F-35の練習機「日本生産ウェルカム!?」 イタリアの大手メーカーが明かした“壮大な提案”とは

2025年5月21日から23日にかけて幕張メッセで開催された「DSEI Japan 2025」。その会場では、イタリアの大手航空機メーカーのレオナルドが新型練習機のシミュレーターを展示していました。将来、同機が日本の防衛産業の明日を担うかもしれません。

単なる練習機ではないって? M-346が「システム」といわれるワケ

 イタリアの大手航空機メーカーであるレオナルドは、2025年5月21日から23日にかけて千葉県の幕張メッセで開催された大規模な防衛・安全保障の展示会「DSEI Japan 2025」にブースを出展しました。なかでも注目を集めたのが、同社のジェット練習機であるM-346のフライトシミュレーターです。

拡大画像

2023年に開催されたDSEI Japanにおいて、レオナルド社が展示したM-346の模型(乗りものニュース編集部撮影)。

 M-346は、現在イタリアにある『国際訓練飛行学校(IFTS)』において、航空自衛隊のF-35パイロット教育に使用されています。また、同機を製造するレオナルドは日英伊による次世代戦闘機の共同開発計画であるGCAP(グローバル戦闘航空プログラム)に参画しており、それが練習機開発にどのような影響を与えるかも気になるところ。そこで、筆者(稲葉義泰:軍事ライター)は、同社でM-346プログラムを担当しているトマッソ・パニ上席副社長(マーケテイングおよび戦略キャンペーン担当)への単独インタビューを実施しました 。

 まず、パニ氏によればM-346は単なる練習機ではないといいます。

「M-346は単なる航空機ではなく『システム』です。つまり、航空機と地上訓練システムの両方を提供しており、訓練の全領域をカバーしています。

 今回ブースで展示しているのは『ULTD(ユニットレベル訓練装置)』というものです。これは、本格的な飛行訓練に用いられるフルミッションシミュレーターに移行する前の段階で用いられる訓練装置です。M-346での訓練に関しては、まず教室での座学から始まり、フルミッションシミュレーター、そして実機での飛行とシミュレーターを組み合わせた『Live Virtual Constructive(LVC)』システムへと段階的に進みます」

 つまり、M-346では地上設置型のシミュレーターと実機を組み合わせた複合的な訓練環境を、パイロットに対して提供しているというわけです。

 そんなM-346の実機について、レオナルドでは最近その能力向上型を発表したとパニ氏は説明します。

「現在、私たちレオナルド航空機部門では市場のニーズを常に注視しています。その結果、我々はM-346に対していくつかの機能強化が必要だと認識しました。

 そこで、約1年前にイギリスで開催されたファンボロー航空ショーで、M-346の改良型である『M-346 Block 20』というコンセプトを発表しました。このBlock 20の開発は現在進行中であり、今年3月末頃には同機のコックピットを初公開しました。

 Block 20における主な改良点はアビオニクス(航空電子機器)で、なかでも大型ディスプレイの採用が特徴的です。前席と後席の各乗員用に1枚ずつ、計2枚の大型ディスプレイを搭載しています。これは、F-35やユーロファイターといった現代の戦闘機がコクピットに配置している大型ディスプレイへのスムーズな移行を意識した設計です。

 また、新型のヘッドアップディスプレイ(HUD)も採用されているほか、通信・航法関連装置も強化されています」

関連記事: