石油連盟が節約を呼びかけたら経産省が「石油は足りている」と口止め

経済

中東情勢の緊迫化を背景に原油供給不安が高まる中、石油業界と政府の対応のズレが波紋を広げている。石油連盟が早期の需要抑制を訴えた一方で、経済産業省がこれにブレーキをかけたとされる問題が、Xで大きな議論を呼んでいる。

石油連盟専務理事「早いタイミングで需要抑制策の検討を」政府に迅速な対応求めるhttps://t.co/iAnhtlUAcx

— 日テレNEWS NNN (@news24ntv) April 23, 2026

石油連盟の「需要抑制策」を求める発言に経産省が注文

石油連盟は、供給不安の高まりを受けて「早い段階で需要抑制策を検討すべき」と政府に要請し、節約や消費抑制の必要性に言及した。

これに対して経産省が注文をつけ、石油連盟は発言を訂正した。これは高市首相の「従来通り使ってよい」とのメッセージを優先した「口止めではないか」との見方が出ている。

ナフサについて政府は「必要な量は確保されている」との見解を示しているが、ユニットバス業者は「5月以降の納品のめどが立っていない」という。5月の原油輸入量は昨年の6割で、残りは備蓄を食いつぶす。

中長期でみても、中東の石油精製施設が大規模に破壊され、ホルムズ海峡が安全に通行できない状況が続く中で、石油供給は大幅に減り、価格は上がると予想されている。戦争が今年中に終わる保証もない。停戦してもイランがホルムズ海峡を支配する限り、供給不安は続くだろう。

SNS上では「業界が節約を呼びかけて火消しをしているのに政府は逆方向」「足りていると言わせているのではないか」といった批判が拡散した。

エネルギー危機の中でガソリン補助金で消費を拡大

資源インフレが予想される中で、政府はガソリンに補助金を出して消費を増やし、「今のまま給油を続けてください」と呼びかけているが、価格メカニズムが機能しないと供給は安定しない。

医療関係者や経済論者などからも、「需給逼迫時に需要抑制を言わないのは不合理」「価格メカニズムを歪めている」といった批判が相次いだ。

日本経済新聞

1970年代の石油ショックでは政府が総需要抑制を呼びかけ、金融を引き締めたのに、今回は逆に需要を増やし、価格メカニズムを無視する統制経済で対応している。

資源インフレでも「積極財政」にこだわる高市首相

今回の論点の本質は、単なる情報発信の問題ではない。世界的なエネルギー不足とインフレのなかで「積極財政」の看板をおろしたくない高市首相が、官僚に「供給は足りている」というプロパガンダをさせているのだ。

結果として政府は、緊縮財政でインフレを乗り越えなければならない時期に「政府には問題ない」という言論統制をしてバラマキを続ける一方、民間では供給リスクを前提に動かざるを得ないというねじれが生じている。

資源インフレに対応するには、供給対策が重要だ。50年前、通産省は石油の国家備蓄を始めるとともに原子力などエネルギーの多様化を進めた。だが日本の石油精製施設は中東産の「アラビアンライト」に最適化しているため、他の地域から輸入できない。これは改善の必要がある。

エネルギー安全保障が再び問われる中で、問題は「節約を呼びかけるか否か」ではない。需要抑制、価格政策、供給確保をどう一体的に設計するかという基本設計そのものが問われている。今回の騒動は、その不整合が表面化したに過ぎない。

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