KRAS G12C変異陽性の転移性結腸直腸がんに対するベクティビックス+ルマケラス、患者報告アウトカムでも良好な結果を示す
[公開日] 2025.08.22[最終更新日] 2025.08.21
2025年8月11日、医学誌『The Lancet Oncology』にて、KRAS G12C変異を有する治療抵抗性の転移性結腸直腸がんに対するベクティビックス(一般名:パニツムマブ)+KRAS阻害剤ルマケラス(一般名:ソトラシブ)の有効性を評価した第3相CodeBreaK 300の患者報告アウトカム(PRO)の結果が報告された。 化学療法後に再発したKRAS G12C変異を有する転移性大腸がん患者 試験群(240mg):ベクティビックス+ルマケラス240mg(n=53) 試験群(960mg):ベクティビックス+ルマケラス960mg(n=53) 標準治療群:ロンサーフ(一般名:トリフルリジン・チピラシル塩酸塩配合剤)またはスチバーガ(一般名:レゴラフェニブ)(n=54) 主要評価項目:無増悪生存期間(PFS) 副次評価項目:全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)、PROなど 9週目におけるPROの変化の最小二乗平均値は、試験群で良好な結果を示した。 試験群のルマケラス960mg群と240mg群は、対照群のベースラインからの変化の差がそれぞれ、「最悪時の疲労」で–0.89(95%信頼区間:–1.80~0.01)と–0.58(–1.47~0.30)、「最悪時の疼痛」で–1.45(–2.32~–0.58)と–1.14(–2.00~–0.28)、「全般的な健康状態–生活の質(GHS-QoL)」で9.43(2.31~16.56)と6.49(–0.43~13.41)、「身体機能」で5.38(–0.01~10.78)と6.34(1.07~11.62)であった。 これらの結果は、ルマケラス両群で最悪時の疼痛が、またルマケラス960mgでGHS-QoLが、ルマケラス240mgで身体機能が、それぞれ有意に改善したことを示している。 PROスコアの悪化までの時間(Time to Deterioration; TTD)は、大部分のPRO項目について試験群で悪化の遅延が認められた。特に身体機能では、ルマケラス両群で有意な遅延が示された(960mg群のハザード比:0.52、95%信頼区間:0.28–0.98、240mg群のハザード比:0.33、95%信頼区間:0.17–0.64)。 また、患者が報告した治療に伴う副作用の悩みの程度は、すべての治療群間で類似していたが、ルマケラス群の方が標準治療群と比較して、全体的な身体症状の改善を認識した割合が高かった(9週目時点で改善を認識した割合は、960mgで63%、240mg群で84%、標準治療群で37%)。 KRAS G12C変異を有する治療抵抗性の転移性結腸直腸がんに対するベクティビックス+ルマケラス併用療法は、臨床的アウトカムの改善に加えて、患者の生活の質(QoL)にも良好な影響を与える可能性を示唆している。 参照元: Health-related quality of life in patients with KRASG12C-mutated chemorefractory metastatic colorectal cancer treated with sotorasib plus panitumumab or standard of care (CodeBreaK 300): results from a phase 3, randomised clinical trial(The Lancet Oncology 2025 DOI: 10.1016/S1470-2045(25)00352-3 )
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