川口クルド人迷惑行為「もう限界」引っ越す住民「大物」送還後「おとなしくなった」の声も 「移民」と日本人

コンビニにたむろするクルド人と日本人の若者グループに注意する警察官ら=昨年11月、埼玉県川口市(コンビニオーナー提供、画像を一部加工しています)

不法滞在外国人の強制送還を進める国の計画「不法滞在者ゼロプラン」が進む中、トルコ国籍のクルド人らが集住し地域住民との軋轢が表面化している埼玉県川口市では、依然としてコンビニなどでの迷惑行為が続いている。一方、ゼロプランで数十人単位の強制送還が進み、クルド人コミュニティーの中心的人物の送還後は自発的に帰国する者が増えるなど、変化も見え始めた。

「何カ悪イコトシタノカ」

川口市北部のコンビニ店に隣接する飲食店。20代の店員男性は今春、クルド人の男性が店内で騒いでいたため「少し静かにできますか」と注意したところ、いきなり体当たりされたという。

「やんわり注意したのだが、激高された。彼らはコンビニの駐車場に解体トラックを止め、荷台にイスを出して飲んだり騒いだりしている。出るとこに出ようかとも思ったが、防犯カメラにも映っていないので証拠がない」

コンビニオーナーの60代の男性によると、昨年6月ごろからこの地域でクルド人の迷惑行為が目立ち始め、近所の住人からも通報が相次いだため、警察官が一晩で6回駆けつけたこともあった。昨年秋ごろからは日本人の若者が加わっていることも目立つという。

十数人でバイクの爆音を響かせ、路上を集団でうろついたり、店内でカッターナイフを買う者や、金属バットを持っている者もいた。警察官が駆けつけて「迷惑行為で通報がありました。帰りなさい」と言うと、「帰レジャナイ」などとカタコトの日本語で抗議してから場所を離れていったという。

オーナーの男性は「注意すると、吸っていたたばこを火のついたまま目の前に投げつけ、顔を近づけてきて『何カ悪イコトシタノカ』とわめき散らす。近所の住人が注意したら、家の玄関前に3、4人が並んで立ちションされた」。

3年ほど前に近所に引っ越してきた小学生と中学生の娘がいる家は今年8月、「もう限界」と言って引っ越していったという。

男性は「われわれもクルド人がすべて悪いとは言いません。ただ、こういう人たちが隣にいて、共生できますかと聞きたい」と訴え、こう続けた。

「それでも、あの人物が強制送還されてから、少しおとなしくなった」

「あきらめ」ムード

出入国在留管理庁が今月10日公表した不法滞在者ゼロプランの実施状況によると、今年6~8月の3カ月間で、強制送還が確定しながら帰国を拒む不法滞在者を護送官つきで送還したのは119人。このうちトルコ国籍は最多の34人で、うち22人は難民認定申請3回目以降だった。

中でも、川口市内で解体工事会社を実質経営し、メディアにもたびたび登場して在留クルド人社会でもリーダー的な存在だったクルド人男性が7月、成田空港から強制送還されたことは象徴的なケースとして受け取られたとみられる。

男性は2004年に来日し川口に20年以上滞在。難民申請が認められず、難民認定を求めて最高裁まで争ったが、敗訴が確定している。その間、不法滞在状態で入管施設への収容を一時的に解かれた仮放免の状態が続いていた。

妻や兄の名義で解体工事会社を実質経営し、在留クルド人を雇う側の存在だった。会社が埼玉県の基金へ100万円を寄付したとして、大野元裕知事から感謝状を手渡されるなど、在留クルド人社会に影響を与えやすい存在だった。

今回の集計のため、男性の難民申請回数を入管側が改めて確認したところ、通算6回でなく5回だったという。

鈴木馨祐法相は10日の記者会見で「護送官つき強制送還を進めた結果、仮放免者の中で自発的に帰国する旨を申し出る者が出ているとの報告も受けている」と述べた。

実際、この男性が帰国してから、クルド人の集住地区が「少し静かになった」「おとなしくなった」という地域住民の声もある。これまで帰国を拒否していた不法滞在者らの中に、あきらめムードが出ていることもうかがわれる。

他市へ移住や「移民化」も

片山さつき参院議員は9月、自身のユーチューブ番組で川口市内のトルコ国籍者について入管庁から開示されたデータを公開した。それによると、川口市内のトルコ国籍者は6月末時点で2146人で、昨年末からの半年間で60人減った。

このうち、難民認定手続き中で「特定活動」の在留資格を持つのは760人で、半年間で144人減。また、強制送還の手続き中は707人で41人減った。内訳は仮放免者607人、新設の監理措置者100人だった。

これらを合わせると全体の68%は難民申請者で、大半はクルド人とみられる。ただ、強制送還や自発的な帰国が進んでいることで、難民申請者の割合は半年前の75%から7ポイント減った。

一方で、川口市内のトルコ国籍者数が減る一方で、市北部で隣接するさいたま市南区の集合住宅などではクルド人の入居が増えているという。

また、川口市内のトルコ国籍者の在留資格では「日本人の配偶者等」が138人から半年間で146人に増加。「家族滞在」も80人から116人へと増えており、正規在留者の「移民化」も進んでいる。

不法滞在ゼロプラン、護送官つき強制送還が3カ月で前年倍増の119人 最多はトルコ34人

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