北極海で見つかった「400年近く生きる生物」がSNSで拡散される...その生物の正体は?本当に400歳?(ニューズウィーク日本版)

最近、SNS上では、北極海に棲む「ある生物」の並外れた長寿に対する長年の関心と、いくつかの誤解を改めて呼び起こしている。 【写真】北極海で発見された、400年近く生きる生物 その生物の正体はグリーンランドザメ。現在、「392歳のグリーンランドザメ」と広く説明されている写真がSNS上で拡散されている。 この画像は数年前、フェイスブック、ピンタレスト、レディットなどのプラットフォームで広く出回った。この写真はユリウス・ニールセンが主導した研究の中で2016年に撮影されたもの。その研究結果は米学術誌『サイエンス』に掲載された。 この写真は最近、あるユーザーが3月8日にX(旧ツイッター)に投稿したことで再びオンライン上に現れた。投稿に添えられたキャプションには、「北極海で発見された392歳のグリーンランドザメ。1627年から海を彷徨っている」と書かれている。この投稿は大きな注目を集め、78万回以上の閲覧数を記録した。 この投稿は、ニールセンら研究者が2016年に行った研究結果を参照したものだ。研究者らは、漁網に絡まった後に死亡していた個体を中心に、28匹のメスのグリーンランドザメの年齢を調査。 研究者たちは独自の手法を用い、調査対象の中で最も高齢のサメは272~512歳だったと推定した。392歳という数字はこの年齢幅の中央値だ。

研究では、海洋生物の年齢を特定することは困難だと指摘されている。 「脊椎動物は、人間と同じくらいの寿命、長くても50年から100年程度の違いだと考えがちだ......しかし海洋生物は非常に長寿である可能性が高く、その年齢を特定することは非常に難しい」 サメの年齢を推定するため、ニールセンと研究チームは放射性炭素年代測定の技術を用いた。 具体的には、1950年代の核兵器実験によって生成された炭素14が、発育過程でサメの眼の組織にどのように取り込まれたかを調べたのだ。研究によれば、グリーンランドザメは大型であるが成長が遅い動物だ。調査された中で最も高齢のサメはほぼ4世紀もの間生きており、この種はおよそ150歳で成熟に達すると研究者たちは結論づけた。 ニールセンは2021年、米日刊紙USAトゥデイに対し、この広く共有されている写真は実際には動画から切り取られたスクリーンショットであり、2020年に自身のインスタグラムに投稿したものだと語った。 ニールセンは映像に写っているサメについて、2017年に捕獲され、衛星タグを取り付けたうえで放流された全長4.4メートルの巨大なグリーンランドザメだと説明している。当初その動画からスクリーンショットを共有したが、その画像はその後オンラインで何百回も再投稿され拡散していったと記している。 ニールセンによると、この画像にはしばしば「400歳」あるいは「500歳」とするキャプションが添えられていることもあるという。 「そのサメは確かに大きかったが、年齢について正確なことは言えない」とニールセンは記している。画像に写っているサメは150歳以上ではあるだろうとしつつも、あくまで推測にすぎないとも強調している。 また、グリーンランドザメの寿命は少なくとも272年に達するとするこれまでの推定についても、この推定は眼の水晶体核に対する海洋放射性炭素年代測定に基づくものであり、他の手法であれば変わる可能性もあると指摘した。

ニューズウィーク日本版
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