逆走を想定して対応訓練、山梨県警「高速道路で対向車あり得ないという考え捨てて」 : 読売新聞

 全国で高速道路上での逆走車による事故が相次ぐ中、山梨県警などは9日、高速道路で車が逆走したことを想定した対応訓練を行った。山梨県内の高速道路でも過去5年で計23件の逆走が確認されており、山梨県警は「意識して標識や表示を確認してほしい」と呼びかけている。(木村誠)

逆走車の情報を受け、走行している一般車両を停車させる隊員(9日、山梨県富士川町で)

 高速道路の事故を巡っては先月、栃木県那須塩原市の東北自動車道で、逆走した乗用車が対向車と衝突するなどし14人が死傷する事故が起きたばかりだ。

 この日、山梨県富士川町内で行われた訓練は、こうした事態が起きた場合への対応を確認しようと行われたもので、県警高速隊と、交通管理などを担う「中日本ハイウェイ・パトロール東京」の隊員計約30人が参加。中央道のインターチェンジ(IC)付近で東京方面に逆走する車が発見されたとの想定で行われた。

 逆走車発見の一報が入ると、隊員らは情報伝達の流れを確認。すぐにパトカーと同社の巡回車が道路に入り、事故を防ぐため、「逆走車両があるので、パトカーについて進行願います」などとアナウンスし、通行止めを行った。

 その後、大きな旗を振るなどして逆走車を止めると、運転者を保護。逆走車を路肩に寄せ、通行止めを解除した。

 山梨県警によると、県内の高速道路でも昨年1年間で5件の逆走を確認。昨年10月には甲府市大津町の中央道下り線を逆走していた乗用車が大型トラックと正面衝突、乗用車の男性運転者が死亡している。

 逆走はICのほか、サービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)の出入り口などで発生しており、中日本高速道路では案内の看板を設置したり、道路をカラー舗装したりするなどの対策を取っているという。

 山梨県警高速隊の榊東・副隊長は「高速道路で対向車両はあり得ないという考えは捨ててもらいたい」とし、「逆走してしまう可能性は皆さんが持っている。高速道路に乗る時、SAやPAを出る時には意識して表示や標識を確認してほしい」と話した。

「平面Y型」事故受け対策

 4月の栃木県那須塩原市の事故で、逆走車が進入したとみられるのは「平面Y型」と呼ばれるICだった。本線に向かう車線と、本線から降りる車線が平面で交差する構造で、進行方向を誤ると逆走する恐れがある。

 山梨県警によると、県内の同型ICは▽中央道・上野原IC▽中部横断道の増穂IC、南部IC▽東富士五湖道路・山中湖ICの4か所。

 中日本高速道路八王子支社では事故を受け、管轄する県内の同型ICに、正しい進行方向を示す「矢印板」を応急的に設置。今後、事故原因を分析した上で、更なる対策も検討するという。

 同支社の担当者は「もし逆走してしまった場合は、ハザードランプを点灯させ、速やかにガードレールの外側に避難して110番してほしい」としている。

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