Z世代コンビがダウ選手権で初V!「もう予選会はゴメン」と語る苦労人の素顔とリアルすぎる本音【米女子ツアー】 (1/2)
LPGAツアー唯一のチーム戦「ダウ選手権」。ここで、アメリカ出身のジーナ・キム(26歳)とヤナ・ウィルソン(19歳)のペアが通算17アンダーで見事にツアー初優勝を飾った。下部ツアー(エプソンツアー)からの叩き上げである二人が手にしたのは、栄光のトロフィーだけではない。それぞれ約40万ドル(約6000万円)というビッグマネー、そして何より「未来の安心」だ。彼女たちの優勝会見は、プロの過酷な現実とZ世代特有の軽快なノリ、そしてアスリートとしての凄みが交錯する、実に痛快なものだった。
シード権や出場権を持たない若手選手にとって、ツアーを戦うことは想像を絶する過酷なサバイバルである。今回の優勝により、2年間のシード権と今後のメジャー大会(エビアン選手権など)への出場権を一気に手にしたキムは、マイクの前で飾らない“リアルすぎる本音”を吐露した。
「もう予選会(マンデーなど)に出なくていいのが本当に嬉しい。以前、ローズ・ジャンと予選会でプレーオフをした時、『いつか予選会に出なくて済むようになるのが私の夢だ』って彼女にこぼしたの。膝も股関節も、とにかく体のすべてが痛かった。予選会をスケジュールに組み込まなくていい生活がずっと理想だったの」
直近の3試合連続で予選落ちを喫し、もがき苦しんでいたキムにとって、この1勝はまさに起死回生だった。「大げさに聞こえるかもしれないけれど、この優勝で私のキャリアの軌道は完全に変わったわ」と、安堵の表情を見せた。
震える体と極限の重圧を乗り越えた「19歳の新ヒロイン」
一方のヤナ・ウィルソンは、19歳9カ月24日という今シーズン最年少での優勝だった。同時に、今季初のルーキー(新人)優勝者でもある。この歴史的な快挙は決して運だけで手にしたものではなかった。
最終日の5番(パー5)で、キムが予想外のイーグルを奪い「その日の流れを決定づけた」と振り返るが、真の試練はその後に待っていた。優勝を争う終盤の17番ホールで、対戦相手(チェ・ヘジンら)がピンそばにピタリと寄せる絶体絶命のピンチを迎えたのだ。
その時の心境を、ウィルソンは「絶対に自分が(バーディパットを)決めなきゃいけないと分かっていて、ボールの上で文字通り体が震えていた」と明かしている。しかし彼女は、その極限の重圧を跳ね除けて見事にバーディパットをねじ込んだ。若さの裏に隠された「勝負師」としての凄みを見せつけた瞬間だった。
「芝生破壊兵器」とカニエの歌詞。Z世代全開のユーモア
優勝したジーナ・キム(右)とヤナ・ウィルソン(左)。エプソンツアーでともに戦ってきた仲間だ(写真/LPGA, Getty)
そんな過酷な死闘をサバイブしてきた苦労人でありながら、彼女たちの素顔は極めて現代的でユーモアに溢れている。
大会を盛り上げる2人のチーム名は「Weapons of Grass Destruction(芝生破壊兵器)」という何とも物騒でユニークなもの。実はこのネーミング、生成AIの「ChatGPT」とキャディのエリックが考案したものだという。「私たちの楽しくて軽いエネルギー、そして『コースを破壊するぞ』っていうモチベーションを完璧に表してくれた」と笑い飛ばす。
さらに、土曜日の18番ホールで流れる入場曲には、カニエ・ウェストのヒップホップナンバー「Can't Tell Me Nothing」をチョイス。19歳のウィルソンは「『お金が入るまで待ってて(wait until I get my money right)』というフレーズが好きなの」と明かす。実際、優勝インタビューで「約40万ドルの小切手を手にする気分は?」と問われたウィルソンは、即座に「お金が入るまで待ってて!」とカニエの歌詞を引用し、会場を爆笑の渦に巻き込んだ。
物欲と社会貢献のギャップが魅せる新たなヒロイン像
ビッグマネーの使い道について聞かれると、キムは「もちろん自分へのご褒美に素敵なものを買うつもりよ!」と目を輝かせ、すかさずウィルソンが「当然よ。ブレスレットや指輪を買わなきゃ!」と合いの手を入れる。
しかし、等身大の物欲を見せる彼女たちには、誰かのために戦う真摯な「もう一つの顔」もあった。その思いを引き出したのは、大会中に寄り添ってくれたあるファンの存在だ。スポンサーのダウが支援するチャリティ団体の女性2人が、手作りのボードを掲げ、風雨のなか全18ホールを歩いて彼女たちを応援し続けてくれたのである。
キムとウィルソンは、ダウの支援が団体にどれだけ役立つかを彼女たちから直接聞かされ、大きな感銘を受けた。
「彼女たちは私たちの『幸運のお守り』だった。もっと良いプレーをして寄付に貢献したいとモチベーションが上がった」
高額な賞金にはしゃぐZ世代の素顔の裏には、自分たちを応援してくれる人々のために戦うアスリートとしての責任感が確かに存在していた。
泥臭い下積み時代の苦労を乗り越え、極限のプレッシャーを跳ね返し、最高の結果を掴み取った二人。自分たちのご褒美(ジュエリー)を無邪気に喜ぶZ世代の素顔と、社会貢献への真摯な思いを併せ持つ新ヒロインコンビの誕生は、女子ゴルフ界に新たな風を吹き込んでくれるに違いない。
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国内女子ツアーを牽引し、多くのファンを魅了してきたトッププロが、次世代のゴルファー育成に向けて新たな一歩を踏み出す。2013年の賞金女王・森田理香子が直接指導を行う「森田理香子ジュニアゴルフキャンプ」が、2026年7月27日(月)〜29日(水)の2泊3日で開催されることが決定した。舞台となるのは滋賀県の朽木ゴルフ倶楽部。対象は小学4年生から6年生で、定員はわずか「12名」という超プレミアムな合宿となっている。
自身初となるゴルフキャンプを開催する森田理香子
森田理香子といえば、類まれな身体能力から生み出される豪快なスウィングと圧倒的な飛距離を武器に、2013年に年間4勝を挙げて賞金女王に輝いた名プレーヤーだ。トッププロとして華やかな世界で厳しい勝負をくぐり抜けてきた彼女だが、自身初となる今回のキャンプで掲げたテーマは、「技術の向上」や「スコアアップ」だけではない。
「私が、子どもの頃に出会った“ゴルフ合宿”を、今の子どもたちへ届けたい」
森田は、今回のキャンプ開催への熱い想いをこう語る。
「この企画は、私自身が小学生時代に参加していたゴルフ合宿を、朽木の地で再び始めたいという思いから生まれました。子どもの頃に過ごした合宿には、ゴルフの技術だけではなく、仲間と寝食をともにする時間、自分のことを自分でやってみる経験、うまくいかない悔しさ、できた時の喜び、そして自然の中で思いきり挑戦する楽しさがありました。 この合宿で大切にしたいのは、スコアだけを競うことではありません。ゴルフをもっと好きになること。正直にプレーすること。仲間を助けること。自分で考え、自分で行動してみること。
ゴルフというスポーツを通して、子どもたちが少しだけたくましくなり、自信を持ち、仲間との時間を心から楽しめる場所をつくりたいと考えています」
「楽しむ × 自分でやる × 仲間と育つ」 人として成長するプログラム
本キャンプでは、森田プロの想いを体現する「5つの大切なこと」が掲げられている。
1.ゴルフを好きになる 2.自分のことを自分でやる(荷物の整理から片付けまで) 3.仲間を思いやる 4.正直にプレーする(自分で数えるスポーツとしての誠実さ) 5.自分の言葉で話す(毎晩のふりかえりミーティングでの発表)
期間中は、森田プロが3日間ずっと子どもたちのそばに付き添い、打球練習やコースラウンド(ハーフラウンド等)を行う。定員12名という少人数制だからこそ実現する、一人ひとりと向き合う密密な時間だ。
さらに、芝を守る大切さを学ぶ「グリーンキーパー体験」や、夏の思い出作りに欠かせない「BBQ・花火」、そして自分の言葉で一日を振り返る「ミーティング」など、ゴルフを通じて人として成長するための多彩なプログラムが用意されている。
ゴルフのレベルは問わず、「初心者大歓迎」とのこと。トッププロから直接ゴルフの楽しさと奥深さを教わり、自然の中で仲間と寝食を共にする3日間は、子どもたちにとって一生の財産になるはずだ。
募集は6月26日までとなっているが、12名限定の「先着順」のため、すぐに枠が埋まってしまうことが予想される。「ゴルフを通じてたくましく育ってほしい」。そんな願いを持つ親御さんは、急いで特設サイトをチェックしてほしい。
【森田理香子ジュニアゴルフキャンプ 開催概要】
● 開催日程:2026年7月27日(月)〜29日(水) ※2泊3日 ● 会場:朽木ゴルフ倶楽部(滋賀県高島市朽木宮前坊1番地2) ● 対象:小学4年生〜6年生のジュニア(初心者大歓迎) ● 定員:12名(先着順) ※定員に達し次第、受付終了またはキャンセル待ち ● 参加費:8万8000円(税込/1名) ※宿泊、食事、ゴルフプログラム、体験費、保険等含む ● 参加特典:帽子、ポロシャツ、ボールをプレゼント ● 募集締切:2026年6月26日まで
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大本研太郎プロが教えてくれた、PWや9番アイアンといったロフトが少し立った番手を使った「ミスになりづらいアプローチ」を、シングルハンディの腕前を持つイラストレーターの野村タケオが試してみた!
みなさんこんにちは。ゴルフバカイラストレーターの野村タケオです。スコアを作るにはグリーン周りが重要です。しかしアプローチって結構ミスすることが多いので、なるべくならばシンプルにやさしく打ちたいですよね。週刊ゴルフダイジェスト6/23号に、“「知」のゴルフなら目の前の一打に集中できる”という記事がありました。そこに成功率の高いアプローチが紹介されていましたので試してみることにしました。
週刊ゴルフダイジェスト2026年6月23日号で特集されていた、PWや9番アイアンを用いた「ミスになりづらいアプローチ」を実践!
この記事は大本研太郎プロが解説をしてくれているのですが、大本プロによるとゴルフはミスのスポーツなので、そのミスをナイスミスに変えていくのが大事ということです。そのためには知識や知恵を使ってラウンドすることが重要というのが、この「知のゴルフ」ということなんです。
記事の中ではパターの話や風景に脳が騙されてしまう話など、なかなか興味深いことがたくさん書かれているのですが、なかでも僕が気になったのがアプローチの話なんです。なんでもデータによるとアプローチを10ヤード以内に寄せれば2パットの可能性が大きくなるということなんです。なので、いかに10ヤード以内にアプローチを寄せるかということが、スコアを縮めるカギになるということなんですね。
そのために必要なことは2つ。まずはできるだけミスになりづらいアプローチを心がけること。もうひとつはアプローチをいっぱい練習することということです。確かに練習量を増やせば上手くはなるでしょうが、ミスになりづらいアプローチというのはどういうものなのでしょうか。
大本プロによると、ミスになりづらいアプローチというのは簡単で、PWや9番アイアンを使えばいいとのことです。ロフトが寝ているクラブでのアプローチは難しいので、ロフトが少し立ったクラブを使うのがいいということなんですね。そうすればランが出るので距離感が合いやすいし、ミスヒットも少なくなるということです。
SWではなく、PWや9番アイアンを使えばミスになりづらい
ロフトが立った番手でも飛び過ぎない打ち方とは?
でもね、ロフトの立ったクラブだと少し飛び過ぎちゃって、距離が短めのアプローチが難しいと思うんですよね。と、思っていたら、そういう場合の打ち方が載っていたのでやってみることにしました。
そもそもアプローチは他のショットと違い、飛ばない方がメリットが大きいそうです。その理由はしっかり振れるから。ゆっくり振るよりもサッと振った方がラクということなんですね。
しかしPWで打つとロフトが立っているために飛び過ぎてしまうので、トウ打ちをするといいそうです。通常のアプローチよりもボールに近く立ち、ややハンドアップに構えることでヒールを浮かせてボールをトウにセットします。こうすることでヒール部が芝に当たらないので芝の影響を受けにくくなります。
ヒールを浮かせて構え、ボールはトウ側にセットする
打ち方はパターのように打てばミスも少なく、トウでヒットするので芯を外すことになり、速く振っても飛ばなくなるということです。速く振れると緩むことがなくなり、ミスになりにくいんですね。
実際にやってみると……
やってみましたが、ヒールを浮かせて構えてみると、かなりボールに近く立つ感じになります。最初は少し違和感がありますが、その分クラブを短く持てば違和感も少なくなります。トウにボールをセットするというのも普段はやらないことなので、最初は少し戸惑いますね。
(左)普通のアプローチの構え。(右)ヒールを浮かせ、ボールに近く立ち、パターのように構える
パターのようにストロークするわけですから、アドレスも当然パターのように構えます。ボールを打ってみると、トウでヒットするためにやはり反発が弱くなり打ち出しのスピードが遅くなりますね。その分、振った感覚よりもボールが飛びません。勢いが殺されるので、ランも少ないです。これなら短い距離でも使えそうです。ただ距離感に関しては、最初はなかなか合わないかもしれませんので、少し練習した方がいいと思います。
実際に打ってみるとボールの勢いがなくなり飛ばなくなる。接地面積も減るので突っかかりにくくなる
またヒールを浮かせていて、地面との接地部分が少なくなるために抵抗が少なくスッと振り切れます。芝が多少逆目になっていてもあまり影響を受けない感じ。これならザックリのミスが少なくなりそうです。
大本プロによると、このアプローチを覚えれば「ナイスミス」が増えるとのこと。確かに多少ダフリ気味に打ったとしても突っかからないし、強めに入ったとしても飛び過ぎもないので、大きなミスにはなりにくそうです。アプローチがイマイチ上手くいかなくて悩んでいる人は、一度試してみてください。
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古江彩佳&西村優菜ペア、勝みなみ&渋野日向子ペアをはじめとする日本勢も、それぞれの持ち味を発揮して難コースに挑んだLPGAツアー唯一のチーム戦「ダウ選手権」。若手からベテランまで多彩なペアが躍動したこの大会で、世界中のゴルフファンからひときわ大きなスタンディングオベーションを浴びたペアがいる。メジャー通算7勝を誇る「生ける伝説」ジュリ・インクスター(65歳)と、27歳の飛ばし屋エンジェル・インの年の差コンビである。
LPGA31勝(メジャー7勝)のジュリ・インクスターがLPGA記録となる65歳11カ月19日で予選通過し、12位タイでフィニッシュした
現在65歳のインクスターは、今大会で見事に最年長予選通過記録を塗り替えた。以前の記録は2004年にジョアン・カーナーが打ち立てた「65歳と26日」だったが、インクスターは「65歳11カ月19日」での突破という歴史的な金字塔を打ち立てたのである。さらに、最終的に通算9アンダーの12位タイという堂々たる成績で4日間を完走してみせた。
2人の関係は、インクスターがアメリカ代表キャプテンを務めた2017年のソルハイムカップで、インをキャプテン推薦で抜擢した時から始まった。インは「ジュリは私のゲーム(実力)だけを見て、見返りなど関係なく引き上げてくれた」と恩義を感じている。
今大会中、2人は自分たちの凸凹コンビぶりを自虐と親愛を込めて「Frick & Frack(フリックとフラック:いつも一緒にいる2人組のスラング)」と呼び合い、無邪気に笑い合っていた。
「飛距離がなくてもスコアは作れる」生きた教材
インクスターの戦いぶりは、同伴競技者であり、親子ほど年の離れたパートナーであるインの目に、どのように映ったのだろうか。
「彼女はピンに全然近くない時でも、パットの距離感が素晴らしく、自分の長所をすべて生かしていた。チッピングも本当に素晴らしかった」
インは感嘆の声を漏らした。全盛期に比べて飛距離が落ち、アイアンショットがピンに絡まなくても、ゴルフはスコアを作ることができる。インクスターは、長年培ってきた「魔法のショートゲーム」と、リスクを徹底的に管理するコースマネジメントによって、それを自らのクラブで証明してみせたのだ。
2人は最終日の会見で、「もし(ベストボール方式ではなく、難易度の高い交互打ちの)オルタネートショット方式だけの大会だったら、私たちはトップ5、あるいは優勝争いに入っていただろう」と自信たっぷりに語り合っている。飛距離がなくてもミスを減らしてスコアをまとめるインクスターのマネジメント力が、最も過酷な方式でこそ活きたという何よりの証左である。
永遠にプレーするための「回復力」と「愛」
女子ツアーはこの先、アムンディ・エビアン選手権やAIG女子オープン(全英)など、過酷なメジャーシーズンが本格化する。パワーだけでは通用しない極限のセッティングにおいて、インクスターのプレーは、若きインにとって何よりの生きた教材となった。
「メジャー大会では、ただ上手く打てばいいわけじゃない。時には泥にまみれて耐え忍ぶ必要がある。彼女は、決して簡単な状況じゃなくても、どうやってスコアをまとめるかという真髄を教えてくれた」とインは振り返る。
さらに、1つのボールを交互に打つ過酷なフォアサム形式(オルタネートショット)を振り返り、「私たちがこの方式で好成績を出せたのは、すべてジュリのおかげ。私たちは本当に泥臭くプレーした」と、レジェンドへの深い敬意と感謝を口にした。
会見でインは、インクスターから学んだ最大のものは何かと問われ、こう答えている。
「それは『回復力』と『愛』です。正しいアプローチで向き合えば、ゴルフは永遠にプレーできるのだと教えてもらいました」
インからの最大級の賛辞を聞いたインクスターは、「彼女が素晴らしいプレーをして私を引っ張ってくれたからよ。私はただ彼女の隣にいられて嬉しかっただけ」と謙遜し、優しい笑顔を見せた。
試合後、「今後、LPGAツアーに出場する予定はありますか?」と問われたインクスターは、「全くないわ(笑)」と即答している。
ツアーの一線から退き、穏やかな日々を楽しむレジェンドだが、クラブを握ればそこには一流のプロフェッショナルとしての凄みが宿る。華やかな飛距離がなくとも、泥臭くスコアをまとめ上げる「勝つための技術」。インクスターが後輩のインに、そして我々に背中で見せてくれたゴルフの神髄は、記録以上に深く、永遠に語り継がれることだろう。
写真/Getty Images
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カナダの熱狂に包まれたTPCトロントで開催された「RBCカナディアンオープン」。中島啓太が最終日に6アンダーと爆発して20位タイに入り、日本のファンを沸かせた。その中島と同じく、最終日のリーダーボードを力強く駆け上がったのは、今大会に出場した選手の中で世界ランク最上位(4位)のマット・フィッツパトリックだ。雨に見舞われた最終日、彼は6アンダーの「64」という圧巻のスコアを叩き出し、通算15アンダーの単独2位に食い込んでみせた。
今季すでに「バルスパー選手権」「RBCヘリテージ」「チューリッヒクラシック」で3勝を挙げているフィッツパトリック。この大会で勝てば、スコッティ・シェフラー(2025年)以来となるシーズン4勝目、そして「イングランド人選手として初のシーズン4勝」という歴史的快挙が懸かっていた。
メジャー覇者としての貫禄と執念を存分に見せつけたこの快進撃の裏には、アマチュアゴルファーにも大いに参考となる「ある技術的な変更」が隠されていた。
最終日、この日のベストスコアタイとなる「64」でラウンドし、単独2位でフィニッシュしたM・フィッツパトリック(写真は26年VMフェニックスオープン)
最終日のコースは、激しい雨によってコンディションが一変していた。グリーンが柔らかくなった反面、ボールのバウンドやスピン量の予測が難しくなる。しかしフィッツパトリックは「今日は雨の中でのスピンコントロールが何よりも重要だったが、上手く対応できた」と、トッププロならではの高い状況対応力を見せつけた。
そのハイライトとなったのが、最終18番ホールでの見事なイーグルフィニッシュだ。セカンドショットについて問われると、「完璧な距離だった。完璧な4番アイアンだったよ」と手応えを口にした後、こう付け加えた。
「それに、今週(18番で)初めてフェアウェイをとらえたような気がするから、そのチャンスをしっかり生かせてよかったよ」
【動画】M・フィッツパトリックが「完璧な4番アイアンだった」と話す最終日18番セカンドショット【PGAツアー公式YouTube】
https://www.youtube.com/embed/DapCFwsmmL8?feature=oembed
PGA TOUR Highlights | RBC Canadian Open | Round 4 | 2026
youtu.be実は彼、この18番ホールで3日目まで一度もフェアウェイを捉えられていなかった。しかし、絶対にスコアを伸ばしたい最終日の土壇場でついにフェアウェイをキープし、見事に最高の結果へと繋げてみせたのだ。極限の戦いの中で発揮されるこの勝負強さこそが、彼の根底にある。
パッティングスタッツを劇的向上させた「引き算」のルーティン
そして、この日のビッグスコアを支えた最大の要因こそが、今週から新たに取り入れた「パットのルーティン変更」だった。
事実、彼は前週の「メモリアルトーナメント by ワークデー」まで、ストロークス・ゲインド(SG):パッティングが「-0.221(全体の112位)」と、グリーン上のフィーリングに深く苦しんでいた。大会前の公式データ予測でも「パットの不調」を理由に優勝候補の条件から除外されていたほどだ。
しかし彼は、自らのストロークのプロセスを冷静に見直し、非常にシンプルかつ効果的な改善を行った。
「いつもは、カップを見ながら素振りをして、ボールの前にアドレスした時にもう一度カップを見るというルーティンだった。でも今週は、その『(アドレスした後の)カップを見る』動作を省いたんだ」
【動画】M・フィッツパトリック、新ルーティンで18番イーグルパットを沈める!【PGAツアー公式YouTube】
https://www.youtube.com/embed/DapCFwsmmL8?feature=oembed
PGA TOUR Highlights | RBC Canadian Open | Round 4 | 2026
youtu.beなぜ、プロにとって生命線とも言える「ラインや距離感を確認する動作」をあえて減らしたのか。彼は明確な理由を語る。
「少し時間をかけすぎていたんだ。だから、自分自身を解放して、ストロークにもっと流れ(フロー)を持たせるようにした。そのおかげで、ずっと良いパットが打てるようになったよ」
この直感的なリズムとフローを重視する試みは見事に的中する。今大会のSG:パッティングは「4.730(13位)」へと飛躍的に向上し、事前のデータ予測をあざ笑うかのようにリーダーボードを駆け上がったのである。
情報を入れすぎて思考がフリーズしたり、アドレスで固まってスムーズな始動ができなくなったりするのは、多くのアマチュアゴルファーも抱える共通の悩みであり、明日からすぐに試せる実践的なヒントとなるはずだ。
「良い一週間だった。最初からこの結果が分かっていれば喜んで受け入れただろうね」と満足げに大会を振り返ったフィッツパトリック。
次戦は、いよいよ過酷な全米オープン(シネコックヒルズ開催)である。「グリーンが極めて厳しいので、グリーン周りが最も重要になる」と語る彼の研ぎ澄まされたショートゲームと新たなパッティングルーティンが、メジャーの舞台でどのような魔法を生み出すのか。次週の戦いからも目が離せない。
写真/岩本芳弘
RBCカナディアンオープン、優勝は苦労人のバド・コーリー!
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LPGAツアー唯一のチーム戦「ダウ選手権」。ここで、アメリカ出身のジーナ・キム(26歳)とヤナ・ウィルソン(19歳)のペアが通算17アンダーで見事にツアー初優勝を飾った。下部ツアー(エプソンツアー)からの叩き上げである二人が手にしたのは、栄光のトロフィーだけではない。それぞれ約40万ドル(約6000万円)というビッグマネー、そして何より「未来の安心」だ。彼女たちの優勝会見は、プロの過酷な現実とZ世代特有の軽快なノリ、そしてアスリートとしての凄みが交錯する、実に痛快なものだった。
シード権や出場権を持たない若手選手にとって、ツアーを戦うことは想像を絶する過酷なサバイバルである。今回の優勝により、2年間のシード権と今後のメジャー大会(エビアン選手権など)への出場権を一気に手にしたキムは、マイクの前で飾らない“リアルすぎる本音”を吐露した。
「もう予選会(マンデーなど)に出なくていいのが本当に嬉しい。以前、ローズ・ジャンと予選会でプレーオフをした時、『いつか予選会に出なくて済むようになるのが私の夢だ』って彼女にこぼしたの。膝も股関節も、とにかく体のすべてが痛かった。予選会をスケジュールに組み込まなくていい生活がずっと理想だったの」
直近の3試合連続で予選落ちを喫し、もがき苦しんでいたキムにとって、この1勝はまさに起死回生だった。「大げさに聞こえるかもしれないけれど、この優勝で私のキャリアの軌道は完全に変わったわ」と、安堵の表情を見せた。
震える体と極限の重圧を乗り越えた「19歳の新ヒロイン」
一方のヤナ・ウィルソンは、19歳9カ月24日という今シーズン最年少での優勝だった。同時に、今季初のルーキー(新人)優勝者でもある。この歴史的な快挙は決して運だけで手にしたものではなかった。
最終日の5番(パー5)で、キムが予想外のイーグルを奪い「その日の流れを決定づけた」と振り返るが、真の試練はその後に待っていた。優勝を争う終盤の17番ホールで、対戦相手(チェ・ヘジンら)がピンそばにピタリと寄せる絶体絶命のピンチを迎えたのだ。
その時の心境を、ウィルソンは「絶対に自分が(バーディパットを)決めなきゃいけないと分かっていて、ボールの上で文字通り体が震えていた」と明かしている。しかし彼女は、その極限の重圧を跳ね除けて見事にバーディパットをねじ込んだ。若さの裏に隠された「勝負師」としての凄みを見せつけた瞬間だった。
「芝生破壊兵器」とカニエの歌詞。Z世代全開のユーモア
優勝したジーナ・キム(右)とヤナ・ウィルソン(左)。エプソンツアーでともに戦ってきた仲間だ(写真/LPGA, Getty)
そんな過酷な死闘をサバイブしてきた苦労人でありながら、彼女たちの素顔は極めて現代的でユーモアに溢れている。
大会を盛り上げる2人のチーム名は「Weapons of Grass Destruction(芝生破壊兵器)」という何とも物騒でユニークなもの。実はこのネーミング、生成AIの「ChatGPT」とキャディのエリックが考案したものだという。「私たちの楽しくて軽いエネルギー、そして『コースを破壊するぞ』っていうモチベーションを完璧に表してくれた」と笑い飛ばす。
さらに、土曜日の18番ホールで流れる入場曲には、カニエ・ウェストのヒップホップナンバー「Can't Tell Me Nothing」をチョイス。19歳のウィルソンは「『お金が入るまで待ってて(wait until I get my money right)』というフレーズが好きなの」と明かす。実際、優勝インタビューで「約40万ドルの小切手を手にする気分は?」と問われたウィルソンは、即座に「お金が入るまで待ってて!」とカニエの歌詞を引用し、会場を爆笑の渦に巻き込んだ。
物欲と社会貢献のギャップが魅せる新たなヒロイン像
ビッグマネーの使い道について聞かれると、キムは「もちろん自分へのご褒美に素敵なものを買うつもりよ!」と目を輝かせ、すかさずウィルソンが「当然よ。ブレスレットや指輪を買わなきゃ!」と合いの手を入れる。
しかし、等身大の物欲を見せる彼女たちには、誰かのために戦う真摯な「もう一つの顔」もあった。その思いを引き出したのは、大会中に寄り添ってくれたあるファンの存在だ。スポンサーのダウが支援するチャリティ団体の女性2人が、手作りのボードを掲げ、風雨のなか全18ホールを歩いて彼女たちを応援し続けてくれたのである。
キムとウィルソンは、ダウの支援が団体にどれだけ役立つかを彼女たちから直接聞かされ、大きな感銘を受けた。
「彼女たちは私たちの『幸運のお守り』だった。もっと良いプレーをして寄付に貢献したいとモチベーションが上がった」
高額な賞金にはしゃぐZ世代の素顔の裏には、自分たちを応援してくれる人々のために戦うアスリートとしての責任感が確かに存在していた。
泥臭い下積み時代の苦労を乗り越え、極限のプレッシャーを跳ね返し、最高の結果を掴み取った二人。自分たちのご褒美(ジュエリー)を無邪気に喜ぶZ世代の素顔と、社会貢献への真摯な思いを併せ持つ新ヒロインコンビの誕生は、女子ゴルフ界に新たな風を吹き込んでくれるに違いない。
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全米オープンの前哨戦RBCカナディアンオープンは時折雨が降るなか最終ラウンドが行われ、プロ15年目のバド・コーリーがツアー参戦239試合目にして涙の初優勝を飾った。この大会に出場していなかったアラバマ大学の後輩で親友のジャスティン・トーマスは、テレビ観戦しながらSNSに応援メッセージを投稿。大きな事故によるケガを乗り越えた苦労人が最愛の息子たちの目の前でトロフィーを掲げた。
最終日1打差の単独2位からスタートしたコーリーは、バック9で3連続バーディを奪って後続を突き放すと、最後は2位のマット・フィッツパトリックに2打差をつけ念願の初優勝を飾った。
RBCカナディアンオープンを制したバド・コーリー
「ここまで来るのは本当に大変でした。辛い時期、妻には大変な苦労をかけました。ここで優勝して感謝の気持ちを行動で表すことができた」とラウンド直後テレビインタビューで涙を拭いながら語ったコーリー。
それは8年前(18年)の6月のこと。メモリアル・トーナメントで予選落ちを喫したあと、会場のミュアフィールド・ビレッジGCの近くで後部座席に乗っていた車が交通事故を起こし肋骨6本を骨折。左脚も骨折し肺に折れた肋骨が突き刺さる重傷を負った。
「事故に遭ったその夜の記憶はないんです。意識を失っていたので。気づいたら病院にいました」とケガから復帰した試合で語り「事故そのものを覚えていないのは幸いでした」と振り返っていた。
骨折した肋骨にはプレートを入れ、折れた肋骨が肺を突き破ったため肺に溜まった液体を抜く手術を受けた。手術は成功したが術後1カ月は脇腹の腫れがひどく、クラブを握ることすらできなかった。
事故の翌年19年には回復しフェデックスカップのプレーオフに進出したが20年シーズン後半、事故で折れた肋骨に合併症を発症。再手術を余儀なくされ戦線離脱。そんな苦しい時期を経て「妻をはじめ多くの人々の励ましがあって」遂に幼い頃から夢見たトロフィーを掲げた。
昨年はケガやハンデを乗り越えゴルフ界で活躍し続けている人物に贈られる「ベン・ホーガンアワード」も受賞している。
アラバマ大学時代、優勝回数や平均スコアなどゴルフ部の記録を塗り替えてきたコーリーだが、その記録はことごとく3歳年下のトーマスに塗り替えられた。それでも2人は大の親友で一時同じアパートに暮らしたことも。コーリーの結婚式ではトーマスがベストマン(新郎の介添人)を務めた。
12番バンカー越えの厄介なラフからチップインバーディを決め勝利へのムードが高まり、リードを広げて迎えた最終18番パー5のティーに立つコーリーにトーマスは「さぁ、5ついいスウィングを決めて18番に向かう歩みを楽しんで!」「I love @Budcauley. Let’s go!!!!!!!!!!」とXに投稿した。
Cmon young William 5 good swings and enjoy that walk up 18!!!!!
— Justin Thomas (@JustinThomas34) June 14, 2026
@JustinThomas34 post on X
x.com@JustinThomas34 post on X
x.com大会前の月曜日に行われた全米オープン予選で敗退したコーリーは一発大逆転で全米オープン最後の切符と全英オープンの出場権も獲得した。そして何よりうれしいのは来年初のマスターズ出場が叶うことだ。
「ずっと勝てなかったけれど、こうして苦労を共にしてくれた家族の前で勝てて、これが完璧なタイミングだったと思います」
写真/Getty Images
【動画】RBCカナディアンオープン最終日のハイライトをチェック【PGAツアー公式YouTube】
https://www.youtube.com/embed/DapCFwsmmL8?feature=oembed
PGA TOUR Highlights | RBC Canadian Open | Round 4 | 2026
www.youtube.com