はしか巡る米厚生長官の投稿が物議、ワクチンの有効性で誤解招く恐れ

Damian Garde

  • ワクチン接種推奨後、抗生物質治療主張する医師との写真を投稿
Robert F. Kennedy Jr. Photographer: Jim Lo Scalzo/EPA

はしか流行が米国で深刻化する中、全米の保健当局者の間で、ケネディ厚生長官がはしかワクチンの有効性に関して混乱を引き起こしているとの懸念が強まっている。

  感染の中心地となっているテキサス州では今年に入って4月4日までにワクチン未接種の子ども2人が死亡。481人の感染が確認された。米国全体では21州で計607人の感染が報告されている。

  ケネディ氏は6日、「はしかの感染拡大を防ぐ最も効果的な方法ははしか・おたふくかぜ・風疹(MMR)の混合ワクチンだ」とX(旧ツイッター)に投稿。これまでで最も明確に同ワクチンの接種を推奨した。

  しかしそのわずか数時間後、ケネディ氏は、ステロイド治療と抗生物質を使用して、はしかにかかった子ども約300人を「治した」と主張するテキサス州の医師2人と写った画像を投稿。 

  ステロイド治療も抗生物質もはしかの治療効果は実証されていない。また、はしかの病原体はウイルスであり、抗生物質はウイルスそのものに効果がない。

  ミシガン大学医学部のマーシャル・ランゲ学部長は「はしかには治療法は存在しないということを示す数多くの証拠がある」と述べた。

  公衆衛生専門家は厚生長官のコメントについて、実証されていない治療法がワクチンの代わりになるとの誤解を引き起こす恐れがあると指摘する。MMR混合ワクチンは1回の接種で90%余りの予防効果がある。

  テキサス州ダラス郡保健福祉局トップの内科医、フィリップ・フアン氏は「メッセージはトップから末端まで一貫したものでなければならない」とし、「ワクチンに対する信頼を損なったり、混乱を招いたりすれば逆効果になる」と説明した。

  当局者らによれば、ケネディ氏が連邦政府の医療インフラ向け予算を大幅に削減した結果、はしか流行への対応が以前より難しくなっている。

  ケネディ氏は厚生長官就任前から長年にわたり、MMRワクチンと小児自閉症が関係しているという主張を含め、ワクチンの安全性に関してすでに否定された説を支持していた。

  テキサス州で死亡例が報告された後の今年3月、ケネディ氏はFOXニュースに寄稿し、「ワクチン接種は個人の判断に委ねられるべきだ」との考えを示していた。

原題:Kennedy’s Inconsistency on Measles Alarms Health Officials (1)(抜粋)

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