米国土安全保障長官、入国禁止措置の拡大を要請 約30カ国が対象か
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アメリカのクリスティ・ノーム国土安全保障長官は1日、同国を犯罪行為で「あふれさせている」国々からの入国を禁止する措置を勧告すると述べた。
ノーム長官はこの日、ソーシャルメディアへの投稿で、ドナルド・トランプ大統領と会談し、「殺人者や寄生虫のような者、権利ばかり主張する者たちでこの国をあふれさせているすべての国に対する全面的な入国禁止」を提案することを決定したと明らかにした。
トランプ氏と国土安全保障省(DHS)はそれぞれの公式ソーシャルメディアアカウントで、ノーム氏の投稿を共有した。
ノーム氏が提案した入国禁止措置の対象国や、開始時期については分かっていない。DHSはBBCに対し、近く対象国リストを発表すると述べた。
ホワイトハウスのキャロライン・レヴィット報道官は1日夜、米FOXニュースで、トランプ氏が数カ月前に「第三世界や破綻国家」に対する入国禁止を発表したことに言及。ノーム氏の今回の提案はこれを「拡大」してより多くの国を対象とするものだと語った。
ホワイトハウスは6月4日に、アフリカや中東、カリブ海地域を中心とする19カ国を対象に、移民受け入れの全面的または部分的な制限を発表した。
ノーム氏が今回提案した追加措置では、対象国が合わせて約30カ国に拡大される見込みだと、複数の米当局者はBBCがアメリカで提携するCBSニュースに語った。
この事件では、アフガニスタン出身のラフマヌラ・ラカンワル容疑者(29)が拘束された。ラカンワル容疑者は、過去にアフガニスタンで米中央情報局(CIA)と協力する部隊に所属。2021年、アメリカがアフガニスタン撤退後に同国出身者に提供した特別な移民保護プログラム「同盟者受け入れ作戦」でアメリカに渡ったとされる。
ノーム氏は入国禁止措置に関する発表に先立ち、ジョー・バイデン前政権下の「同盟者受け入れ作戦」によりアフガニスタン人約10万人がアメリカに入国したと、ソーシャルメディアに投稿。DHSが審査手続きの見直しを行う方針だとしていた。
CBSニュースが入手した、昨年送信された電子メールによると、ラカンワル容疑者はアメリカに入国した後、精神的な問題を抱えていたとみられる。
ワシントンでの銃撃事件を受け、トランプ政権は移民の取り締まりを強化している。
また、亡命申請に関するすべての判断も保留されている。アメリカ市民権・移民局(USCIS)のジョセフ・エドロウ局長は、「すべての外国人について、可能な限り徹底的に審査できるようになるまで」手続きの保留は続くとしている。
エドロウ局長はトランプ氏から、19カ国から渡米した人物に発行されたグリーンカード(永住権)を再審査するよう指示されたとも述べた。
先月27日にはトランプ氏が、すべての「第三世界の国々」からの「移民を恒久的に停止する」と、さらに踏み込んだ発言をした。「第三世界」という表現は、かつて貧しい発展途上国を指すために使われていた用語。
トランプ氏はこの一連の投稿で、難民が「アメリカに社会的機能不全」を引き起こしていると非難し、アメリカにとって「純資産でないものは誰でも」排除すると誓った。
トランプ氏は1月に大統領に再就任して以来、不法移民の大規模送還や、年間の難民受け入れ枠の削減、米国内あるいは米国領で誕生したほぼすべての子供に自動的に市民権を与える「出生地主義」の廃止を目指している。
米国アフガン・コミュニティー連合は、ワシントンの銃撃事件後に声明を発表。犠牲者家族への哀悼の意を表明するとともに、銃撃は1人の人物による犯行であると強調。「包括的な調査」の実施を求めた。また、アフガニスタン人の移民申請を遅らせたり停止したりしないよう米政府に訴えた。
声明は、「20年にわたるアフガニスタンとアメリカのパートナーシップを忘れてはならない」と訴えた。これは、アフガニスタンのタリバン政権打倒と治安確立を掲げてアメリカが2001年に開始した取り組みを指している。
国連はアメリカに対し、亡命希望者に関する国際協定を順守するよう求めていると、ロイター通信は報じている。