サッカーW杯への評価で日韓の大きな“差”、日本と対照的な結果を残した韓国代表の成長阻害要因とは?盛り上がりに欠けるようになった日韓戦(Wedge(ウェッジ))
「大惨事」(スポーツ朝鮮)、「史上最悪のW杯」(日刊スポーツ)――。読売新聞は6月28日付でウェブにアップされた記事で、韓国メディアが、自国の1次リーグ敗退を厳しい論調で伝えたことを報じた。 ロイター通信によると、韓国代表が6月30日に仁川国際空港へ帰国した際には、数百人のファンが洪明甫監督や協会を批判する横断幕を掲げて、怒号を浴びせるなど異様な空気に包まれたという。 日本代表が7月2日に複数便で帰国した際の成田空港では、スポーツニッポンによれば、約500人のサポーターが出迎え、「日本代表、ありがとう!」という声も響いたという。まさに対照的な光景だろう。 今回の韓国代表は、エースストライカーのFW孫興民(ソンフンミン、ロサンゼルスFC/アメリカ)らを擁し、1次リーグA組はチェコ、メキシコ、南アフリカと欧州や南米の強豪との対戦もなかった。しかし、チームは初戦のチェコには逆転勝ちを収めたものの、メキシコと南アフリカに連敗。32チームに枠が広がった決勝トーナメントへの進出が果たせなかった。 戦力や対戦相手の関係から期待が高かったゆえに、一転して落胆が怒りへと変わったことは明らかだろう。
そんな韓国の惨敗の要因は何だったのか。 まずは、試合結果とともに批判にさらされている、指揮官を巡る不透明な選考過程だ。 2024年7月にドイツ人監督が解任され、後任として2度目の監督に就任したのが、洪氏だった。韓国のKリーグ・蔚山(ウルサン)現代を率いて前年まで2連覇をしていたが、韓国メディアは協会トップと洪氏が名門大の先輩、後輩の関係だったことから、密室で選ばれた不透明な選考だと批判。「TBS NEWS DIG Powered by JNN」の報道では、2年前から監督選考が国会でも厳しく追及されてきたという。 洪氏は現役時代、2002年の日韓W杯では主将として韓国をベスト4に導き、Jリーグでもプレーした名DFだった。14年のW杯ブラジル大会でも代表を率いて1次リーグ敗退しており、戦力や対戦相手に恵まれながらも2大会連続での決勝トーナメント進出を逃したことで、選考過程が世論の批判を集めることとなった。 李在明大統領が自身のSNSで「人事が万事であると証明された。能力よりも身内びいきを重視して無能な人を指揮官に選べば、結果は火を見るより明らか」と協会を批判するなど、当面は事態が収拾する気配はなさそうだ。 日本ではブラジル戦の勝敗が決まる前に、サンケイスポーツが、日本サッカー協会が森保監督に続投要請を検討していると、異例の3期目の可能性が報じたほか、朝日新聞もブラジル戦後の7月1日付のウェブ記事で、すでに本人に非公式に1年の契約期間で続投を打診していると伝えた。指揮官の評価も、日韓両国で明暗が分かれた。
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一方で、そもそも韓国サッカー界には、構造的に弱体化する課題があると指摘する声もある。それは、若い年代の育成システムの問題点だ。 朝鮮日報は7月1日付記事で、若いユース年代の育成方法の課題を、選手の個性を生かす指導を受けることが容易ではないと書いた。 理由として「小・中・高校の指導者たちが選手に最も強く求めるのは、果敢なチャレンジよりも『試合で負けない方法』や『ミスをしないプレー』だからだ」と指摘する。
同紙によれば、選手だけでなく、保護者も求めるプロや大学でのプレーを続けるためには、全国大会の成績や出場時間が影響することと、指導者も自身のポストを維持するために、試合での結果を重視してリスクの少ない戦術を選択せざるを得なくなり、選手を中長期的な視点で成長させることを見通せていないという。 同紙によれば、代表を牽引したソンフンミンは16歳でドイツに渡り、今回のW杯で1次リーグのベストイレブンに選出されたMF李康仁(イ・ガンイン、パリ・サンジェルマン)も10歳でスペインに移住しており、韓国国内の「学園サッカー(部活)」とは違う環境で育っている。 韓国とは対照的に、日本はJリーグがユース年代の育成に力を注いできた。現在の日本代表の大半は海外リーグでプレーしているが、多くの選手がJクラブから巣立っている。競技人口のすそ野を広げ、選手の育成に投資をしてきたことの証左だろう。 韓国でプロのKリーグが発足したのが1983年。遅れること10年、日本は93年のJリーグ開幕から30年超を経て、若い年代の育成システムの充実が、欧州でプレーする選手の増加にもつながっているといえる。 朝鮮日報が「欧州主要リーグに在籍する選手は日本の62人に対し、韓国は13人しかいない」と報じるように、両国の代表クラスの海外経験にも大きな差がついた。 また、韓国の徴兵制度が影響するとの報道もある。日本が23歳以下主体で臨む五輪を経て、フル代表へと成長のステップを踏むのに対し、韓国では五輪でのメダル獲得よりも兵役免除の特例を得やすいアジア大会での金メダルを重視する事情もあり、中長期的な強化プランを立てにくいという。 7月2日の森保監督の会見では、韓国メディアから「日本の育成を見習うべきという声がある。韓国の現状をどう見ているか」という質問も飛び出した。