリアム・ローソン(ニュージーランド)と今季F1初参戦のアイザック・ハジャー(フランス)がデモ走行に参加した。

自動車のF1シリーズは世界各地のサーキットで10チーム、20人のドライバーが戦う四輪競技の世界最高峰カテゴリ。日本グランプリは4月4日から6日にかけて開催される。(文・写真 相川直輝)

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