春アニメ『黒執事 -緑の魔女編-』釘宮理恵&小林親弘が感じた「主従関係」の奥深さとは/インタビュー
全世界シリーズ累計3,600万部を超え、その美しく緻密に描かれた世界観と多彩なキャラクターでファンを魅了し続ける、枢やな先生の漫画『黒執事』。
2024年4月~6月に待望となるアニメ新シリーズ『黒執事 -寄宿学校編-』が放送され、大きな話題を呼んだ本作。その続編となる『黒執事 -緑の魔女編-』が2025年4月より放送開始となります。
放送に先駆けてアニメイトタイムズでは、「緑の魔女編」のキーパーソンとなるジークリンデ・サリヴァン役・釘宮理恵さん&ヴォルフラム役・小林親弘さんにインタビューを実施。
自身が演じるキャラクターの印象とその関係性、本作のメインキャラクター「セバスチャン&シエル」の主従関係との違いを伺ったほか、“ドイツ語の会話シーンのみ”収録した日の思い出なども語っていただきました。
──「緑の魔女編」では、「人狼(ヴェアヴォルフ)の森」「魔女の呪い」など、さまざまなポイント・記号がある世界観が描かれていますが、台本をお読みになられた際のご感想をお聞かせください。
釘宮理恵さん(以下、釘宮):台本を読んだときは、情報量がとても多くて、この世界観に慣れることに必死でした。キャラクターの背景だけでもすごく複雑ですし、それが絡み合っていて。さらに今回の舞台である「人狼(ヴェアヴォルフ)の森」もいわくつきと、何もかもが複雑だと感じました。「それでもこの世界に身を投じていくのだ!」と一生懸命、自分に馴染むまで読み込みました。
小林親弘さん(以下、小林):これまでの話の流れを知らずに入っていくということで、エネルギーが必要でした。長い歴史を持ったシリーズの途中、すでに世界観ができているところに飛び込んでいく中で、「この人たちはきっとこういう関係だ」と探りながらの台本読みでした。
実際に収録現場で第1話を見たとき、とても個性の強いキャラクターたちなのに、役者のみなさんはいい意味でとても力を抜いてお芝居をされていらっしゃったので、「あ、キャラクターを最初からガッと作り込まなくてもいいんだ」と、そこで安心感を得ることができましたね。なので自分も、みなさんの雰囲気に乗っからせていただきました。
──ご自身が演じられるサリヴァンとヴォルフラムの、ビジュアル的な第一印象と、台本を読まれてからの印象に変化はありましたか?
釘宮:最初は「ビジュアルが最高〜!」って思いました。
小林:(頷きながら)ふははは(笑)
釘宮:本当に可愛くて。この世界観を体現しているような素晴らしい衣装と冷たい眼差しで、すごく素敵なキャラクターだと思ったんですが、台本を読んでからは、背負っている運命や設定があまりにも複雑に絡み合っていることを知って、「これは果たしてどう演じようかな?」と、しばし考え込みました。
小林:初めてヴォルフラムを見たときは、見たまんまの「粗暴な、執事の格好が似合っていない男」という印象でした。
台本を読んでも「〜〜しやす」とか、言葉遣いも粗暴な感じが残っていましたし、「本当にこの人、毎日料理をしているのだろうか?」と思うくらい不器用だし……(笑)。執事の格好をしているけれど執事っぽくない、不思議な人だと思いました。
──お芝居をする上では、どのようなことを考えて収録に臨まれたのでしょうか?
釘宮:幼さゆえの素直な気持ちの面と、知能が高く周囲が見えすぎるがゆえにあえてグッと堪える面のメリハリがしっかりあるなと。そこが演じていて難しくもあり、もどかしい、切ない気持ちになるところだと思います。
小林:一番はやっぱり、いろんな事情を抱えている人だと思うので、そこはすごく難しかったです。それでも(サリヴァンによって)励まされたり救われたりしているので、彼の心の柱になっているのだろうなと思います。
それを(声で直接)表現するものではないですが、自分の中にそういった彼の気持ちは持っておこう、と意識しました。
──続いて、お互いのキャラクターの印象をお聞かせください。
釘宮:ヴォルフラムの第一声を聴いたときから、「100%の集中力を持ってサリヴァンを見守ってくれている人なんだな」ということが感じられました。あっという間に信頼関係が深まった気がしています。
小林:なんとも嬉しい……こちらこそ過ぎますね。収録スタジオに入ったときから、理恵さんが横にいてくださって。理恵さんは、僕がアニメの仕事を始めたての頃にすごくお世話になった方ですし、こんなに絡む役でご一緒するのも初めてだったので、最初は緊張もあったんですが、サリヴァンの第一声を聴いて、「理恵さんのお芝居に乗っからせてもらおう」と緊張がすぐにほぐれました。
サリヴァンのビジュアル面については、まずめちゃくちゃ可愛いです。あとは(初登場時に)ヴォルフラムに抱えられながら2人一緒に登場するというのが、中々ないシチュエーションだなと思いました(笑)。普通はそれぞれが歩いて登場するところを、一緒に登場するというのがすごく印象的でした。
釘宮:たしかに!
小林:あと、背負っているものはとても重いのに、すごく好奇心に溢れて明るいキャラクターなのが、(見ている人が)切なさを感じるポイントだと思います。そこも魅力的だなと。
──ちなみに、収録の際は役について話し合いなどもされたのでしょうか?
釘宮:(そういった意味では)全くしゃべってないよね?
小林:ないですね!
釘宮:本当に小野さん(セバスチャン・ミカエリス役・小野大輔さん)や真綾ちゃん(シエル・ファントムハイヴ役・坂本真綾さん)たちが長くやられていて、作品ができあがっている中に入らせていただいているので、最初からのびのびとやれる環境でした。あまりにもみなさんが的確にお芝居をしてくださるので、自分も迷うことなく、ぶれずに、なにも考えずに、ふわっと飛び込める土壌がすごくできているというか。
そんな環境に一緒に入っていく親弘くんは、本当に一言しゃべっただけで、全ての感情がこちらに伝わってくるエモーショナルなお芝居をされる方なんです。先ほど「私のお芝居に乗った」とおっしゃっていましたが、私も本当に親弘くんに支えられて、「自由にやっていいんだ」と。(ヴォルフラムに対して)ちょっと足蹴にしたり……(笑)。
逆にサリヴァンがシュンと落ち込んでいると、ヴォルフラムは母親のようなメンタルで励まして包んでくれたり。なにも言葉で相談しなくても、良いハーモニーが生まれているんじゃないかなとすごく思っています。
小林:まさに、僕もそうですね。「何も申し上げることはございません」というぐらい、そう思います。
──(小林さんへ)折角なので、釘宮さんのお芝居の印象についてもお伺いできればと思います!
釘宮:(小声で)今だよ!
一同:(笑)。
小林:(大声で)いや、本当に素晴らしくて! って、いやいやいやいや! 逆に嘘臭くなってしまう(笑)。
過去に、他の声優さんと3人で一緒にお芝居を見に行ったりもしたぐらい、理恵さんはすごくお芝居がお好きな方なので、僕は本当にそこに乗っからせてもらっているだけと言いますか。(釘宮さんが)しゃべったことに返すだけで、きっと成立するんだろうな。ここに無理に何かやろうとしたり……例えば、悲しいからといって悲しくしゃべるということをしなくても、きっと関係性だけでシーンは作れていくんだろうな、と。本当になにも……「言うことなどない!」というか(笑)。とてもとても信頼して……もう、はい(笑)。
──(笑)。尊敬していることがすごく伝わってきました。
Page 2