貿易収支4月は1158億円の赤字、対米輸出は4カ月ぶり減少

 5月21日、財務省が発表した4月貿易統計速報は、貿易収支が1158億円の赤字だった。都内の港湾施設で2017年7月撮影(2025年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 21日 ロイター] - 財務省が21日発表した4月貿易統計速報は、貿易収支が1158億円の赤字だった。赤字は3カ月ぶり。輸出は7カ月連続で増加、輸入は2カ月ぶりに減少したものの、額は輸入が上回っており収支は赤字となった。対米輸出は1.8%減と4カ月ぶりに減少した。

輸出は前年比2.0%増え、金額ベースでは4月として過去最高だった。香港、アジア向けの半導体等電子部品や食料・医薬品がけん引した。

輸入は同2.2%減少。円が対ドルで前年比2.6%の上昇したことによる輸入コスト減少や原油価格の下落、石炭や原粗油の単価減少に下押しされた。

ロイターの事前調査では、貿易収支は2271億円の黒字と予想されていた。

SMBC日興証券日本担当シニアエコノミスト、宮前耕也氏は「もともと4月は輸出規模が縮小、黒字縮小や赤字化しやすい季節性があるが、今回の赤字化はややサプライズだった」と指摘。その上で、季節調整値では貿易収支は3月に比べて赤字が拡大しており、「(季節調整値で)輸出入とも減少したものの、輸出の減少幅の方が大きく、赤字拡大につながった」と分析している。

米国向け輸出は、自動車や建設・鉱山用機械、半導体等製造装置の需要がふるわなかった。自動車の車体数量は11.8%増と4カ月連続で増加したものの、金額ベースでは同4.8%減少し、全体を下押しした。

トランプ米政権が関税を発動してから初めての統計で、市場では駆け込み増や反動減などの影響が出るとの見方もあったが、財務省幹部は「そうした要因が確認できるほどの単月の振れではなかった」と説明。関税の影響は、単月ではなくもう少し長いスパンで見る必要があるとの見方を示した。

伊藤忠総研マクロ経済センター長の宮崎浩氏は「注目は、対米輸出の単価自体が下がっていること。輸出金額全体が減少しているのは、数量が減ったというよりは単価が下がったからといえる」と指摘する。「価格面である程度の配慮をしようとしても、結局、関税を含めれば米国内で販売価格が上がることに変わりはない。今後は、時間をかけて徐々に日本車の販売数量の減少として影響が出てくることが懸念材料だ」とみている。

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