カフェイン入りコーヒーを適度に摂取、女性の健康的な老化と関連か 新研究
50代でカフェイン入りのコーヒーを1日1~3杯飲んだ女性は認知や身体の面で健康状態が良好で老後を迎えられる可能性が高いとの研究結果が報告された/Jacob Wackerhausen/iStockphoto/Getty Images
(CNN) 明晰(めいせき)な頭脳と健康な体で老後を迎えたいのなら、その答えの一部はコーヒーカップにあるかもしれない――。そんな研究結果がこのほど報告された。
「50代でカフェイン入りのコーヒーを1日1~3杯飲んだ女性は、主要な慢性疾患に罹患(りかん)せず、認知や身体、精神の健康状態が良好で老後を迎えられる可能性が高い」。そう説明するのは、論文の主筆者で、トロント大学非常勤教授のサラ・マダビ博士。
米栄養学会の年次総会で2日に発表された研究では、看護師の健康に関する研究に参加した4万7000人以上の女性の食事データを分析した。マダビ氏によれば、今回の研究は要約として発表されたが、より詳細な論文が今後数カ月以内に査読に提出される予定。
女性らは中年期に調査を受けて、死亡率や疾病率を把握するために30年間にわたって追跡調査が行われた。
「この研究では、中年期に適度なカフェイン入りコーヒーを摂取すると、30年後に健康的に年を重ねる可能性が高くなることがわかった」(マダビ氏)
研究によれば、特にカフェイン入りのコーヒーで効果が認められた。紅茶やカフェインレスコーヒーでは同様の関連性は見られなかった。コーラ飲料などカフェイン入りの炭酸飲料の摂取が多いと、健康的な老化の可能性が小さくなることが示された。
コロラド大学医学部准教授のデビッド・カオ博士は「これは特に、コーヒーに健康の維持あるいは促進の効果があることを示唆している。他の研究と同様に、コーヒーは他のカフェイン入り飲料に比べて、特に効果があることがわかったようだ」と述べた。カオ氏は今回の研究に参加していない。
今回の研究は観察研究であるため、直接的な因果関係を検証するには限界がある。今回の研究では、ある行動と結果が一緒に発生する可能性が高いことしか示されていない。
研究では、生活様式や人口統計学的な特性、食生活の違いなど、コーヒーの摂取と健康的な老化を関連付ける可能性のある他の要因を調整したが、それでも別の変数が影響している可能性もあるという。マダビ氏が指摘した。
だが、カオ氏によれば、コーヒーと健康的な老化との関連性は驚くべきものではなく、過去の研究結果とも一致している。適度なコーヒーの摂取は2型糖尿病や、心血管の疾患など慢性疾患のリスクを低減させることが以前から示されているという。
これは、コーヒーを飲む習慣がない人は、コーヒーを飲む習慣を身に着けるべきだということだろうか。マダビ氏によれば、必ずしもそうではないという。
「コーヒーは長寿に効果があるかもしれないが、特に女性にとっては万人に効果があるわけではない。ホルモンの変化はカフェインの代謝に影響を与えるため、その効果はタイミングや体質、個人の健康状態によって異なる」(マダビ氏)
マダビ氏は、今回の研究で調査対象となった中年期は女性にとってホルモンと代謝の変化が特徴的なライフステージだと指摘した。
「カフェイン入りコーヒーを適度に摂取すること、一般的に1日に1~3杯摂取することは、多くの成人にとって健康的な食生活の一部となりえる。だが、これは長寿を目指して誰もがコーヒーの摂取を増やしたり、飲み始めたりすることを推奨するものではない」(マダビ氏)