4社に1社が「シャドーAIエージェント」を検知できず(ZDNET Japan)
自律型AIエージェントの急速な普及に伴い、企業内における無許可のAIエージェントの動作を検知できないなど、新たなガバナンス上の問題が生じている。Ernst & Young(EY)が、年間売上高10億ドル以上の上場企業に所属する最高幹部や取締役など202人のAI意思決定者を対象に実施した2026年の調査で明らかになった。 調査対象者は全員、生成AIやエージェント型AIの導入に関するガバナンスや監査、システム運用の統括責任を担っている。回答者の98%が組織内に正式なAIガバナンス方針を策定済みと回答し、69%は一元化されたガバナンス体制を構築している。一方で、進化を続けるAI管理基準に対応するための社内専門知識が不足しているとの懸念が寄せられている。また、緊急の導入を優先するあまり、AIビジネスリーダーの約半数(47%)がガバナンス手続を回避した経験があると回答した。高まる自律型AIエージェントのリスク EYの調査によると、AIビジネスリーダーの85%が、自組織内で複数のエージェント型AIシステムが自律的に稼働していると回答した。Salesforceが2026年に発表した調査でも、本番環境で運用されるAIエージェントの平均数が2024年の5個から2026年には13個へと拡大した。その一方で、ビジネスリーダーの半数近くが、既存のAIガバナンス枠組みにエージェント型AI特有のリスクや要件を反映できていないと認め、26%は組織内で不正運用されている「シャドーAIエージェント」を検知できない状況にある。ガバナンス推進の最大要因はサイバーセキュリティ AIガバナンスにおけるもう一つの重大な懸念事項がサイバーセキュリティだ。EYの調査では、上級AI意思決定者の89%が過去1年間にAI関連のリスクに直面したと回答した。自社内で使用されている全てのAIツールを把握できていないリーダーは41%に達する。さらに36%は、AIエージェントの誤動作によるデータ紛失、金銭的損害、業務中断など、重大な悪影響をもたらした障害や事故を報告した経験を持つ。 サードパーティーを媒介としたサイバー攻撃によって自社のAIツールが侵害されることを警戒するAIビジネスリーダーは81%に上る。また72%は、新設または改定されたAI関連規制への対応が追いついていないと分析している。こうした懸念の背景には、AI関連リスク(89%)、サイバーセキュリティリスク(59%)、人的リスク(47%)、シャドーAI(46%)といった実被害の発生がある。適応力があり継続的に進化するAIガバナンスが鍵に 自律型エージェントの利用に際して、98%の企業が継続的なコンプライアンスの確保を目的に正式なAI保証レビューを実施している。しかし、この評価を実施した企業の92%で何らかの問題が検出されている。 EYの調査では、64%の企業が自社AIシステムの25%以上を修正し、14%の企業はシステム全体の75%を超える変更を加えたことが判明した。さらに、システム改修を一時停止した企業は全体の約3割に及び、25%の企業は保有するAIシステムの4分の1以上を完全に稼働停止させた。AIシステムの運用停止や見直しを余儀なくされた主な原因には、データ品質の問題(57%)、AIモデルの経年劣化(48%)、シャドーAI(39%)が挙げられている。AI技術の進化の速度と、導入計画に応じたガバナンス構築の時間との間に信頼性のギャップが生じている。 自律型AIエージェントが制御された検証環境から、従業員や顧客、取引先によって機能や推論ロジックが試される業務の本番環境へと移行するにつれ、企業に求められる対応は、単なるポリシーの策定から「それらの規程が有効に機能していることの実証と検証」へとシフトしていく。 適応性と信頼性を備えたAIガバナンスを実証するには、ビジネスリーダーがデジタル労働力である自律型AIエージェントの動作を完全に視覚化し、理解できること、説明責任を果たせるようにする必要がある。AIエージェントの自律機能はかつてない速度で進化を続けるため、確実なガバナンス、コンプライアンス、セキュリティ、透明性、そして成果を実現するうえで、企業は「信頼」を最優先のコアバリューに据える必要がある。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。