大江戸は「Oedo」→「Ōedo」「Ooedo」 ローマ字表記、ヘボン式に
- 記事を印刷する
- メールで送る
- リンクをコピーする
- note
- X(旧Twitter)
- はてなブックマーク
- Bluesky
ローマ字表記の目安が約70年ぶりに見直されることになった。国は内閣告示で母音と子音を規則的に並べる「訓令式」を用いるとしてきたが、英語の発音に近い「ヘボン式」を基本とする方針。ヘボン式が社会で定着している実態に合わせるとともに、外国人らにも読みやすくする狙いだ。
文化審議会の小委員会が20日、ヘボン式に移行する案を大筋で了承。内閣告示は審議会の答申を受け、改定される見通しだ。
訓令式では「し」は「si」、「しゃ」は「sya」、「つ」は「tu」と表記。ヘボン式ではそれぞれ「shi」「sha」「tsu」となる。「ふ」は「hu」から「fu」に変わる。
ヘボン式は幕末に来日した米国人宣教師が考案したとされる。
1954年の内閣告示は「一般に国語を書き表す場合」は訓令式を用い、ヘボン式は限定的に使うとした。ただ実際は、ローマ字は外国人向けに固有名詞を表記する際に使われることが多く、ヘボン式が浸透した。
小委員会はこうした実態を踏まえるとともに、グローバル化への対応も考慮した。インバウンド(訪日外国人)や日本に住む外国人は増えており、日本語を母語としない人が読みやすいようにする。
文化庁が2024年に日本で生活する外国人を対象に実施した調査では、母語や国籍にかかわらず、95%が訓令式よりヘボン式が読みやすいと答えた。
改定案は、表記の割れが目立つ長音の示し方も明記した。訓令式とヘボン式ではそれぞれ母音字に長音符号の「^」「¯」をつけるとされているが、英語の影響で符号を用いない表記が広がった。この場合は「大野」も「小野」も「Ono」と書き、音の長短を判別しにくいのが難点だった。
このため、符号としてより社会に定着している「¯」を使用するか、符号をつけず母音字を並べるとした。例えば「大江戸」は「Ōedo」「Ooedo」と表記する。
はねる音である撥音(はつおん)の「ん」は「n」を統一的に用い、つまる音の促音は子音字を重ねて「zasshi(雑誌)」などとする。
文化庁によると、内閣告示は国として示す目安という位置づけで、強制力はない。「judo(柔道)」のように定着している表記の変更を直ちに求めるものではなく、当事者の意思が尊重されるという。
学校では訓令式を教えてきた。改定されればヘボン式に変更する。30年度をめどに小学校で全面実施予定の次期学習指導要領でヘボン式を採用し、教科書の表記が変わる見通しだ。
(森紗良)
- 記事を印刷する
- メールで送る
- リンクをコピーする
- note
- X(旧Twitter)
- はてなブックマーク
- Bluesky
操作を実行できませんでした。時間を空けて再度お試しください。
権限不足のため、フォローできません
日本経済新聞の編集者が選んだ押さえておきたい「ニュース5本」をお届けします。(週5回配信)
ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。
入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。
ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。
入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。