資産800億円の投資家・清原達郎氏は「長い目では日本株に強気」、リスク管理や小型割安株投資の極意も公開

写真:野口 博(FLOWERS)

資産800億円を築いた“伝説のサラリーマン投資家”清原達郎氏は2025年度の相場をどう攻めるのか。特集『反撃の日本株! 新時代の最強株&投資術』の#2では、リスクとの向き合い方や清原氏が「現役」であった場合の具体的なポジションを赤裸々に解説。さらに清原氏の真骨頂である、損失リスクを抑えて利益を最大化する「小型割安株への逆張り」についても直撃した。個人投資家に向けた珠玉のアドバイスが満載なので、ぜひ参考にしてほしい。(聞き手/ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

“伝説のサラリーマン投資家”は25年度相場をどう攻めるのか?

 2004年に約100億円を稼ぎ、所得税37億円を納税。05年発表の最後の高額納税者名簿(長者番付)で全国トップに名を連ねたのが、ヘッジファンド運用で驚異的な成績を残した清原達郎氏である。一昨年まで運用していたタワー投資顧問の基幹ファンド、「タワーK1ファンド」のパフォーマンスは25年間で実に93倍に上る。

 その運用術は『わが投資術 市場は誰に微笑むか』(講談社)に詳しいが、清原氏がすごいのは機関投資家としての実績だけではない。個人資産も800億円を築いており、昨年8月の暴落時も大底で100億円以上の資金を投じ、短期間で20億円以上の利益を得ているのだ。

きよはら・たつろう/1981年野村證券入社。その後、モルガン・スタンレー証券やスパークス投資顧問を経て98年、タワー投資顧問で基幹ファンドを立ち上げ。2005年発表の最後の高額納税者名簿(長者番付)で全国トップに。写真は『わが投資術 市場は誰に微笑むか』(講談社)。

 また、清原氏は「日本株市場に構造的な変化」が起きており、それは「リスクを補って余りある変化」だと指摘する。その変化とは何か?

相場予測が的中するのは 冷静さを失ったパニック時のみ

――日本株が急落していますが、今後1年程度の日本株に対しての見通しをどう考えられていますか。

 最初に申し上げたいのは「私は相場が当たらない」ということです。当たるときは人々が冷静さを失ってパニックになっているときだけです。

 過去5年間で相場を当てたのはたった2回で、新型コロナウイルス感染拡大の暴落時(20年3月19日)と24年8月5日です。このときは自信があったので、できるだけたくさん日本株を買おうと思いました。私はマクロ経済や相場全体の予想が苦手です。

具体的には、 1.米国の金利はもっと早く下がると思っていた。米国経済がこんな高金利に耐えられるとは思っていなかった。 2.日本の短期金利は0.5%まで上がって打ち止めになるだろうと思っていた。実際はもっと上がりそうな雰囲気になっていますよね。 3.為替ももっと円高に振れると思っていた。 4.為替が思いっ切り円安なので24年9月期(中間決算)で製造業は大幅な増益になると思っていた(実際は減益)。 5.株価が上がってきたので自社株買いは減ると思った(実際は減らず)。

6.25年の大量供給でオフィス賃料は下がると思っていた(下がっていない)。

 これだけ外れる私に相場の見通しを聞くなんて「正気の沙汰ではない」と思うのですが。

――申し訳ありません……。とはいえ、資産800億円の“伝説のサラリーマン投資家”の相場見通しや投資ノウハウを聞きたい個人投資家はたくさんいます。ヒントだけでも教えてもらえないでしょうか。

 私が「年末の日経平均は4万2000円」と言ったとして一体何の意味があるのでしょうか?

 そう本気で思いますが、それを言ってしまうと身もふたもないのでもっと意味のあるコメントをしましょう。もし私が気合を入れ直して現役で頑張っていたら今どういうポジションを取っているか想像してみます。

次ページでは、清原氏が考えるポートフォリオや25年度相場の投資戦略を公開。加えて「リスクとの向き合い方」や「逆張り投資の極意」「日本株の革命的変化」「大化け株が狙える再現性のある小型割安株投資」についても解説する。

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