イギリス、ホルムズ海峡めぐり米軍の英軍基地使用を認める イラン拠点攻撃に
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イギリス政府は20日、石油輸送の要衝ホルムズ海峡を攻撃するイランの拠点をアメリカが攻撃するにあたり、イギリス軍基地の使用を認めると決定した。
キア・スターマー英首相はこれまで、イギリスの利益や生命を危険にさらすイランのミサイル発射を阻止するための、防御的作戦に限り、米軍による基地使用を許可していた。
英首相官邸は同日、ホルムズ海峡という重要な石油海上輸送路における船舶の保護を目的に、米軍による英軍基地の使用範囲拡大を閣議で承認したと発表した。ただし、これは引き続き「集団的自衛」の枠内だと説明している。
ドナルド・トランプ米大統領はイギリスの対応について「もっと早く行動すべきだった」と述べた。一方、イランのアッバス・アラグチ外相は、スターマー氏が「イギリス国民の命を危険にさらしている」と批判した。
イギリスは引き続き、攻撃そのものには直接関与しない。首相官邸は、「この紛争に対するイギリスの姿勢の基本原則は変わらない」と述べている。
最大野党・保守党のケミ・ベイドノック党首はソーシャルメディア「X」で、スターマー政権の今回の決定ついて、「究極のUターン」と書いた。
野党・自由民主党の外交担当スポークスマン、カラム・ミラー氏は、政府の今回の決定によってイギリスが「トランプ氏の危険な坂道をさらに転がり落ちている」と批判。スターマー首相に対し、アメリカの基地使用合意の条件について、議会審議にかけるよう求めた。
野党・緑の党のザック・ポランスキー党首は、「またしても心配なエスカレーション」だと述べ、「我々の関与について(下院議員に)投票させるべきだ」と主張した。
アメリカが使用している英軍基地は、英南西部グロスターシャー州のフェアフォード空軍基地とインド洋のディエゴ・ガルシア基地。
スターマー政権の決定についてトランプ氏は記者団に対し、「イギリスについては正直言って、少し驚いた。もっとずっと早くに行動すべきだった」と述べ、「関係は非常に良好なので驚いている。これまでにこんなことはなかった。イギリスは世界のどこでもたいてい、我々の最初の同盟国だったのに」と話した。
トランプ大統領はこれに先立ち同日、ホルムズ海峡を再開するための艦船派遣を拒んだ北大西洋条約機構(NATO)加盟国を「臆病者」と非難。海峡再開は「簡単」で「ほとんどリスクのない」軍事作戦だと主張していた。
イギリスの軍事作戦立案担当たちは、米中央軍と協力し、事実上封鎖されているホルムズ海峡をタンカーが通過できるようにする選択肢を検討している。海峡は、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃の報復として、イランが船舶などを攻撃していることから、事実上の封鎖が続いている。
BBCヴェリファイ(検証チーム) が分析したデータによると、3月に入ってから海峡を通過した船舶は100隻未満にとどまっている。
共同海事情報センター(JMIC)によると、戦争前は世界の石油供給の2割を運ぶ約138隻が、毎日海峡を通過していた。
20日の閣議について首相官邸報道官は、閣僚たちが「イギリス商船旗を掲げた船舶や、イギリスと親しい同盟国や湾岸諸国の船舶に対する、イランの無謀な攻撃によって、地域の危機が悪化し、イギリスおよび世界の経済に悪影響を及ぼす危険があると合意した」と説明した。
報道官はさらに、アメリカがイギリスの基地を使用するという合意には、ホルムズ海峡で船舶を攻撃しているミサイル拠点や能力を減退させるための「アメリカの防御的作戦」が含まれると述べた。
首相官邸は、閣僚らが「直ちに事態が緩和され、戦争が迅速に終結」することを望んでいると付け加えた。
スターマー政権のこの決定の前には、イランのアラグチ外相が、米軍による英軍基地の使用を認めるというイギリスの判断を「侵略への参加」とみなすと警告していた。
アラグチ外相は、イヴェット・クーパー英外相との電話会談で、イギリスの「否定的で偏った」姿勢を批判し、アメリカとの協力を停止するよう要求したのだと話していた。
英外務省は、クーパー外相がアラグチ氏に対してイランの「無謀な攻撃」と「ホルムズ海峡の混乱と封鎖」を非難したと述べた。
外務省報道官は、クーパー外相が「石油・ガス施設を含む民間インフラへのすべての攻撃の即時かつ包括的な停止」を求めたと述べた。
イギリスの決定について、アラグチ外相はソーシャルメディアに、「イギリス国民の大多数は、イスラエルとアメリカが選んでそうしているイランとの戦争への関与を望んでいない。自国民を無視し、スターマー氏は、イランへの侵略にイギリスの基地を使用させることでイギリス国民の命を危険にさらしている。イランは自衛権を行使する」と書いた。