「トランプのごみ捨て場ではない」、アフリカ南部エスワティニ国民に怒り 米移民犯罪者の受け入れめぐり

ホワイトハウスは他国の国外追放者の受け入れについて、アフリカ諸国からひそかに合意をとりつけようとしている/Christian Torres/Anadolu/Getty Images/File

(CNN) アフリカ全土、そして南部の小国エスワティニ(旧スワジランド)では、米国から国外追放された外国人の入国をめぐり、激しい怒りが爆発している。エスワティニ政府が、米国土安全保障省の報道官が「邪悪な怪物」と表現した移民らが自国の刑務所に送られたことを認めたためだ。

ニュージャージー州ほどの面積を持つエスワティニは、絶対的な権力を持つ国王によって統治されている。当局は16日、米国から追放された5人が、刑務所内の隔離施設に収容されていると発表。「懸念が広がっている」ことを認めつつも、これらの男性らが「国や国民に脅威を与えることはない」と主張した。

政府報道官代理の声明によると、今回の国外追放は、両国間で「数カ月にわたり行われたハイレベルでのしっかりとした協議の結果」だという。

この動きに反対する人々は、エスワティニが米国での居住が不適格とみなされた人々の「ごみすて場」として扱われることは容認できないと批判している。

トランプ政権によるエルサルバドルの刑務所への大量送還が世界中で話題になっている一方で、ホワイトハウスは他国の国外追放者の受け入れについて、アフリカ諸国からひそかに合意をとりつけようとしている。

ナイジェリアなど、米国が働きかけを行った国の一部は、外国人送還者の受け入れをめぐり圧力をかけられていると非難している。

「米国は、追放されたベネズエラ人を受け入れるようアフリカ諸国に相当な圧力をかけている。この中には刑務所から直接追放された人物もいる」と、ナイジェリアのトゥガー外相は先週のインタビューで述べ、米国政府による関税引き上げとビザの有効期限短縮の発表に言及した。

米最高裁は今月初め、トランプ政権が特定の移民をほぼ事前の通知なしに母国以外の国へ追放する道を開いた。その後まもなく、米国が犯罪歴があるとした第三国の8人が、南スーダンに到着した。

国土安全保障省の報道官は16日、エスワティニに送られた5人は、ジャマイカ、ラオス、キューバ、イエメン、ベトナムの出身者であると述べた。

報道官によると、この5人は児童レイプや殺人、強盗など、さまざまな罪で有罪となり、収監されており、その残虐性から母国が受け入れを拒否したという。

エスワティニ政府報道官は、今後、米国および国際移住機関(IOM)と連携し、「これらの収容者の母国への移送を進める」としていた。しかし17日、CNNの取材に対し、現時点で具体的な予定はないと述べた。

関連記事: